本と映画と政治の批評
by thessalonike4
カテゴリ
チベット暴動と北京五輪
ガソリン国会と後期高齢者医療
新自由主義と福祉国家
ワーキングプアと社会保障
山口県光市母子殺害事件
福田政権・2008年総選挙
米国大統領選挙
田中宇と世界金融経済
イージス艦衝突事故
イスラエルのガザ侵攻
岩国市長選挙
防衛省疑獄事件
大連立協議と小沢辞任
民主党 ・ 2007年参院選
安倍政権
憲法 ・ 皇室
戦争 ・ 昭和天皇 ・ 靖国問題
韓国 ・ 北朝鮮 ・ 拉致
共謀罪 ・ 教育基本法改正
村上世彰インサイダー事件
オー・マイ・カッシーニ
ネット市民社会
丸山真男
辺見庸
奈良紀行
その他

access countベキコ
since 2004.9.1


















安倍晋三の責任と無責任 - 福田康夫有利を予想できた理由
b0087409_10232848.jpg所信表明演説や辞任会見の際に、安倍晋三の口から責任という言葉がやたらと連発されるのだが、その意味が不明で、言葉が軽く、本人はどういう意味で責任という言葉を言っているのだろうかと訝っていたのは『報道ステーション』の加藤千洋だった。その加藤千洋は、一昨日(9/12)の放送で、40日間の無駄な政治空白を作り出し、国会の代表質問の直前に身勝手に辞任した安倍晋三に対して、「国民に対してお詫びする言葉が一言もありませんでしたね」と静かな怒りのコメントを発していた。日本語の「責任」という言葉は飾り言葉に堕しやすく、中身を曖昧にしやすい性格を持っている。責任という言葉を執拗に掲げて訴えながら、安倍晋三の政治ほど無責任なものはなかった。窮極の政治的無責任の姿。それは海外メディアからも厳しく批判されているとおりだが、安倍晋三の責任と無責任について少し感じたことを述べると、安倍晋三が修辞として使っていた「責任」は、本当のところは、本人の内面において「国民に対する責任」の意味は無かったのではないか。



b0087409_10205486.jpgそれは、大日本帝国の閣僚や幕僚たちと同じような意味の「責任」、すなわち、天皇に対する責任と言いつつ、実際には無責任を押し通すという意味の責任ではなかったと私には思われる。無論、平和主義者で護憲派である現在の天皇陛下に対する尊崇や敬拝の意識は、安倍晋三には露ほどもなく、「責任」の修辞的中身も戦前の軍国支配者たちとは相当に違う。完全に空っぽなのだ。責任の単語を辞書で引くと、「立場上当然負わなければならない任務や義務」とか「自分のした事の結果について責めを負うこと」の語義が出る。ここで大事なのは、任務や義務を負う者と負わせる者の二つがあって、任務や義務を負わされた者は任務や義務を履行できなかった場合、任務や義務を負わせた者に責められるということである。無責任とは、その責めから逃げる、あるいは責めを認識せず無自覚である、任務や義務や責めの存在を否定するということだろう。安倍晋三にとって、あらゆる政治的行動において、「責任」の実質的な意識対象は母親の洋子なのだ。

b0087409_10204191.jpg政治家としてこの義務を履行しなければ責められる、この任務を実行しなければ厳しく責められ追及される、そう感じる「責められる相手」が、国民なのではなく、母親の洋子なのである。母親の洋子に責められなければいい。母親の洋子が許してくれればいい。母親の洋子が評価してくれればいい。責任を果たす相手が母親なのだ。修辞で使う「責任」の言葉の相手先は、形式的外面的には国民で、実質的内面的には母親。安倍晋三の「責任」はそういう構造になっている。だから、義務や任務を放り出しても国民には謝らない。そして、誰でもわかるとおり、母親と子どもの関係というのは、ある意味で窮極の無責任であり、言うならば無責任な関係で許される関係である。責任を問われない関係である。母親は子どもに対して無制限で無条件の愛と受容で接するし、基本的にそうであることが自然な関係と言える。安倍晋三は母洋子に対して何をやっても許されるし、どのような失敗や錯誤や醜態をやらかしても「よしよし、よくやった」と褒められて頭を撫でられるのだ。

b0087409_10212163.jpg安倍晋三が責任を感じていた相手は、国民ではないことは分かっていたが、母親以外に米国は含まれるのだろうと思っていた。だが、今回の辞任劇を見るかぎり、日本政府が給油新法を国会で成立することは難しい情勢になっただろうし、米国は日本がインド洋での給油活動を断念放棄したと理解判断するだろう。安倍晋三は(新自由主義のご宗家の)米国に対してさえ責任を果たそうとはしなかった。シドニーであれだけ「国際公約」を言い挙げながら、舌の根も乾かぬ四日後に電撃辞任。ホワイトハウスも驚いただろうし、驚き以上に怒りの方が大きいだろう。安倍晋三の今後の政治家人生がどうなるか知らないが、少なくとも米国は、今回の無責任の不愉快を記憶にとどめることだろう。総裁選の情勢とも関係するが、新総裁は公明党との関係を小泉安倍政権よりも強める展開になる。公明党は米軍給油に積極的ではない。安倍晋三の無責任は、給油新法さえも潰してしまった感がする。戦術的には、自民党には、安倍辞任と引き換えの新法成立という交渉カードがあった。身を捨てて給油継続を実現するというのなら、その戦術で民主党に臨めばよかった。

b0087409_10213092.jpgさて、自民党総裁選の政局分析だが、ブログが昨日の記事で予想したとおり、一日で福田康夫優勢の状況になった。この情勢展開を予想するのは簡単なことで、田勢康弘も同じ分析をして同じ予測を弾き出していたはずだ。永田町の表面だけ見ている連中は麻生太郎本命と騒いでいた。田勢康弘は一昨夜の報道番組で、繰り返し、「私の取材では麻生太郎で流れが決まりにはならない」と言い続けていた。田勢康弘が放送局から放送局をハシゴする車の中で携帯電話をかけて取材していたのは、実は他ならぬ青木幹雄と森喜朗の二人だったのである。この二人と小泉純一郎を加えた三人がキングメーカーで、残りの人間は、麻生太郎も含めて、指名を待つキャンディデイトの身に過ぎない。青木幹雄と森喜朗が自民党の「数」を握っている。参院議員と最大派閥町村派議員の数を握っている。この二人が誰を立てるか、どう動くかを考えれば、新裁選が誰になるかを占うのは至極簡単なことであった。現在の自民党で、派閥の数の論理を無視して得票を実現できる(小泉前首相のような)カリスマはいない。必然的に「数」を持っている人間の動向を睨んで誰もが動くことになる。

b0087409_10214225.jpg麻生太郎にはカリスマはなかった。国民に人気があるように見えたのは、小泉前首相のカリスマの反射光である。昨年の安倍晋三の人気も、麻生太郎の人気も、実体は小泉人気であり、小泉純一郎が総裁候補に指名したから人気が上がったのである。小泉純一郎のカリスマのライトを小泉後継の三人で分け合っていたに過ぎない。総裁選は、小泉純一郎が立候補しないかぎり、福田康夫で圧勝になるか、あるいは福田康夫の不戦勝になるだろう。額賀福志郎の立候補について、マスコミが言わないので一言コメントすると、この無能な男の立候補の動機は、単純に派閥の中での久間章生との跡目争いだけである。自分が出ると言わなければ津島派が他の人間を立てるかも知れない、あるいは自分が派閥を継承をできなくなるかも知れない。その焦りで、勝利の目算も集票の展望もなく慌てて手を挙げた。出ても惨めな完敗だし、恥を曝すだけで、出ない方がいいに決まっている。今日明日の情勢だが、麻生太郎が降りれば、つまり福田康夫に対して立候補者なしの状況ができれば、田勢康弘が言っていたように、待ってましたと小泉純一郎が手を挙げる可能性がある。

あるいは、小泉純一郎が「改革派」の立候補者を指名して、その後見人を宣言する可能性がある。それは誰かと考えると、基本的には誰もいないが、敢えて無理にキャンディデイトを選び出せば、小池百合子の名前が考えられるだろう。小池百合子だけが単独で出ても誰も推さない。それは当然だ。嫌われ者で人気がない。しかし小泉純一郎が小池百合子を指名すれば、そうすれば政治の化学変化が起きる。永田町の政治状況は一変する。改革新党と政界再編含みの不穏な情勢が出来上がる。前原誠司や長島昭久や原口一博らは、その動きに便乗する構えを見せて、小沢執行部を動揺させる動きに出るだろう。

b0087409_1021552.jpg

[PR]
by thessalonike4 | 2007-09-14 23:30 | 安倍政権
<< 福田康夫の政治 - 総理就任で... 昔のIndexに戻る 恥と共に去りぬ - 安倍晋三の... >>


世に倦む日日
Google検索ランキング


下記のキーワード検索で
ブログの記事が上位に 出ます

衛藤征士郎
八重洲書房
加藤智大
八王子通り魔事件
吉川洋
神野直彦
サーカシビリ
敗北を抱きしめて
苅田港毒ガス弾
道義的責任
可能性の芸術
青山繁晴
張景子
朱建栄
田中優子
小泉崇
アテネ民主政治
二段階革命論
影の銀行システム
特別な一日
ボナパルティズム
鎮護国家
三田村雅子
小熊英二
小尻記者
古館伊知郎
本村洋
安田好弘
足立修一
人権派弁護士
反貧困フェスタ2008
舩渡健
エバンジェリズム
ワーキングプアⅢ
新自由主義
国谷裕子
大田弘子
カーボンチャンス
秋山直紀
宮崎元伸
守屋武昌
浜四津代表代行
江田五月
馬渕澄夫
末松義規
平沢勝栄
宮内義彦
田勢康弘
佐古忠彦
田岡俊次
末延吉正
横田滋
横田早紀江
蓮池薫
金子勝
関岡英之
山口二郎
村田昭治
梅原猛
秦郁彦
水野祐
渓内譲
ジョン・ダワー
ハーバート・ノーマン
B層
安晋会
護憲派
創共協定
全野党共闘
二大政党制
大連立協議
民主党の憲法提言
小泉靖国参拝
敵基地攻撃論
六カ国協議
日米構造協議
国際司法裁判所
ユネスコ憲章
平和に対する罪
昭和天皇の戦争責任
広田弘毅
日中共同声明
中曽根書簡
国民の歴史
網野史学
女系天皇
呪術の園
執拗低音
政事の構造
政治思想史
日本政治思想史研究
ダニエル・デフォー
ケネー経済表
マルクス再生産表式
価値形態
ヴェラ・ザスーリッチ
故宮
李朝文化
阿修羅像
松林図屏風
菜の花忌
アフターダーク
イエリネク
グッバイ、レーニン
ブラザーフッド
岡崎栄
悲しみのアンジー
トルシエ
仰木彬
滝鼻卓雄
山口母子殺害事件
偽メール事件
民主主義の永久革命
ネット市民社会