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1941年の対日石油禁輸措置 - 米国は二国間協議を決断せよ
b0087409_14364540.jpg政府が発表した追加経済制裁の内容は、①北朝鮮籍船舶の入港禁止、②北朝鮮からの輸入全面禁止、③北朝鮮籍を有する者の入国原則禁止の三点。新聞もテレビも論評していないが、これほど重大な制裁措置を日本が他国に対して発動するのは初めてで、これまで経験のなかった事態である。想起するのは太平洋戦争前の米国による日本に対する石油禁輸で、41年7月に日本軍による仏印進駐に対して米国が対日資産の凍結と石油輸出の全面禁止を決定した。石油の8割を米国から輸入していた日本は資源確保のために蘭印占領を計画、真珠湾とシンガポールの奇襲攻撃に踏み切る。松茸やアサリの外貨収入が、当時の日本の米国からの石油輸入と同等と考えるのは大袈裟だが、歴史を振り返ってみれば、当時の日本は米英中蘭による経済制裁の圧力に対して、中国からの撤兵という「国際社会からの要求」を受け入れることなく、そのまま孤立と破滅の路線を暴走して行った。明らかに自滅の道だけれど、当時の軍と政府は(主観的には)生き残りのために戦略的に動いていた。



b0087409_14342976.jpg北朝鮮も主観的には周到な戦略計算の上で行動している。金正日体制存続のためには、核保有国入りするしかないという判断の上でやっている。現時点から考えれば、当時の米国が日本に対して石油の全面禁輸を発動したことが本当に正しかったのか、戦争防止の外交という観点から再検討してみる余地はある。結果的に日本を追い詰めて戦争を誘発したという側面は否定できない。石油禁輸に踏み切った時点で、米国は日本との戦争を覚悟している。戦争を前提にした外交としての経済制裁である。日本は中国から撤退するか、それとも米国と戦争するかの二者択一を迫られた。今度の北朝鮮の場合は、国連が調整の舞台であり、当時の日米と同じ状況ではないが、経済制裁の次に来るのが戦争である事実は、政府も国民もよく理解しておく必要があるのであり、特に報道機関は、その点への注意を喚起する必要があるだろう。気になるのは、日本国内の世論でそうした慎重感や警戒心がなくなっていることである。戦争状態になることへの危機感がない。気分的に戦争を容認している。

b0087409_14305096.jpgこのところ、北朝鮮崩壊論があまり言われなくなった。飢餓で潰れる話を声高にする李英和のような議論を聞かなくなった。最近の論調は、むしろ北朝鮮は核保有国として存在感を示し、経済制裁にも耐えて、二年後の米大統領選挙を待ち、政権交代と同時に米朝交渉の機会を狙い、インドやパキスタンのような国際的立場を確保するだろうというものである。その議論は、北朝鮮の核に対抗できる強力な軍事力を日本も保持すべしという世論に繋がっている。経済制裁については、その効果は中国次第で、中国が北朝鮮の政権崩壊を決断しないかぎり、北朝鮮は二年間を生き伸びるだろうと言われている。が、これが北朝鮮の判断だとすれば、中国も同じ見方を持ってもおかしくなく、すなわち二年後に米朝対話が実現するのなら、二年間は北朝鮮を持ち支えてもよいという判断を下してもおかしくない。中国が恐れているのは、北朝鮮の暴走とか、難民の大量流入とか、そういう問題もあるけれど、最大の脅威は日本の核武装なのであり、日本が武力を背景に中国に干渉を始めることである。特に中台問題に。

b0087409_1431796.jpgそこで、日本の国内世論の状況を無視して言えば、本当なら米国が無条件で北朝鮮と二国間協議すればよいのであり、包括的支援と交換に核とミサイルを放棄させ、六カ国協議の場に北朝鮮を連れ戻せばよいのだ。右翼化した日本のマスコミは、中国ばかりを北朝鮮核問題の責任者にして責め上げるが、中国と同じかそれ以上に責任があるのは米国ではないのか。そもそも北朝鮮と戦争をする気もないのに、イラク攻撃を正当化するための言説装置である「悪の枢軸」論に北朝鮮を入れて挑発し、さらに日朝接近をぶち壊すために核疑惑問題を騒ぎ立て、挙句に金正日に核問題を逆手に取られて、逆に北朝鮮を核開発の方向に走らせてしまった。米国が面子を捨てて二国間協議をすればよいのである。米朝友好条約を結び、半島国連軍の解散を宣言して韓国から撤退すればよいのだ。その後で日本が平和友好条約を結び、百億ドル規模の経済支援をすればよいのである。経済支援の中身は土木建設で、北朝鮮には土建業者はないから、第二次朝鮮特需が日本の建設業界を潤せばよい。

b0087409_14312631.jpg唐家旋と武大偉の二人がワシントンに入った。中国外交部門のNo.1とNo.2。唐家旋が特使で米政権と協議するのを見るのは初めてのような気がする。論者の話では、中間選挙を控えたブッシュ政権は北朝鮮に弱腰を見せられないので、憲章42条の強硬姿勢で臨み、海上臨検に踏み切るのだと言う。が、米国の一部からは、結果的に北朝鮮に核保有させてしまった外交の失敗責任を追及する声が上がっている。結果を客観的に見れば、米国は核保有国を増やしただけであり、核拡散の危険を増大させただけで、東アジアの平和と安定に何の寄与も貢献もしていない。これで日本が核武装したら、その脅威は単に中国や韓国だけのものにとどまらず、将来の米国民の不安の種になるだろう。唐家旋と武大偉はライスを説得して、米朝二国間会談を実現させなければならない。米国は面子を失うが、米外交の出発点から間違っていたのであり、仮に日本の核武装が米国の国益を害する最大の失敗であるとするならば、それを阻止するために北朝鮮と二国間協議する程度は、些細な一時の恥に過ぎないはずだ。

真珠湾攻撃も、米国が仕掛けて誘き出した罠だったが、北朝鮮に対してはどうするのだろうか。これまで、米朝が開戦すればソウルが火の海になるから戦争は絶対にないというのが、北朝鮮問題を論じる際の通説であり前提だった。が、この前提が核実験を契機にして微妙に変化し始めている。小川和久がその前提を崩し始め、臨検と銃撃戦からのイベントドリブンのシミュレーションを提起し始めた。戦争がリアルなものになりつつある。

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by thessalonike4 | 2006-10-12 23:30 | 韓国 ・ 北朝鮮 ・ 拉致
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