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恥と共に去りぬ - 安倍晋三の退場と自民党後継総裁の政治
b0087409_95026100.jpg今回の安倍晋三の辞任劇は、日本の憲政史上最悪の汚点として残るもので、議会制民主主義に対する卑劣な侮辱行為である。新聞やマスコミは様々な見方を示しているが、根底には安倍晋三自身の生まれながらの日本国民への軽蔑意識と民主主義への拒絶観念がある。安倍晋三の傍若無人は遺伝子が為さしめているもので、要するに六十年安保のときに権力の座を追われた戦犯岸信介とその娘の洋子、その二人から受け継いだ日本国民への不信と戦後憲法の民主主義に対する怨念が精神構造の中核にあり、安倍晋三の傲慢で欺瞞に満ちた行動を突き動かしている。安倍晋三の驚天動地のわがままと無分別は、母親の洋子が許し唆しているもので、恐らく、参院選敗北後に辞任させず居直らせたのも、代表質問直前に辞任させたのも、安倍洋子の倒錯した溺愛妄念が庇護し誘導しているのに違いない。国民は徹底的にバカにされ、コケにされたのだが、安倍洋子と安倍晋三は国民をバカにして二人で哂いたかったのだ。戦後民主主義の憲法体制の下で、親子は自覚せる「正統的異端」であり、究極の悪と愚劣を演じて歴史に汚点を残して恥じることはないのだ。



b0087409_9503997.jpg政権は安倍家の私物であり、煮て食おうが焼いて食おうが安倍家の勝手であり、それは偉大な信介から贈り与えられたものであり、保守派の超越的嫡流として、憲法が定めた議会制民主主義の手続きなり、主権者である国民の世論や感情などは無視してあざ笑っていてよいのである。安倍洋子は不思議だろう。一年前にあれほど高い評価で晋三を支持し、改革の後継指導者と礼賛した国民とマスコミが、たった一年で無能者呼ばわりしてバッシングしている。不思議であると同時に憤懣やるかたないだろう。今日の朝日新聞は、1面から39面まで正論記事で埋められていて、気分よく読める。2面では安倍晋三に首相の資質がなかったと書き、社説では無責任な安倍晋三を総裁に選び、参院選後に続投させた自民党の無能と衰弱を批判している。安倍晋三の無能は自民党の無能でもある。自民党の無能と言えば、昨夜の『NEWS23』で、スタジオの河野太郎に対して筑紫哲也が、「なぜ自民党は参院選敗北のときに安倍首相を辞めさせなかったのか」と問うたのに対して、河野太郎が「参院には総理大臣を選ぶ権能はないから」という例の法的責任論で応じた。

b0087409_9505016.jpg電話の向こうの筑紫哲也は唖然としただろう。唖然としたのと同時に、自分たちの世代の常識が通じなくなっている日本の政治世界の状況に愕然としただろう。河野太郎が返した反論は、安倍晋三とその周辺が居直りの論理で使っていたものである。詭弁であり、法理を利用した醜悪な自己正当化の屁理屈である。政治家に法的責任以上に道義的責任があることを誰もが忘れていて、道義的責任論から安倍晋三の開き直りを衝く者がいなかった。法的責任だけが政治指導者の責任であるなら、橋本龍太郎も辞める必要はなかったし、宇野宗佑も辞める必要はなかったのだ。選挙に大敗しながら党首が居直る前例を作れば、必ず後々の自民党に悪影響が及ぶこと、そしてそれが自己と家族と子孫にとって恥であり、自ら禁じなければなければならない道義違反であることを橋本龍太郎も宇野宗佑も知り、また続投という道義違反を許さない責任意識環境が(そんなことは至極当然のことだが)当時の自民党にはあったのである。政治家は誰よりも道義的責任に対して敏感で率直でなければならない。それが筑紫哲也の常識であり、筑紫哲也が河野太郎に期待した常識であった。

b0087409_951237.jpgそもそも、河野太郎を『NEWS23』のスタジオに呼んでやったのは、自民党の中にも世間常識を理解した脱安倍の若手がいて、少しは自己改造できる余地があることを視聴者に訴えさせてやるためだったのに、KYなのは安倍晋三だけではなかった。筑紫哲也の声が震え、怒りと憤りが電話を通して伝わってくるようだった。自民党には正常な常識感覚がなく、自浄能力がない。テレビを見ていた視聴者は誰もがそう思っただろう。今回の安倍晋三の卑劣な辞め方は、間もなく総選挙を戦う自民党にとって決定的に不利になるもので、どう考えても有利には働かない。新しい政権が発足しても、自民党そのものの支持率の向上はないだろう。自民党はこの間二度、安倍晋三のワガママの抑制に失敗している。一度は7月29日の参院選投票日の後、二度目は昨日の9月12日。総選挙のことを考えれば、何があっても代表質問前の前代未聞の辞任劇は避けさせなければならなかった。参院選で自民党に投票した支持者の少なくない部分が、自民党に失望して民主党支持にスイッチを切り替えるに違いない。無能でKYなのは安倍晋三だけでなく、自民党全体がそうなのだ。

b0087409_951113.jpgさて、昨日の政局のテレビ報道をリードしていたのは田勢康弘であった。田勢康弘が時代を解説する主役の報道人の位置に躍り出ている。昨夜は『報道ステーション』と『NEWS23』をハシゴしていた。テレビに出ずっぱりの超ビジー状態にありながら、漏れなく自民党幹部周辺に取材し、総裁選の情勢を的確に射抜いている。昨夜の後継総裁選びの予想では、田勢康弘の指摘がいちばん面白かった。小泉純一郎が再登板する可能性を論じた表現が実に説得的で、「なるほどあり得る」と頷かせられるものだった。田勢康弘の分析では、必ずしも麻生太郎が磐石の優勢ではないのだ。私も同じ見方をしている。私の現在の予想は、森喜朗の強い押しで福田康夫が後継に収まるのではないかというものである。その場合は小泉チルドレンと改革派が反対派になるが、小泉純一郎が立つ以外に対抗馬になれる人材がいない。現在の自民党で、人事を動かせる実力者は、小泉純一郎と森喜朗と青木幹雄の三人だけである。後の人間はキングメーカーではなく、派閥の領袖も含めて、涎を垂らして選ばれるのを待つ方だ。派閥はどれも小さく、領袖たちには何の力もない。有能なカリスマもいない。

三人のキングメーカーのうち、森喜朗と青木幹雄が組み、それを公明党が後押しするトロイカが組まれれば、福田康夫ですんなり決まるのではないか。その場合は、従来の改革路線は大幅に修正され、「格差是正」が新しい自公権力の政治目標になる。


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by thessalonike4 | 2007-09-13 23:30 | 安倍政権
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