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by thessalonike4
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内閣支持率 53% - 食料品値上げ+10% 消費税増税+5%
b0087409_21315622.jpg9/16の記事で福田内閣の支持率を「高くて50%の水準だろう」と予想していた。結果は朝日新聞が53%、読売新聞が57%、共同通信が58%で、ブログが予想した水準より少し高めに出た。予想より高めに出た理由は、洪水のような2週間の政治宣伝の影響だと言えるだろう。あれだけ徹底的にテレビで宣伝をやれば、しかも民放だけでなくNHKも巻き込んで大規模にやれば、どんな商品(政権)でも確実にプリファレンスは上がる。今回の総裁選宣伝報道は、民放よりもむしろNHKの方が積極的に仕掛けているように見えた。そこにはいろいろな意味や背景があるだろうが、何となく感じたのは、昨今の政治番組ブームを見て、NHKがそれに追従して精力的にキャッチアップしているような印象があり、「政治番組コンテンツ」の視聴率にNHKが敏感になっている気配がある。



b0087409_2132684.jpg民放の後を追って、政治をテレビのコンテンツにすることにNHKが前向きになっていて、純粋な報道ではなく、視聴率稼ぎの演出されたショーとして政治を見せようとしている。時代の変化を睨み、民営化圧力の中で、NHKの政治報道が民放ナイズした堕落したものになりつつある。本来、政権側の立場に立っているNHKが、そういう流れに乗ることで、余計に歪な政治宣伝が現出している感がある。NHKの民放化と言えば、最近のNHKの7時のニュースは、題材も手法も民放のワイドショーに酷似してきて、昨年の秋田児童連続殺人事件が起きたときは、来る日も来る日も放送枠を割いて、民放のワイドショーと同じ中身を流していた。昔のNHKの7時のニュースを知る者には堕落に見えるが、脱構築主義者が見れば、堅いNHKが柔らかく変わって結構なことなのだろうか。

b0087409_21322686.jpgそういう憤懣を持ちながら見ていた9/24(月)の『NHKニュース9』で、この秋からの加工食品その他の値上げのニュースが報じられていた。世界的な原材料の高騰を理由に食料品や身近な生活サービス商品が次々と値上げされる。即席めんカレールースナック菓子チョコ菓子ハム・ソーセージツナ缶冷凍から揚げ食用油パスタパンなど、日常的にスーパーで購入している加工食品が軒並み10%ほど価格が上がる。クリーニング代タクシー代も上がる。番組では、伊東敏恵がスタジオのテーブルに値上げ予定の商品をずらりと並べ、また、都内に住むサラリーマンの一家の冷蔵庫事情が映像で紹介されていた。その家には3人の食べざかりの子どもがいて、家計簿を横にした母親が電卓を叩きながら、1ヶ月の食費が4千円以上あがる計算になると困惑した表情を見せていた。NHKらしい映像だった。

b0087409_21321712.jpgNHKらしい生活関連ニュースの見せ方だったが、私が思ったのは、確かに3人の育ちざかりの子どもを抱えた家族に食料品の1割値上げは痛いだろうが、この値上げのインパクトの大きさは、生活保護家庭や年金生活者、ネットカフェ難民の生活を強いられている人々や働く貧困層の人々にとってどれほど激烈な痛みであろうかということだった。本当は、食料品値上げの国民生活への深刻な影響を報道するときは、報道者はその部分にこそ目を向けなければならないはずであり、子だくさんの中産層家庭を標準サンプルにしてインパクトを一般化して示すのは、現実をオブラートで包んで見せる欺瞞的で隠蔽的なやり方に違いないのだ。その部分は報道されず、誰も言わず、生活への影響を測定しようとする者はなく、その問題を深刻な社会問題として扱おうとする者はいない。報道の表ではマスクされたまま、視聴者の想像するところに任されている。

b0087409_21323532.jpgそして賑やかな報道の表通りでは、秋の政治特番の主役の二人が出て、消費税を上げる政治公約と政策根拠を得意満面で話している。キャスターたちは台本の台詞を読むように、「消費税値上げはやむを得ないところですか」などと嬉しそうに合いの手を入れている。古館伊知郎を筆頭に、報道キャスターの言説はどれも同じで、国民は借金の返済責任を将来の世代に負わせるのではなく、負担増に応じて財政再建に貢献すべきであるというものである。財政再建のために生活保障を削減するのが正しい政策であり、その正しい政策を改革と呼び、国民は改革に反対してはならない。逆に、生活保障を充実させる政策はバラマキであり、福祉や医療や介護の予算を増やせと主張するのは社会主義であり、間違った政策である。それが報道者たちの基調である。防衛費がどれほど膨らんでも、米軍基地の建設費に何兆円かかっても、それはバラマキとは言わない。

b0087409_214106.jpg食料品が10%値上げされ、消費税が5%値上げされたら、国民生活はどうなるのか。低所得者の生活はどうなるのか。そのことを誰も言わない。政治学者も誰も言わない。生活が苦しくなれば、国民の政治への不満は高まって、内閣や政権政党への支持率は低くなるはずである。一般的にはそのはずである。だが、近年のこの国の国民の政治意識と生活意識は奇妙で不可解な様相を示していて、一般論の理解が容易に通用しない構造になっている。福田内閣の今後の支持率はどうなるのだろう。だが、福田政権と支配者たちのやり口はわかっている。「改革」は、ギラギラした竹中平蔵の頃の弱肉強食の自己責任時代を過ぎ、すなわち経済的な階層分解と淘汰固定の時代を過ぎ、国家が負担憎で国民を責め上げる局面を迎えた。具体的には国民と地方への給付削減と増税で、予算削減=負担増を根拠づけるために財政赤字を言い、脅迫装置として消費税を使うのである。

消費税の値上げがイヤなら社会保障の削減と負担憎に応じろ。メッセージはシンプルでストレートであり、国民は政府とマスコミが迫る二者択一の前の前に立たされる。小泉内閣でもそうだった。安倍内閣でもそうだった。福田内閣も同じである。

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by thessalonike4 | 2007-09-27 23:30 | 福田政権・2008年総選挙
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