本と映画と政治の批評
by thessalonike4
カテゴリ
チベット暴動と北京五輪
ガソリン国会と後期高齢者医療
新自由主義と福祉国家
ワーキングプアと社会保障
山口県光市母子殺害事件
福田政権・2008年総選挙
米国大統領選挙
田中宇と世界金融経済
イージス艦衝突事故
イスラエルのガザ侵攻
岩国市長選挙
防衛省疑獄事件
大連立協議と小沢辞任
民主党 ・ 2007年参院選
安倍政権
憲法 ・ 皇室
戦争 ・ 昭和天皇 ・ 靖国問題
韓国 ・ 北朝鮮 ・ 拉致
共謀罪 ・ 教育基本法改正
村上世彰インサイダー事件
オー・マイ・カッシーニ
ネット市民社会
丸山真男
辺見庸
奈良紀行
その他

access countベキコ
since 2004.9.1


















小池百合子の記憶と残像 - 刺客選挙から報道の革命まで
b0087409_18265517.jpgブログが小池防衛相の再任を予想した途端に、本人が入閣を辞退する報が伝わった。真相が何なのか興味深い。私が小池百合子の入閣を予想したのは、森喜朗たちの「小池降ろし」に対抗して、「改革」の旗を守ろうとする小泉純一郎が裏で強力に小池支持に動き、米国がお墨付きを与えて後押ししたからではないかと考えたからで、ここで小池百合子を失脚させると、「改革政治」の正統性が危機に瀕する恐れがあるからである。この季節になれば、誰もがいやでも思い出すが、あの二年前の郵政民営化選挙の主役は、「改革の旗手」として「抵抗勢力」が蟠踞する選挙区に斬り込んで行った刺客たちだった。その刺客候補の一番手として名乗りを上げたのがルックスグッドな小池百合子で、彼女が刺客として立ったときは、選挙の趨勢はまだ不透明な段階にあり、小泉自民党に風が吹くかどうかは微妙な情勢だった。そのとき、郵政民営化への世論は未だ賛否拮抗していた。



b0087409_18271120.jpgその意味では、小池百合子の「国替え」は勇気ある行動であり、その後の刺客候補を次々と引き込む呼び水となり、結果的に、改革路線を掲げる小泉自民党を勝利に導く大胆な決断だったということになる。したがって、東京10区で悪役の小林興起を叩き斬った小池百合子は、竹中平蔵と並んで「改革」のシンボルであり、新自由主義の政治勢力にとって地に落としてはならない神聖な「勝利の女神」的存在だった。小池百合子を安倍内閣の閣僚としてスライドさせたのも小泉純一郎の申し送りによると言われている。守屋武昌と小池百合子の暗闘は、別の角度から見れば、二年ほど前までの観念のフィルターを装着して見れば、すなわち典型的な「守旧勢力」と「改革勢力」の権力闘争として見ることもできる。その頃であれば、守屋武昌はマスコミによって「改革の敵」として袋叩きに遭っただろう。今度の参院選の自民党惨敗を受けて、改革政治の正統性が大きく揺らぎ始めている。

b0087409_1828533.jpg守屋武昌との暗闘に関して言えば、世論は小池百合子に無闇に厳しく、官僚の既得権(=官僚人事の治外法権)を主張する守屋武昌を擁護する形勢になっているが、私はこの見方にも少し違和感を覚える。守屋武昌は、小池百合子が次期次官に指名した警察庁出身の西川徹矢を呼び出し、西川徹矢が指名を拝諾した(掟破りの)事実を咎め、「それでもおまえは官僚かッ」と面罵したと言われている。今の時代がどういう時代かを思い、佐藤正久の例の「駆けつけ警護」の狂気と異常を思いながら、守屋武昌の「官僚」を「軍人」に置き換えてみよう。「貴様、それでも軍人かッ」。そういう恐ろしい情景が頭に浮かぶのは私だけだろうか。次官の任免権は大臣にある。とりわけ防衛省の場合は文民統制の原理が貫徹されることが重要で、防衛省の生え抜き次官が大臣に反抗して人事を拒否するなど、日本国憲法のこの国であり得ない話である。あり得ない話なのに世論は小池百合子憎しの感情だけで埋められる。

b0087409_18275119.jpg小池百合子を初めて見たのは通勤途中の朝の地下鉄の車内で、テレビ東京の新番組(WBS)の広告が中吊りに大きく出ていて、うろ覚えだが、小走りするような格好の小池百合子の写真があり、「筑紫さん、経済のことは私にまかせて」というコピーが書かれていた。小池百合子時代のWBSは一度も見てないから何も印象が無い。その次に見たのは、参院選で日本新党から出馬して当選した小池百合子が国会前ではしゃぐ姿で、サファリルックだか豹柄のミニだったか忘れたが、新聞記者に囲まれながら、「国会は猛獣がたくさんいるジャングルのような場所だからこのスタイルでいきます」などと軽口を叩いていた。小池百合子のその後を予感させる映像だった。その次に記憶があるのは、フジテレビの土曜日朝の番組だったと思うが、ミニスカート姿で登場した小池百合子が、回転椅子に腰掛けた下半身を左右に奔放に動かし、そしてスタジオの天井に移動するカメラを見上げ、両手を頭の後ろに回して仰ぐ印象的な映像だった。

b0087409_18273220.jpgその当時、民放局の報道番組では撮影手法に革命が起こり、スタジオのテーブルの下が空洞になって、キャスターたちの下半身が丸見えになるという衝撃の出来事が起こっていた。その革命を仕掛けたのは美里美寿々とテレビ朝日で、週末深夜の『ナイトライン』から脚線ビジュアルの武装蜂起が始まり、小宮悦子の『ニュースステーション』で国家権力の掌握に成功した。私は口を開けて革命を歓迎する視聴者大衆の一人であり、革命はテレビ朝日からフジテレビ、TBSへと波及して、遂には日本テレビ『今日の出来事』の桜井よしこを悩ませるという最終的な事態にまで行き着いた。旧体制の報道レジームで活躍した女たちには生きる場がなくなっていた。あれから二十年、革命は定着し、行き過ぎた革命は是正され、前衛であった小宮悦子的な過激なビジュアルは視界から遠くなったが、今はNHKの伊東敏恵が新しいレジームの下で生き生きと活動している。世の中が変わる、それが革命だ。とまれ、その新しい報道レジームのカメラの前で、小池百合子は水を得た魚のように嬉しそうに泳いでいた。

b0087409_1835234.jpgそれから、小池百合子についてもうひとつ感じるのは、あの子宮筋腫の全摘手術で人格が変わったのではないかということである。本当のところはわからないが、確かあの頃、あの頃というのは98年頃だが、小池百合子はHPを開設していて、HPの中で自分の病気について語っていた。その記事の印象は非常に孤独で、弱々しい悲愴感が感じられるもので、今の小池百合子のイメージとはかなり遠く、また当時の小池百合子のイメージとも相当に遠かった。新進党が崩壊した直後であり、言わば「落ち目」の時期だった。私生活では(と言ってよいのかどうか)三人目の男である中西啓介との間が噂になっていたが、HPの記述からは、どことなく「恋に疲れた」気配も漂っていた。政治家のHPとしては、何をするのも常にオペレーション・エクセレンスな小池百合子らしく、開設も早く、中身もそれなりに充実していたが、正直なところ、あのHPの記事からは、その後に靖国神社に参拝する右翼ギャルのイメージは全く感じなかった。

b0087409_1828229.jpg

[PR]
by thessalonike4 | 2007-08-25 23:30 | 安倍政権
<< 華麗なる内閣 - 「世に倦む」... 昔のIndexに戻る 新内閣の閣僚名簿予想 - 森喜... >>


世に倦む日日
Google検索ランキング


下記のキーワード検索で
ブログの記事が上位に 出ます

衛藤征士郎
八重洲書房
加藤智大
八王子通り魔事件
吉川洋
神野直彦
サーカシビリ
敗北を抱きしめて
苅田港毒ガス弾
道義的責任
可能性の芸術
青山繁晴
張景子
朱建栄
田中優子
小泉崇
アテネ民主政治
二段階革命論
影の銀行システム
特別な一日
ボナパルティズム
鎮護国家
三田村雅子
小熊英二
小尻記者
古館伊知郎
本村洋
安田好弘
足立修一
人権派弁護士
反貧困フェスタ2008
舩渡健
エバンジェリズム
ワーキングプアⅢ
新自由主義
国谷裕子
大田弘子
カーボンチャンス
秋山直紀
宮崎元伸
守屋武昌
浜四津代表代行
江田五月
馬渕澄夫
末松義規
平沢勝栄
宮内義彦
田勢康弘
佐古忠彦
田岡俊次
末延吉正
横田滋
横田早紀江
蓮池薫
金子勝
関岡英之
山口二郎
村田昭治
梅原猛
秦郁彦
水野祐
渓内譲
ジョン・ダワー
ハーバート・ノーマン
B層
安晋会
護憲派
創共協定
全野党共闘
二大政党制
大連立協議
民主党の憲法提言
小泉靖国参拝
敵基地攻撃論
六カ国協議
日米構造協議
国際司法裁判所
ユネスコ憲章
平和に対する罪
昭和天皇の戦争責任
広田弘毅
日中共同声明
中曽根書簡
国民の歴史
網野史学
女系天皇
呪術の園
執拗低音
政事の構造
政治思想史
日本政治思想史研究
ダニエル・デフォー
ケネー経済表
マルクス再生産表式
価値形態
ヴェラ・ザスーリッチ
故宮
李朝文化
阿修羅像
松林図屏風
菜の花忌
アフターダーク
イエリネク
グッバイ、レーニン
ブラザーフッド
岡崎栄
悲しみのアンジー
トルシエ
仰木彬
滝鼻卓雄
山口母子殺害事件
偽メール事件
民主主義の永久革命
ネット市民社会