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靖国の日 - 「参拝は当然、もっと早く英霊に参拝すべきだった」
b0087409_10719.jpg今年の終戦の日は鉛を飲まされたように気分が重く、憂鬱に沈み込まされた一日が続いた。もし六十五年前に生きていて、その朝、真珠湾攻撃の報を聞いたなら、きっと同じような気分で一日中塞がれていたのではないかという思いに捉われる。靖国参拝は予告されていたことだが、実際に決行されると、そこから予想を超えたイベントとモメンタムが生成されて政治的環境を押し包んで行く。そのイベントとモメンタムがさらに鬱懐を深くする。新聞の事前の報道では、昭和天皇の合祀反対メモの影響が出て、小泉首相の靖国参拝に対して反対世論の方が賛成世論を上回っていた。毎日新聞では賛成36%、反対54%、朝日新聞では賛成29%、反対57%。合祀反対メモ露見後の報道と世論の趨勢は一時の精神安定剤の如きだった。ところが参拝直後の15日夜にNHKの終戦特集の討論番組の生放送で報じられたアンケート調査では、この数字が完全に逆転する結果となっていた。



b0087409_1074484.jpg記憶では、「小泉首相の靖国参拝を支持する」が60%で、「支持しない」の30%の倍近くのスコアになっていた。小泉首相がパフォーマンスの政治をやると、必ずこういう「数字」が直後についてきて、私の頭を悩ませ心を打ち砕く。自衛隊のイラク派遣のときもそうだったし、一年前の衆院解散のときの郵政演説の後がそうだった。全体が慎重な行動を求めて注視している状況で、小泉首相が単騎傲然と暴挙を敢行して、すると暴挙を期待する愚衆が日の丸を振って歓呼の声を上げ、その映像がテレビに出て、支持世論のイベントとモメンタムがスタートする。暴挙の政治が快挙の政治にスリ変わる。そして私の内側が敗北感と絶望感で打ちひしがれる。そういう事が何度も繰り返された。もう慣れた事ではあるが、何度同じ場面に立ち会わされても不愉快なものは不愉快で、ストレスは蓄積されて精神を病ませて行く。そうした政治に反撃し対抗する政治を作るつもりだったが、私にはできなかった。

b0087409_1071613.jpg昨年の総選挙に勝っていれば、勝っていなくてもせめて与野党伯仲に追い込んでいれば、8.15参拝の政治の憂鬱に直面することはなかった。福島瑞穂が「8月15日を変えようとしている」と言い、志位和夫が「最低の居直りだ」と言うのを聞き、しかし今頃それを言うのなら何で昨年の総選挙で共闘して議席を取ろうとしなかったのかと泡沫二党の欺瞞と無責任に憤って絶句するが、けれども自分ができなかった事を二党を責めても仕方ないのかも知れない。ボナパルティズムの政治が強引に環境を作って引き摺って行く。私は7月3日の記事で、その辺りについて悪い予想を書いた。このときは昭和天皇の合祀反対メモは出てなくて、また福田康夫の総裁選出馬も確実視されていた。小泉首相が靖国参拝を強行突破することで、慎重派が多数の国民世論を一気に賛成多数に逆転させるのではないかと予想したのだが、それが的中した感がする。この既成事実を基にして安倍晋三は来年の8月15日に参拝できる。

b0087409_1073012.jpg思えば去年の終戦の日も総選挙で騒々しかった。8月6日から15日までの慰霊の季節を小泉劇場の喧騒で塗り潰された。今年の15日は慰霊の日を政治的暴挙で奪われて蹂躙された感がする。福島瑞穂の言うとおりの意味のチェンジだが、来年以降の8月15日は総理大臣が靖国神社に参拝して、戦争を国民的に賛美して追想する一日になる。首相が靖国参拝した後の全国戦没者追悼式は実に寒々とした光景で、天皇皇后両陛下が出席して黙祷する儀式の威厳が貶められていた。天皇陛下と皇后陛下はさぞかし怒っていただろう。怒っていても口には出せない。我々と同じように我慢して歯噛みし、平静を装っていなければならない。平静天皇。全国戦没者追悼式で、最初に首相式辞があるが、今年、小泉首相は式辞を終えて壇上から降りる直前に、何か天皇陛下を睨みつけるような仕草が一瞬だけ映った。私の主観の投影かも知れないが、敵意に満ちた視線を放ったように見えた。天皇陛下と小泉首相の間で何かある。

b0087409_1075647.jpg小泉首相の侠気の視線は、天皇陛下に対して、「この野郎、思い知ったか」と言っているように見えた。際限のない増長と暴慢。どうすることもできない天皇陛下と我々。儚い抵抗をする河野議長。来年から終戦の日は靖国の日になるのだろうか。高橋哲哉的な「感情の錬金術」の話が、錬金術と言うより、お手軽覚醒剤のスピード錠剤を飲み込んで日の丸の小旗を打ち振るボナパルティズムB層右翼と、鉛を口から飲まされてぐったり消沈したまま死んだように蹲っている我々と、そういう錬金術ならぬ毒々しい精神情景が目に浮かんできて、来年の8月15日が空恐ろしく思われる。昔は、1930年代の日本人は何をやっていたんだろうと訝しく思っていたが、今はそうは思わない。満員電車の中に押し込まれた乗客と同じように、身動きのしようがないのだ。前に押されてつんのめったり、後ろに揺り動かされてよろけたり、立って足を踏ん張る余地もなく、電車が動くままに惨めに体を左右させる以外にないのだ。あの頃の日本人は何をしていたのだろうと、

嘗ての我々が当時の日本人を不審に思っていたように、今、中国韓国の人々が我々をそう思って見ているのだ。返す言葉もないけれど。
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by thessalonike4 | 2006-08-15 23:30 | 戦争 ・ 昭和天皇 ・ 靖国問題
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