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党首会談の解読 - 消費税増税の断行、政策連立、消費税選挙
b0087409_14134132.jpg昨日(10/30)、電撃的に行われた福田首相と小沢代表の党首会談の裏を読み解く。最初に結論を言うと、これは消費税増税の合意をとるために福田政権が持ちかけたものである。新テロ特措法の協議というのは口実で、マスコミ報道用のカムフラージュに過ぎない。目的は消費税だ。新テロ特措法を断念するから消費税増税で合意してくれという取引を持ちかけた。福田首相は新テロ特措法については、すでに成立困難で見通しを固めている。11月の訪米は新テロ特措法の不首尾の陳謝と弁解、そして来年度の米軍再編予算の詰めの協議のためであり、ブッシュ政権もそのアジェンダで了承しており、自衛隊によるインド洋の補給は来年のリソースから外している。新テロ特措法は死に体の政治案件であり、だからこそ、取引の材料に使えるのである。鳩山由紀夫が言うとおり、確かに福田政権は追い詰められている。



b0087409_14311872.jpg福田首相の言う 「衆参のねじれを何とかしたい」 というのは本音で、できれば大連立を図りたい。大連立が無理なら、衆参両院で消費税増税を通せる政策連立を実現したい。現状のままではシリ貧なのだ。具体的な状況を言うと、まず防衛省疑惑の捜査が進んで特捜部の手が政治家に伸びる。一斉捜索の絵だけでも現政権の支持率は下がる。大物政治家が逮捕されれば劇的に下がる。次にC型肝炎ウィルスの問題がある。このままでは厚生官僚の国会証人喚問は避けられない。政権の看板閣僚である舛添要一が満身創痍になり、内閣支持率がまた低落する。さらに来年の3月中に照合作業を終わらせると言っていた「消えた年金問題」も、政府の「空証文」が露わになる。そして何より、政権にとって打撃なのは、米国が北朝鮮をテロ支援国家の指定から外すことである。日本政府の北朝鮮外交は根本から修正を余儀なくされる。

b0087409_1414946.jpg状況は全て悪材料ばかり。この上、新テロ特措法を衆議院で再議決できず、内閣の公約が悉く破綻してしまえば、福田政権は支持率30%を割り込み、年を越す前に存続が不可能な状態となる。ここは討って出て、死中に活路を拓くしかない。その秘策が消費税なのである。こう書くと、ブログ読者は、消費税がなぜ福田政権の起死回生策になるのか不思議に思われるだろう。国民に最も人気のない増税策でなぜ反転攻勢が図れるのか。が、読者はよく考えて欲しい。地域の郵便局が潰されて住民が不便になるのがわかりきっている郵政民営化で、二年前、小泉政権は総選挙に大勝した。国民は郵政民営化を支持して小泉自民党に一票を入れた。あの悪夢を忘れたわけではあるまい。私も(何度も同じことを書いたが)参院で郵政法案が否決されたときには快哉したし、解散総選挙が決まった瞬間、これでやっと新自由主義の「改革」に幕が引かれると歓喜した。

b0087409_14142660.jpg福田首相には自信があるのだ。われわれは想像する必要がある。福田首相が消費税増税の来年度実施を宣言し、全マスコミを官邸に集めて、「賛成か反対か国民に問いたい」と迫ったらどうなるのか。読売と日経はずっと前から自民党の消費税増税策を強く支持している。朝日も消費税増税に大賛成で、民主党に対して財政再建から逃げるなと言い、バラマキはやめろと言い続けている。朝日と読売と日経。この三紙が一致したときの世論シェアはどれくらいか。無論、朝日と読売と日経が歩を合わせれば、当然、NHKはそれに乗る。朝日と読売と日経とNHK、この4社が支持する政策の支持率はどのくらいか。われわれは想像できる。それは二年前の郵政民営化と同じだ。想像しよう。解散から三日後、日本テレビの「バンキシャ」に出演した谷垣禎一が、討論相手の菅直人に言うのだ。「菅さん、それじゃお聞きしますが、民主党は消費税増税に賛成なんですか反対なんですか」。

b0087409_14145240.jpg民主党の中にも消費税増税賛成派の新自由主義者は大勢いる。改革は、今や、かつての竹中平蔵的な自己責任や規制緩和や市場原理を強調するドラスティックな表象と内実を後退希釈させ、もっぱら政府の財政再建と国民負担の必須性を前面に押し出した「将来のための責任負担」を訴求するマイルドな路線にフォーカスしつつある。古館伊知郎は、スタジオに呼んだ民主党幹部の発言を遮り、「将来の子供たちに負担を押しつけて平気なのか」と声を荒げて恫喝するだろう。みのもんたと岸井成格と田原総一朗も、「民主党の消費税増税反対は無責任だ」と声を揃えて罵倒し、増税に反対する評論家を番組から追い出すことだろう。郵政民営化のときのマスコミと同じように、反対論者は「国民の敵」になる。朝日と読売と日経が一致結束すれば、そういう選挙報道が当たり前にできる。怯えた民主党は消費税増税反対を引っ込め、「消費税増税は賛成だが、政府の消費税増税には反対だ」と訳のわからない主張を言い始める。

b0087409_1413544.jpgそういう想像ができる。以上が私の10/30の党首会談の裏読みで、要するに福田首相は小沢代表に対して、ここで消費税増税に合意しないのなら解散総選挙に出るぞと迫っているのである。政府自民党の消費税増税は本気だ。新テロ特措法は捨てたが、消費税増税は必ずやる。おそらく、財務省は来年度予算を消費税増税を前提した歳入計画案で組んでいる。12月に出る財務省原案には消費税増税が規定値としてインプリメントされている。福田首相は小沢代表に消費税での政策合意を求め、政策連立を打診しているのに違いない。そしてそれを小沢民主党が拒否すれば、マスコミを固めた上で解散に討って出るのだ。消費税選挙。朝日と読売と日経、これを押さえれば世論の7割は握れる。そういう目算だろう。この党首会談の政治を受けて、現在、最も狼狽しているのが公明党で、蜜月の終焉の事態に焦っているに違いない。公明党は消費税増税には簡単に賛成できない。だからこそ、福田首相は伴侶を民主党に組み替えようとしている。

b0087409_1415321.jpgこれが党首会談の裏である。政治は動いている。小沢一郎は、党首会談をやっても、自民党とは何も合意しないと表向き言っている。嘘だね。合意する前提がないのなら、何で何度も密室で協議を繰り返すのだ。選挙で福田自民党が勝った場合、政界再編が起き、衆参で多数派となる安定政権ができるだろう。それは読売と日経が求める小泉政権のような保守安定政権である。福田首相は選挙が目的ではない。小泉純一郎とは手法が違う。消費税政権が目的で、重要政策を密室で協議して妥協合意できる「安定的政治環境」が欲しいのである。解散にせよ、消費税連立にせよ、11月中には答えが出る。福田首相の周囲は会談の極秘を守っているようで、山本一太のブログを見ると、「小沢代表が福田総理との会談を呑んだ理由が、どうしても分からない」などと書いている。バカな男だ。ブログを読んで勉強しろ。真実を知っているのは、自民党の中では、町村信孝、伊吹文明、谷垣禎一、古賀誠、森喜朗か。民主党の中では、鳩山由紀夫とあと誰だろう。菅直人は知らされているのか。

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【補遺】

郵政民営化のときのような世論状況が作られたら、国民は間違いなく増税側に投票する。参院選で民主党が勝てたのは、①選挙の主たる争点が年金問題に設定されたことと、②政治とカネの問題で自民党の不祥事が続発し(松岡・赤城)、③さらに閣僚の不適切発言が続いたこと(久間・麻生)、④それに対して安倍晋三が無能で何の対応もできなかったこと、などによる。格差や生活の問題はもちろん大きかったが、生活苦を実感している層でも自民党に投票している場合は多い。読売の読者層が朝日の読者層より豊かとは思えない。

安倍晋三が退陣したとき、国民世論はすぐに衆院解散と政権交代を求めるかと思ったが、テレビが自民党総裁選の宣伝シャワーを流し始めた途端に、そういう反自民の空気が背景に後退して、福田康夫と麻生太朗のお祭り騒ぎに空気が染め上げられて行った。そして総裁選が終われば、自民党の支持率が民主党を上回るという世論の現実が出来上がっていた。マスコミはすぐに話を切り替える。8月は参院選の民意を言い、庶民の生活苦と負担苦を言い、安倍晋三の資質の無能を言っていたが、総裁選になると途端にそれらの話はしなくなった。

マスコミが話を切り替え、関心を別のものに集中させると、この国の国民はそれに付き従う。朝青龍から時津風、時津風から沢尻エリカ、沢尻エリカから亀田一家。マスコミが関心を方向づける操作や誘導に対して抵抗し、その抵抗を確実な力にして世論を作れる人間や機関が存在しない。だから、テレビが沢尻エリカや亀田一家の話の代わりに消費税を持ってくれば、すぐにその話題になり、マスコミが誘導する消費税議論が国民一般のものになり、それが世論数値として出てきて既成事実になる。民放テレビの報道キャスターと政治番組がその世論操作の実務をやる。

報道2001で竹村健一が消費税増税必至を言い、黒岩祐治がそれを番組の正論としてオーソライズし、サンデーモーニングで田中秀征が増税賛成を主張し、岸井成格がそれをTBSの正論としてサーティファイする。サンデープロジェクトで田原総一朗が消費税増税当然論を言い、番組出演者の自民党の谷垣禎一と民主党の前原誠司と後ろに座っている田原総一朗の子分連中が全員賛同し、そこにたまたま座っていた福島瑞穂と志位和夫が反対する。福島瑞穂と志位和夫が田原総一朗の子分の財部誠一と高野孟に激しく罵倒される。番組の正論が消費税増税であることが確定される。

日本テレビは言わずもがな。日経も読売も朝日も、自分たちがずっと支持し主張している政策を多数世論にしたいだろうから、特に朝日は、消費税の世論調査をして数字を出すときに、相当に「工夫」をするだろう。 安んじて消費税増税反対を言えるのは地方新聞だけ。いずれにしても、この環境の中で力のある対抗世論を作り、それを多数化するのは至難の業と言える。政治に無関心な層や「B層」と言われている層は、簡単に「増税が正論」で固めるテレビ報道の「世論」を受け入れる。「共産党だけが反対しても仕方ない」と思う。

イラク自衛隊派遣を受け入れたように、郵政民営化を受け入れたように、消費税増税も仕方なく受け入れる。

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by thessalonike4 | 2007-10-31 23:30 | 大連立協議と小沢辞任
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