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「改革新党」の謀略シナリオ - 小池百合子・竹中平蔵・前原誠司
b0087409_1334361.jpg年始から政治が不気味に動き始めている印象がある。衆院選での自公政権の敗北が必至になりつつある状況で、それに手を打つべく、いろいろな思惑が錯綜して新しい流れを作りつつある。最近のマスコミに頻繁に顔を出しているのが、小池百合子と前原誠司と竹中平蔵の三人で、1/6のフジテレビと1/7の朝日新聞に小池百合子と前原誠司が、1/6の日本テレビと1/8の朝日新聞に竹中平蔵が登場していた。メディア側、すなわち現在の支配権力の側(資本と官僚と新聞)が何を考え、どのような策に出ようとしているか、何となく手の内が見えつつある気配がする。1/8の朝日の記事は、ヒステリックに消費税増税を唱えたもので、竹中平蔵に「税で連立するな」と言わせている。1/6の日本テレビでも同じ発言をしていたが、自民と民主の二大政党で消費税に賛成反対の立場を分けよというもので、消費税を選挙の争点に据えることを意図している。



b0087409_12422114.jpg朝日新聞も竹中平蔵と基本的に同じで、消費税を選挙の争点に据え、二党で賛成と反対に分かれて戦えという主張だ。朝日新聞の記事の論調は、自民を消費税反対派にして、民主を消費税賛成派にして、そこで二党が「大きな政府」と「小さな政府」の対立軸ができればいいというものである。記事を書いたのは板垣哲也という編集委員だが、若宮啓文の部下だろうか。この朝日の政治パラダイムは、15年前の「政治改革」とその後の説明構図と全く同じで、つまりは「小泉改革」以前の時代の二大政党論をそのまま敷き直して提示したものである。朝日から見ると、現在の福田政権はバラマキを復活させて改革を後戻りさせている古い日本の護送船団的勢力であり、小泉政権が遂行した構造改革を前進させるのは民主党の役割であり、改革推進の旗幟を鮮明にして自民党との違いを明らかにするためにも、民主党は消費税増税を選挙公約に掲げよと主張している。

b0087409_12425275.jpgその記事には、山口二郎の昨年末の消費税増税論の言葉も引用されている。朝日にとっては、格差是正や生活問題は選挙の争点ではないらしい。これだけ昨年からワーキングプアの問題が議論されて、格差是正が人々の政治意識の中心的な関心になりつつあるのに、朝日はワーキングプア(貧困問題)が構造改革によって齎された社会の病だという常識的な認識を持たず、それを無視して、バラマキ批判という形で社会保障削減論を唱導している。記事の中身だけ読めば、朝日新聞は新自由主義の新聞だと言われてもおかしくない。社会保障財源に手当できる予算支出の無駄は無数にあるのに、そしてそれらは放置されたままなのに、朝日はそこに斬り込もうとせず、官僚による国民の税収奪の論理をそのまま自社の論説にして記事を書いている。感覚がズレているのだ。そうでなければ官僚と財界から買収されているのだ。消費税を上げたら景気が冷えて日本経済はさらに悪化する。一時的に税収が増えても、官僚はそれを浪費して財政赤字を増やすだけだ。

b0087409_12432716.jpg山本一太のブログの中に最近の永田町の空気と今後の動きを予感させる徴候がある。自民党の連中は衆院選を前に相当に焦っている。落選と下野の悪夢にうなされていて、早く現状の不利をリセットできる「政界再編」を仕掛けたいと躍起になっているのだ。その「政界再編」の芝居に登場する主要なキャストが、小池百合子であり、前原誠司であり、竹中平蔵なのである。恐らくこれから、この三人が田原総一朗の「サンデープロジェクト」などテレビに活発に露出して、「改革新党」のアドバルーン演出を繰り返すことだろう。背後には小泉純一郎の影があり、落選確実の現職チルドレンの「再生利用」の問題がある。小泉チルドレンの集合は、今では自民党の半ば不良債権だが、「改革新党」で色直しをすれば再生価値を十分に発揮する。「改革新党」を立ち上げて、選挙の公認候補を揃える段になったとき、自民党では不要になったチルドレンは実に便利な存在だ。頭数として使える。現職の知名度もある。

b0087409_1244588.jpg小池百合子と竹中平蔵が「改革新党」を立ち上げる。そこに前原グループと小泉チルドレンが参加表明する。百名近い巨大な衆院新勢力が永田町に出現する。山本一太や世耕弘成ら参院議員も呼応の動きを見せてマスコミで立ち回る。「改革新党」が総選挙の台風の目になる。選挙区では、自民党、民主党、改革新党の三つ巴の戦いになる。これまで、自民と民主の二大政党の戦いが想定されていた選挙情勢は大きく変動する。争点の構図も一転する。生活と格差の問題は背後に退き、改革かバラマキかという「改革新党」の争点設定がマスコミを通じて世論に浸透する。朝日新聞がそれを応援する。民主党に「改革新党」と政策歩調を合わせるように指導する。選挙後には連立を組めと指南する。日経新聞と読売新聞は、自民党に対して「改革新党」と政策協調して選挙後に連立を組めと言う。米作農家への支援や高齢者医療費負担増の猶予などはバラマキだから止めろと言う。社会保障を削減する「小さな政府」を目指せと言う。

b0087409_12443447.jpg選挙が終わる。結果が出る。三党の議席数はどうでもいい。大事なのは、民主党の過半数を阻止することだ。民主党と共産社民の合計で過半数を割らせることだ。選挙が終わった。次の日、自民党は「改革新党」と連立政権を組むことを発表する。その次の日、「改革新党」は自民党との合同を発表して党解散を宣言する。「改革新党」は使命を全うして短い命で終わる。つまり、選挙のためだけの新党を立ち上げたのであり、目的は自民党の政権を延命させることと、自民党の政策を再び構造改革路線に引き戻すことだった。チルドレンも路頭に迷わずに済んだ。さて、菅直人と小沢一郎の民主党だが、残念ながら悲願である政権獲得を果たせなかった。その次の次の日、民主党参議院の若手グループが民主党からの離脱を宣言する。独立会派を作る。民主党の参院過半数体制が崩れる。独立会派は自民党と歩調と揃える。こうして、日本の政治は小泉政権の時代へと帰る。自民党が衆参で安定多数を占め、政策は新自由主義の改革路線を純粋に貫徹する。

b0087409_12544177.jpg消費税は上げる。格差は広げる。朝日新聞は地団太を踏み、選挙で「改革新党」と共闘しなかったから政権を取れなかったのだと喚き、菅直人に失敗の責任を押しつけて糾弾する。「改革新党」の戦略。この戦略は、二年半前の小泉純一郎の「刺客選挙」が下敷きになっている。あのとき、選挙区は、自民党公認、民主党、公認を外された無所属の三者の戦いとなった。勝敗はそれぞれだったが、争点は完全に郵政民営化一本に絞られ、郵政民営化に反対した現職議員と郵政民営化に曖昧だった民主党候補が落選した。ブームが起きた。人々は今と同じように生活不安に喘ぎながら、郵政民営化による楽園の到来の約束を信じて、マスコミが誘導するままに小泉自民党に投票した。天下りの官僚を恨みながら、カネまみれの保守政治家を憎みながら、みのもんたと岸井成格の教導に従って改革政党の自民党に票を入れた。マスコミを使えばブームは簡単に興せる。現在の民主党のモメンタムを止め、政治状況をリセットし、政治選択の構図をリニューするためには、「改革新党」のラウンチが最も効果的だ。

作って壊す「改革新党」。地方に組織を作る必要もない。手間はかからない。カネは日本経団連が出す。宣伝はマスコミがやってくれる。候補は現職チルドレン。すぐにできる。効果は十分に計算できる。選挙後の新内閣の外務大臣は前原誠司、防衛大臣は小池百合子、総務大臣が竹中平蔵。

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【1/7朝日新聞の前原誠司の発言】

朝日新聞を購読してないブログ読者のために1/7の記事を紹介するが、小池百合子との対談の中で、前原誠司は相当に過激な民主党批判と小沢一郎批判を陳述している。「党の現状をどう見ますか」という記者の質問に対して、次のように答えている。
政権を執るためにどうするか、私の中で結論が出ていない。対案路線の積み重ねが信頼感を生むを考えるか。現政権を批判することで支持を集めていくのか。小沢代表は後者。「とにかく与党がのめない政策を出せ」とおっしゃる。内政はばらまき、外交は反米。これで政権を取ったときに整合性が取れるか。
この記事は民主党議員の全員が読むだろうから、党内で物議を醸すだろう。菅直人をはじめとして、民主党の幹部たちは、昨年の小沢一郎の大連立騒動以来、党が割れないように割れないように、内側から波風が立たないように立たないように努めてきた。小沢一郎を宥めて機嫌をとり、また若手が小沢一郎を批判しないように、それが小沢一郎の耳に入らないように懸命に党内を斉してきた。

今回の前原発言は、朝日新聞が意図的に言わせたものだが、雰囲気的には、ほとんど党を割って出る一歩前の執行部批判のように聞こえる。いかに言論の自由に寛大な民主党でも、副代表の前原誠司がここまで暴言をするのは黙って見過ごすことはできないだろう。逆に、前原誠司がここまで新聞で言えるのは、前原グループの若手30名を纏めていて、政界再編に自信があるからとも見れる。

最後に、記者が二人に、「小池・前原新党なんてどうですか」と水を向けるのだが、それに対して前原誠司は、「うちの党の仲間より、意見が近い部分があるのは確かだ」と返している。フジテレビや読売新聞がこの対談と発言を載せるのはわかるが、朝日新聞がここまでやるのは異常だ。ひょっとしたら「改革新党」は既定の事実で、すでに動き始めているのかも知れない。民主党幹部の憂鬱は深いだろう。
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by thessalonike4 | 2008-01-09 23:30 | 福田政権・2008年総選挙
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