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by thessalonike4
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国会の風景 - 格差で下がるはずの支持率が北朝鮮核で上がる
b0087409_1259402.jpg昨日の記事で、北朝鮮の核実験がわが国でただちに集団的自衛権の憲法解釈変更の政治に繋がるだろうと予想したが、案の定、そのとおりの展開になった。今日(10/11)の参議院予算委員会で舛添要一が質問に立ち、安倍首相と久間防衛庁長官と阿吽の呼吸で質疑を交わしながら、船舶臨検の法整備と集団的自衛権の解釈変更に前向きな発言を政府答弁として明確にさせた。具体的に紹介すると、国連安保理で憲章41条に基づく制裁決議案が通り、米海軍が日本海で北朝鮮船舶の臨検に及んで北朝鮮側から銃撃を受けた場合、海上自衛隊はどう対応するのかという質問を舛添要一が発したの対し、安倍首相は比喩を用いながら次のように回答した。現在のところは、領海内であれば攻撃に対して武力行使ができるが、公海上であればそれはできない。これは憲法上の集団的自衛権行使の制約によるものだが、果たしてそれでいいのかは問題がある。



b0087409_12595741.jpgたとえば、二人連れで街路を歩いていて、一緒に歩いている連れが暴漢に襲われたとき、その暴漢に殴りかかるのは正当防衛とされている。二人が家の中にいて、家の中に入ってきた暴漢に殴りかかるのは正当防衛になるが、玄関から外に一歩出たら正当防衛にはならないということでいいのか。この比喩による集団的自衛権正当化(合憲化)の議論は、これまで安倍首相や舛添要一や森本敏によって繰り返し言い続けられてきた論法だが、次は国会からテレビに移って報道番組の焦点となり、遠くない将来、マスコミの世論調査が発表される事態になるだろう。久間防衛庁長官の答弁では、集団的自衛権と個別的自衛権を区別してきた内閣法制局に責任があるとして、従来の政府解釈を批判、憲法解釈の変更にきわめて積極的な意向を示した。今週末の政治番組はこの問題で塗り潰されるのではないか。特に「サンデープロジェクト」は必ず特集するだろう。

b0087409_1301234.jpg予想されるのは、田原総一朗が民主党の幹部を呼んできて、同じ(船舶臨検の)質問に答えさせることで、この場合、民主党は右派と左派で答えが全く違ってくる。民主党の集団的自衛権論については「憲法提言」の中で考え方が示されている。だが、それはあくまで新憲法の下での集団的安全保障活動の話であって、現行憲法の下で解釈変更を認めるかどうかについては正式な決定は出していない。一年前に前原誠司が新代表になったとき、田原総一朗の前で集団的自衛権の合憲化を明言して騒動になった。前原誠司はその方針で必ず党内を取り纏めると高言したが、取り纏める前に偽メール事件で失脚した。北朝鮮の核実験は前原誠司にとって復活の機会到来である。「サンデープロジェクト」に、前原誠司が出るか、平岡秀夫が出るかで、民主党のメッセージは正反対のものになる。誰を出すかで民主党は悩むのではないか。ありそうなのは小沢一郎が出ることである。

b0087409_1335450.jpg小沢一郎と集団的自衛権の問題については、ブログで何度も紹介をしてきたが、憲法改正と絡めて何度か見解を変えている。具体的には、解釈改憲で集団的自衛権を認めろという主張と、政府解釈でズルズル変わるのはよくないから明文改憲せよという二つの主張のトグルである。現在は集団的自衛権の解釈改憲は不可という立場で固めていたと思うが、プルーラルな小沢一郎のことだから、世論の動向を見ながら、このあたりで再び立場を転換する可能性も考えられる。果たして解釈改憲不可の立場を貫徹できるかどうか。二週間後の大阪9区の選挙で勝つための「最適化」を狙うわけだが、舵取りは容易ではないように思われる。もう少しこの問題を掘り下げると、公明党は集団的自衛権の合憲化に反対していて、特に新代表の太田昭宏にはその意向が強く窺われるところがある。安倍新体制の連立政権合意でも、集団的自衛権の解釈変更については合意から除外していた。

b0087409_130354.jpg原則的には、政府解釈を変えるときは公明党は政権を離脱しなければならない。無論、これはあくまで平時(現状の延長線上舛での)の話であって、有事になれば、公明党も状況に応じて立場を変えるはずだ。小川和久や枡添要一が指摘している事態が実際に日本海上で発生したら、公明党も安倍首相の憲法解釈変更に同調する選択に踏み切るだろう。公明党の中で議論が分かれる予感もある。現時点で総括すれば、安倍首相はこの問題をマスコミを使って民主党を揺さぶる道具にし、もし臨検で米朝間に不測の事態が起きれば、その時点で解釈変更を閣議決定する。何も起きなくても、民主党を揺さぶり続ける。民主党の左右に軋みを入れ、両派の分裂を国民の前に見せつけ、民主党が国家の安全保障に一貫性の無い無責任な政党であることを強調する。その構図と無責任表象ををそのまま教育論議に持ち込む。民主党の左右対立を印象づけ、そして民主党の支持率低下へと世論誘導する。

本当は、今頃は国会で格差問題が議論されていた。格差をめぐって厳しい政府批判の論戦があり、小泉構造改革の負性が暴かれ、安倍内閣の支持率が発足時の頂点から日を追う毎に下がって行く時期であった。それが北朝鮮の核実験のために台無しになった。国会は北朝鮮の核の話題で一色になっている。格差問題が国会の焦点であれば、民主・共産・社民三党の足並みが揃って、一致団結して安倍政権を攻撃することができ、国民世論を少なからず喚起できた。支持率を下げて大阪と沖縄の選挙情勢を有利にする世論環境を導くことができた。だが、北朝鮮問題だと三党の足並みが揃わない。と言うより、民主党内部で意見の対立が露呈する。安倍政権は金正日が支えている。

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by thessalonike4 | 2006-10-11 23:40 | 安倍政権
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