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by thessalonike4
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日本国憲法をめぐる一年間の政治 - 護憲新党と世界署名運動
b0087409_14344990.jpg今日は憲法記念日。昨年も憲法のことを書いた。この一年を振り返って、憲法をめぐる動きにも多くのものがあり、状況は決して一年前と同じところに立ち止まっていない。政治の現実は改憲へ向けて一歩二歩大きく前進した。昨年11月22日に自民党が結党五十周年記念党大会に合わせて「新憲法草案」を公表した。自民党が具体的な条文案を出したのはこれが初めてで、事前の報道では党内で議論が分かれて条文化は難しいだろうと言われていたが、中身を無味乾燥なものに纏めることで五十周年の格好をつけた形になった。自民党の草案前文は理念を欠き、国家の理想を謳う格調の高さがなく、単に党内の表面を取り繕うだけの目的で成文されたものであり、改憲派の間でも頗る評判が悪い。自民党の憲法草案前文と現行憲法の前文を読み較べれば、憲法というものがどういう存在であり、どういう存在でなければならないかを直観することができるだろう。憲法は法律とは違う。法律を作るようには憲法を作ることはできない。



b0087409_14431757.jpg中身には意味は無いが条文案を出したという政治的実績は小さくない。世論に叩かれるという事態もなかった。もう一つは今年の3月5日に毎日新聞が発表した世論調査の数字で、改憲に賛成が65%、反対が27%の結果が報じられた。ダブルスコアで改憲派が護憲派を圧倒している。これは毎日新聞が明確に改憲派に転じたという意思表明であり、昨年同じ報道があったかどうか知らないが、ここ二、三年間の毎日新聞内部の右傾化状況をそのまま反映している。記事の中には「82年から04年まで改憲賛成派は2~4割台で推移した」「今回、賛成派は最高を記録した」とあり、読者の意識変化をエクスキューズにしての転向表明の言葉が綴られている。最近「朝ズバ」によく出演する「北朝鮮問題専門の記者」というのも、一昔前の毎日新聞では想像できないような瑣末な右翼小僧で、産経新聞でもあれほど酷いのは十年前はいなかった。毎日新聞もすっかり変わった。が、ともかく、この数字は一つの重大な政治的事実である。

b0087409_14351646.jpg毎日新聞の世論調査にも確実に影響を及ぼしたと思われるが、この一年間の憲法をめぐる動きの中で最も大きかった政治的事実は、何と言っても夏の衆院総選挙である。選挙に打って出た小泉首相は「靖国参拝と憲法改正は選挙の争点にしない」と言い、テレビ局も小泉首相と自民党の方針と戦略にそのまま従い則って、論争は専ら「郵政民営化」だけに単純化して集中させ、解説者もキャスターも憲法や靖国を争点として国民の前に提示することはなかった。「改革」と「郵政民営化」(の言葉)に賛成か反対かだけで国民に投票を促した。だが、私もブログで声を上げたが、自民党のマニフェストにはしっかりと「憲法改正に大きく踏み出します」と書かれていて、四年に一度の総選挙が憲法改正の重大な岐路になることは誰の目にも明らかだった。憲法を争点にしたくなかったのは、むしろ自民党よりも民主党であり、護憲派の票も欲しかったし、改憲派の票も欲しくて、両方の票を取り溢したくなかったから、憲法を争点として議論しなかった。

b0087409_14352771.jpg政治改革で小選挙区制になってからの国政選挙では、憲法は常に争点から除外されている。それを争点にしたら、民主党に入るべき票が社民党や共産党に流れてしまうから、それを恐れて、マスコミは選挙になった途端に憲法については貝になり、「今回は憲法は争点じゃない」と言い出す。少し昔まで、私はそれを見てマスコミの欺瞞に怒りを覚えていたけれど、前々回2003年の総選挙からは、憤激する相手がマスコミではなく護憲野党になり、これほど追い詰められても何故一つの護憲政党に纏まろうとしないのか不信と鬱懐でどうしようもない気分になって苛立った。憲法を護ろうとするのなら政治で勝利を収めなくてはいけない。護憲が現実の政治で勝って改憲を押し返す場面を現実に作って見せなくてはいけない。選挙で国民の護憲の意思を証明しなくてはいけない。そういう政治を作らなくてはいけない。そう思ったのだが、現実の政治は何も動かず、護憲派が一つの政治勢力に纏まる気配はなく、護憲は言葉だけになった。

b0087409_14353973.jpg社民党も共産党も本当に憲法を護ろうとは思っていない。単に護憲を願う市民の票を取るために護憲の看板を党利党略の道具にしているだけだ。去年の五月、私はそう言い、二つの護憲政党の欺瞞を批判したが、まさかその次の選挙でさえも二党がバラバラで選挙を闘うなどとは想像もしていなかった。社民党も共産党も何の緊張感もなく、「ライスカレー」だの「確かな野党」だのと人を脱力させる口上を言いのけ、一桁議席を死守して組織を存続させるために、惨めに同情票を拾い集めていた。乞食のように見えた。「九条の会」なる組織がネットの隅で細々と活動していたが、いずれのサイトのアクセス数も累計三桁程度の閑古鳥で、更新頻度も少なく、コンテンツも貧相で、やる気の無さが一目瞭然であり、とてもブログで紹介する気にはなれなかった。天下分け目の夏の総選挙が始まっても、「九条の会」が惰眠から醒めて動き出す気配は全く無かった。それを見て、私は「九条の会」がただの飾りで、党派のフロント組織だと確信を深くした。

b0087409_14413169.jpg両党の欺瞞と保身とみすぼらしさは、美しいわが憲法を汚し、日本国の憲法の誇りを傷つけるものだ。選挙の結果、改憲派はますます勢いを得て、唯一の正論となり常識となり、多数派から圧倒的多数派となり、護憲は極端な少数異端におとしめられた。二党の責任である。政党の党利党略のために護憲を利用する者は誰であれ許さない。私はもう二つの党に合同せよと要求はしない。こんな腐った「護憲派」と一緒に城を枕に討ち死にという図も御免だ。護憲新党ができないのなら隗より立ち上げる以外にない。欲しい政治は自分で作り出す以外にない。昨年はもう一つ、日本の知識人たちに、海外に護憲を訴えて賛同を集める運動を呼びかけた。在米の中国系市民が日本の国連常任理事国入り阻止のネット運動を展開して、瞬く間に全世界で3500万人の署名を集めた快挙を見ての提案だったが、応じて運動を始めた者はいなかった。大学教授とかの肩書きがある人間がよかろうと思ったのだが、これも隗より始めるしかないのだろうか。

護憲で刮目の成功を生み出せるカリスマはいないのか。

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by thessalonike4 | 2006-05-03 23:30 | 憲法 ・ 皇室
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