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by thessalonike4
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国民との公約の反故 - 有権者はなぜ契約破棄に怒らないのか
b0087409_14235894.jpg大連立の騒動がなければ、この週末の政治番組は福田政権の手詰まりが大きく前面に出された報道内容になっていた。また、政府税調が来年度答申で「消費税増税」を盛り込むことが確実となったニュースも取り上げられ、各番組で議論されて視聴者の関心を喚起していたことだろう。それから、鳩山邦夫の不適切なテロリスト発言が話題にされ、閣僚の資質に疑問の声が上げられていただろう。今度の大連立協議のハプニングによって日本の政治の空気は一変してしまった感がする。窮地に追い詰められていたのは自民党だったはずだが、民主党も同じほど混乱と瓦解の危機に立たされた印象がある。まず、諦めムードだった新テロ特措法が息を吹き返した。これまで世論の賛否が拮抗していたのが、守屋武昌の証人喚問があり、特捜の手が政治家に伸び、補給艦の航海日誌の改竄事実が明るみに出る最悪の局面に及んで、新聞とNHKも今国会での衆院再議決困難の観測で論調を一致させていた。 



b0087409_1423492.jpgところが、大連立騒動の政局があり、小沢一郎の恒久法が人質に取られた格好で、与党が民主党に反転攻勢をかける材料が用意された。小沢一郎の大連立協議は、政治としては完全な失敗であり錯誤である。恒久法で民主党内部が纏まるはずがない。党が割れる。恒久法はISAFからの延長線上の話だが、そこまで小沢一郎が、党の存亡を賭けてまで恒久法に拘るのなら、参院選のマニフェストに大きく公言して、選挙の争点の一つに設定して、有権者の支持を調達しておくべきだった。国民にとってはISAFも恒久法も寝耳に水の話であり、民主党の選挙公約だった「生活第一」の政策の実現とは全く無関係の主張であり、小沢一郎が選挙の民意を無視して一人で勝手に危険な火遊びをしているとしか見えない。民主党に一票投じた有権者が求めているのは、年金問題の審議であり、医療問題の改善であり、子育て環境の整備であり、農家最低所得補償の実現であり、そして政治とカネの問題の完全な再発防止策である。

b0087409_14233719.jpg参院選で公約した生活諸政策の実行こそ民主党の第一の課題であり、多数を制した参院で徹底攻勢をかけ、与党を政権運営困難に追い込み、解散総選挙に持って行くとこそ、国民多数の意思であり期待であった。それが有権者と民主党との契約である。小沢一郎と民主党は契約を守らなくてはいけない。契約書には自民党と連立協議をするなどとは一言も書かれていない。契約書には大きな字で「政権交代可能な二大政党制を」と書いてある。マニフェストで並べた政策目標の全てについて、民主党は自民党と連立協議して実現しますとは書いていない。大連立で政策実現するとは約束していない。あくまで自公政権を倒して、政権交代によって公約を実現すると宣言している。民主党のマニフェスト、すなわち国民に対する契約書の第一は「政権交代」の実現であり、政権交代をするから一票をくれという契約内容であった。参院選の酷暑の中、党候補者たちは「政権交代、政権交代」と毎日連呼して選挙区を回っていた。テレビでは幹部が「政権交代」を熱弁した。

b0087409_1424736.jpg政権交代はどうなったのか。自民党総裁の打診を受けて大連立の密室協議をやり、条件を詰め合って党役員会に持ち帰ったという党首の政治行動は、国民に公約した「政権交代」を真っ向から否定する裏切り行為ではないのか。契約違反ではないのか。わずか3ヶ月前に国民と取り交わした契約の一方的な反故行為ではないのか。こんな不誠実な契約破棄が許されるのか。詐欺だろう。何をもって国民の前で「大連立協議」は正当化されるのか。小沢一郎は、これから公の前に出ることができるのか。出ればマスコミの前で説明をしなければならない。選挙公約を無視して連立協議に応じたのはなぜなのか。あれほど拘って公開討論を言いながら密室協議をやったのはなぜか。党役員会に持ち帰った福田首相の条件の中身は何だったのか。今後も自民党と連立協議を続けるのか。国民にどう説明して納得してもらうのか。両院議員総会を開いて説明する予定はあるのか。他の野党にはいつ説明するのか。恒久法を自民党と共同で提出して成立させるのか。代表は辞任しないのか。

b0087409_14241633.jpg週明け、各報道機関のアンケート調査結果が出る。「大連立を支持しますか」のYES/NOの集計が出る。政党支持者別の数字も出る。自民党支持者はYESの回答も多いだろう。連立協議の政治は、それを仕掛けることで民主党に動揺と混乱を与え、民主党の勢力を殺ぐ。民主党の支持率を下げる。巧妙で効果的な戦略戦術であり、苦境で劣勢の自民党に挽回の好機を与えた。そういう評価で「支持する」と答える自民党支持者も少なくないだろう。一方、民主党支持者の方は、ほぼ100%「支持しない」と回答するだろう。誰も自民党との大連立など望んでいない。このアンケート結果は世論の「小沢不信」に影響を与え、民主党の支持率を引き下げる方向に導く。党内で小沢批判の声が上がり、小沢代表と党幹部に公開の両院議員総会の席で釈明を求める動きも出るだろう。前原誠司を頭目にする新自由主義者の一派が、機に乗じて姑息な立ち回りを始める。読売新聞が小沢代表と福田首相の次の会談日程の「情報」を流し、密室協議の「詳細」をさらにリーク報道する。狙いは民主党の分裂だ。

b0087409_14242658.jpgこの事態を収拾するためには、小沢一郎が国民の前に出て密室協議に応じた失態を侘び、真摯な反省の言葉を尽くし、再び参院選での公約(政権交代と生活政策の契約)に基づいて党代表の政務に励むことを宣誓することである。恒久法の持論を撤回し、国民と支持者からの信頼回復を図ることだ。そのことによって一時的に下がった支持率は再び回復し、民主党議員も本来の国会活動と政策任務に精力を集中させることができる。だが、人一倍自尊心の強い剛腕人格の小沢一郎にそれができるだろうか。あの「政治改革」以降、新生党、新進党、自由党と新党を作っては壊してきたのが小沢一郎の政治経歴である。一体これまで何度、政権に入る入らないで揉め、奇怪で幼稚な「政界再編」騒動を繰り返してきたことか。その度に、政治改革学者と朝日新聞は小沢一郎をほめそやかし、「剛腕」だの「仕掛人」だのと無益な追従口を並べてきた。前回の民主党代表選で菅直人と一騎打ちとなったとき、小沢一郎が票を集めた決定打は「私も変わらなければならない」の殺し文句の挨拶だった。

b0087409_14243859.jpg小沢一郎は変わったのか。参院選までは誰もが「変わった」と信じていた。ブログ世界を眺めていると小沢一郎擁護論が多い。民主党擁護のための小沢擁護発言だが、しかし、今回の連立協議で支持者は小沢一郎に徹底的にバカにされたのではないのか。愚弄され侮辱されたのではないのか。愚弄され侮辱された者として怒りを覚えるということはないのか。主権者はわれわれ国民である。政治は我々がするのであって、小沢一郎も民主党もわれわれの政治意思の代理代行人でしかない。そのことを忘れていやしないか。小沢一郎の政治の恩恵をわれわれがパッシブに受け取るのではない。小沢一郎が主でわれわれが従ではない。逆だろう。政治の意思はわれわれ国民が決め、それを小沢一郎と民主党が代行するのだ。小沢一郎は「政権交代」と「生活政策」を提案してきた。その提案がよかったから、われわれは小沢一郎を代行者として選ぶ契約を交わした。小沢一郎は契約を破棄できない。履行するのみ。われわれは契約を破棄できる。なぜなら、われわれは主権者だから。主たる立場だからそれができる。

国民主権とはそういうことだ。従たる小沢一郎に契約を一方的に不誠実に破棄されて、どうして怒らないのか。主権者としての立場を愚弄され、有権者の信託と信頼をここまで踏み躙られて、どうして君らは怒ることをしないのか。なぜ主権者として正当な言論をしないのか。

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【11/4 4:30pmの代表辞任記者会見】

明日(11/5)の記事で詳しく書けるかどうか分からないが、この小沢辞任劇は、慶喜が二条城で大政奉還した作戦と同じだ。薩長へのカウンターポリティックス。諸侯の前にポイッとに大政を奉還し、慌てた諸侯や公家たちが、いま慶喜に政権を投げ出されたら困るから、お願いですから慶喜様の新国家政策で政権を担当して下さいと頭を下げて、慶喜の構造改革路線を支持するように仕向けようとした政治術策と同じである。

狙いは一本。

恒久法を民主党の政策としてオーソライズさせることだ。そして、その上であらためて代表を引き受ける。要するに党内の恒久法反対派を潰し、密室協議に乗った過失責任を帳消しにするための一鳥二石の剛腕謀略である。役員会と執行部は、小沢一郎を慰留しようとすれば恒久法を認めるしかない。さらに政権協議にも入らざるを得ない。恒久法と政権協議の拒否を選ぶか、それとも俺を選ぶかと、二者択一を迫っているわけだ。

民主党役員会は小沢一郎の脅しと駆け引きに乗ってはいけない。恒久法を認めてはいけない。すぐに辞表を受理して、後任を代表代行の菅直人に決めろ。小沢一郎に付いて出て行く人間は追い出してやればいい。選挙での神聖な公約を破って自民党と取引をはかった小沢一郎は、引責辞任が当然だ。これは喩えて言えば、日産のゴーンがトヨタの経営陣と密談して、独断で合併を決めようとしたのと同じだろう。重大な脊任行為じゃないか。

許されるはずがない。辞任の前に解任で当然だ。       (11/4 17:40)

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by thessalonike4 | 2007-11-04 23:30 | 大連立協議と小沢辞任
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