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by thessalonike4
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福田康夫の政治 - 総理就任で目標達成、政策も選挙も関心外
b0087409_16112847.jpg9/14(金)は自民党総裁選の告示日だったが、その日の朝日新聞に 「次はこんな資質の人を」と題した社説が載っていた。面白いので引用すると、「首相に求められる資質とは何か。(中略) いたずらにキャリアを重ねればいいわけではないが、豊富な経験がものをいうのは間違いない。議会制民主主義の道理をわきまえることも必要だ。さらに寛容の心が大切だ。国を率いるには強い指導力が肝心だが、『われこそが正しい』と思い詰める偏狭さは国を誤らせかねない」 とある。明らかに、倨傲と独善の暴走の果てに国民や国会に大迷惑をかけてクラッシュした安倍晋三に対する批判をこめた首相資質論であり、安倍晋三から福田康夫への政権移行の必然性を肯定的に弁証する筆致である。面白いと思ったのは、恐らく半年もしない間に、また新しい総裁選びを自民党はやる羽目になるに違いないのだが、そのとき、朝日新聞は、新総裁にどのような資質を期待するだろうかと意地悪く思ったからである。



b0087409_16113953.jpgすなわち、「豊富な経験やバランス感覚も大事だが、自らの政治目標を堂々と掲げ、国民のために必ずこの政策を実行するという強い信念や決意を持っていることが必要なのは間違いない。野党や連立与党に柔軟に配慮する気配りの姿勢も肝要だが、何より重要なのは国民を引っ張る強いリーダーシップである。明確なビジョンや哲学がなく、指導力のない政治は国を誤らせかねない」。こんな社説を書かれるのではないか。麻生派を除く党内全8派閥を纏めた福田康夫だが、私は福田康夫の退陣は早いと見る。その理由は、福田康夫自身にとって、総裁になることそのものが目的で、総裁になって何をやるという目標や理念が無いからである。無能な安倍晋三が、最後まで悪あがきして政権にしがみついたのは、憲法改正をしたかったからである。徴兵制と核武装と靖国神社国営化を実現したかったからである。日本の体制を戦前の美しい国(大日本帝国)に戻すために総理大臣の座を手放したくなかったのだ。

b0087409_16115167.jpgだが、福田康夫にはそうした特別な思想信条がない。彼の動機は、単に「俺が総理になりたい」「俺が総理にならないのはおかしい」というポスト欲だけである。福田康夫に代わって動機と心境を代弁してやるなら、「清和会の決め事で小泉純一郎の後は俺だと決まっていたのに、後から出て来た安倍晋三の小僧に急に横取りされてしまった。福田赳夫の方が安倍晋太郎より格が上に決まっているじゃないか。清和会の連中は派祖である福田赳夫をどう思っているのだ」 という程度のものだろう。だから13日に報道陣に取り巻かれても何も説明する言葉がなく、事実上総裁選を制した14日のテレビ出演のときも、「急だったでしょ、政策構想は今考えているところ、一日二日じゃ無理だよ」などと恍けた返答で逃げていた。理想も目標も何もないのに、派閥序列と世襲貴族の論理で一国の総理になる。それを当然視して憚らない。安倍晋三ほどの病的な幼児性と自己中心性はないものの、この71歳の老人政治家も「お坊ちゃん」であることは同じなのだ。

b0087409_1612268.jpgだから、逆から考えれば、福田康夫は総裁になった時点で自己の政治目標を達成したと言える。これで終わりなのだ。未練は何もないのである。うまく行けば半年はやれる。運がよければ一年もできる。それで十分なのであり、それ以上の望みは特に無い。党内を見渡して有力な政敵は存在せず、小泉純一郎の造反さえ警戒していれば、党内から総裁の座を転覆させる危険因子は何一つ無い。マスコミは、福田康夫が総理になれば小沢民主党はやりにくくなるだろうなどと言っているが、それは全く根拠の無い推測で、未練や執着がない福田康夫は簡単に政権を手放すし、国会運営で追い詰められれ、マスコミに支持率低下を叩かれれば、あっさり辞任を選ぶだろう。給油新法成立と交換の内閣総辞職のカードは十分にあり得る。後継は決まっていて、森善朗と小泉純一郎と青木幹雄のキングメーカーは、今回と同じ纏め方で神輿を町村信孝にするだろう。内閣が早く変わってくれた方が、派閥にとっては大臣ポストの配分を早回しできるから都合がいい。

b0087409_16121184.jpg福田康夫は解散総選挙はせずに内閣総辞職で退陣すると私は予想する。少なくとも現時点の本人の思惑(=脳内政局運営予定)では、自分の手で解散総選挙して勝利するロードマップはなく、次の総裁に解散総選挙をさせるプランを立てている。あくまで非常時のワンポイント・リリーフの総理総裁像を自己想定し、それで十分満足しているはずだ。自分の手で解散総選挙をするのなら、本格的に構造改革の路線を転換して、格差是正の主張を前面に押し出す必要がある。そうでないと、誰が総理になっても自民党は総選挙を戦えない。この時点で福田康夫がそれを言わないのは、本人の念頭に総選挙がないためと、総裁選での勝利を確定させている余裕であろう。構造改革は継承し、消費税は上げると言っている。内政面での政策転換は全く期待できず、国民生活の負担と地方経済の疲弊はさらに深刻さを増す政権構想が語られている。基調は「改革」の正当性の論理であり、財政赤字の脅迫の論理である。霞ヶ関と御用マスコミが担ぎ推進する正統な改革政権。

おそらく内閣支持率は低く出るだろう。高くて50%の水準だろう。それが徐々に下がって行く。念願の総理総裁になれて嬉しくてたまらない福田康夫は、国民生活の窮迫や働く貧困層の実態も知らず、地域経済や地域医療の崩壊状況も知らない。それらは全て他人事で、政策決定の関心事項ではなく、単に「改革の光と影」の修辞フレーズのリフレインで済ませて場を凌ぐ些事である。そして官僚の言うがままに「財政健全化」のために社会保障予算と地方交付税を削減し、消費税アップを公約し、短い総理大臣の任期を恙なく全うしようとするだけだ。庶民は痛みに耐えながら、希望の灯(ともしび)である総選挙の日を待っているけれど、その福音の日が訪れるまでに、激痛に耐えかねて倒れ潰れてゆく者は少なくないのだ。

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次が町村信孝なんてあるのかしら、清和会が5人も続いていいのかよと、怪訝な顔をされているブログ読者も多いかも知れない。が、ここはよく考えていただきたい。小泉純一郎が、「私は町村さんを支持します」と一言言えば、その声に抵抗する者はいるだろうか。森喜朗と青木幹雄が指名し、小泉純一郎が支持の声を上げた候補者に、自民党の中から異論を立てられる者がいるだろうか。対抗馬として出るのは、今回の麻生太郎同様、総裁選をテレビで盛り上げて宣伝するための単なる当て馬である。であるとすれば、福田康夫の後、森喜朗と青木幹雄は次を誰に指名するか。普通に考えれば町村信孝となる。森喜朗と青木幹雄が指名する候補者以外の可能性は、常に小泉純一郎本人の再登板しかない。現状の自民党の権力構造はそのようになっている。それでは、次は福田内閣の組閣名簿を予想しよう。
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by thessalonike4 | 2007-09-16 23:30 | 福田政権・2008年総選挙
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