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by thessalonike4
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小沢一郎の本会議採決ボイコット問題 - 暫定税率国会の不毛
b0087409_14405227.jpg小沢一郎の新テロ特措法採決ボイコットは、国会と国民を愚弄する行為で、議会制民主主義に対する挑戦である。この行為は、昨年9月の臨時国会冒頭、野党の代表質問の直前に政権を投げ出して辞任した安倍晋三の暴挙と同じかそれ以上に重大な民主主義に対する背信行為だろう。ネットの一部で、特に護憲左翼の側から、小沢一郎擁護のヒステリックな声が上がっているのは理解に苦しむ。国会の採決で投票するのが国会議員の職務だ。主権者である国民に代わって、議案の採決に賛否の意思を投票で示すのが国民代表たる国会議員の職責である。国会は国権の最高機関である。このことは憲法41条で規定されている。小沢一郎の今回の投票ボイコットは、国権の最高機関である国会に対する公然たる侮辱行為ではないのか。安倍晋三の愚劣な行為と同じではないのか。日頃、「護憲、護憲」と騒いでいるブログ左翼は、憲法は9条だけだと誤解しているのではないか。



b0087409_1441593.jpg小沢一郎の行為は憲法41条違反ではないのか。しかも小沢一郎は単なる一代議士ではない。二大政党の一の党首であり、わが国の国権の最高機関の中で福田首相と共に最も責任の重い立場にある人間である。その上、新テロ特措法は、野党第一党の党首である小沢一郎が、臨時国会最大の対決法案として国会論戦の中心に据え、国民世論を喚起してきた政治争点のはずだった。他にも大事な問題があるはずなのに、新テロ特措法の審議と抗争で延々と国会の時間を費やしたのは小沢一郎の戦略による。その本人が採決の場から逃走するとは何事か。国会と国民に対する侮辱も甚だしい。先週号の週刊文春が報じているが、午後4時半から予定されていた大阪の選挙応援演説は、投票を済ませた後の午後3時発の便でも間に合わないことはなかった。せいぜい10分遅れほどで現場に到着できた。普通であれば、採決の時間を考えて演説を午後5時開始にしただろう。

b0087409_14411839.jpg確かに、投票をする前に結果は見えている。法案成立は投票前に確実であり、採決と投票は儀式である。しかし、それは、他のあらゆる法案の議決においても同じであって、儀式だから無用だと言うのであれば、この新テロ特措法だけでなく、全ての法案や予算案の採決は省略してよいことになる。本会議は要らなくなる。天皇陛下の開会宣言と首相の所信表明と野党の代表質問だけでよいことになる。否、それも儀式だから省略してしまえという話になる。民主主義とは手続のことではなかったか。学校でそう習わなかったか。手続とは儀式であり形式である。民主主義とは制度であり形式である。フォーマットだ。そして、この形式を手に入れるため、制度を制度として社会に確立させるため、人類はどれほど多くの犠牲と流血を歴史に残してきたことか。彼らにとって将来の世代であるわれわれのために、われわれに民主主義の制度と権利を与えるために、彼らは魁となり屍となったのである。

b0087409_14412857.jpg護憲だのリベラルだのを標榜する者が、「儀式に立ち会う」必要はないなどと言っているのを彼らが聞けば、例えば、大正期に官憲の弾圧の中で普選運動をした人たちや、婦人参政権のために命を賭けた市川房枝たちが聞けば、彼らは一体どう思うことだろう。その「儀式無用論」を黙って聞き過ごしてくれるだろうか。形式や制度の一般にアンチのポーズを示して、異端の独立表象で肩で風を切って得意になるのは、全共闘以来の日本の左翼の行動パターンだった。それが単なる無責任主義であり、政治的退嬰であることを咎める人間は誰もいなかった。自分が無責任な人間だから、小沢一郎の無責任主義がカッコよく見えるのである。同じ事をやってみたいのだ。世間を小バカにしてせせら笑ってみたいのだ。小沢一郎の採決ボイコットを正当化するのなら、安倍晋三の野党代表質問前の遁走辞任も容認してやらなければならない。代表質問なんて儀式なんだから要らないじゃないか。

b0087409_14413825.jpgそれから、ネットの一部に、今度の国会はガソリン問題だけでいいなどという見逃せない暴論もある。暫定税率が争点なのか。これは、やはり民主党が先に言い出して、それに自民党が呼応して、それをマスコミが固めて、今度の「国会の争点」になった。臨時国会のときの新テロ特措法と同じだ。小沢一郎は同じことを言っていた。国民の世論が民主党に味方して、国会で追い詰めて福田政権を解散に追い込むと。最初に言いたいが、暫定税率も重要だろうが、国会ではもっと議論して欲しい重要な問題がある。参院選の民意は格差と年金の問題について国会に解明と解決を求めたはずだ。格差問題について何も議論されていないではないか。どうしてこれほど酷い格差社会になってしまったのか、何が原因なのか、どうやって問題解決するのか、そのことを与野党で徹底的に議論して欲しい。特に、民意が多数を与えた民主党は、その格差問題を取り上げて、国会で論議の争点に据える責任があるはずだ。

b0087409_14414824.jpgさらにもっと言えば、週末のNHKのニュースで報道していたが、地方の医療体制の問題を早急に何とかしないといけない。都会はまだ近くに病院がある。地方には病院がなくなって、病気になっても医者に診てもらえなくなっている。地域医療崩壊の問題をこの国会で真剣に議論しないといけない。緊急に予算を組んで、地域の病院の経営再建と医師不足の手当てをしないといけない。2200億円の社会保障予算のマイナスシーリングの撤廃を国会で決議しないといけない。地域医療の問題は揮発油税の問題などよりはるかに重大だ。ガソリン値下げ隊のキャンペーンをやるくらいなら、民主党議員は地域医療の現場を回って、悲惨な今の現実を政府に訴えるべきではないのか。産科医が消えて子供を産めなくなっている日本の現実を国会で論議しないといけない。格差と医療こそ国民が国権の最高機関で争点にして欲しい問題である。問題解決のために国民代表に手を打って欲しい緊急課題である。

b0087409_14473957.jpg揮発油税の暫定税率など、その後でよいのだ。地域の病院が潰れずに済み、地域中核病院の数と体制が原状回復されるなら、そして社会保障予算の削減を撤廃するのなら、ガソリンの価格は今のままでもよい。民主党は、本当に大事な医療や格差の問題に斬り込んで、そこで国民の支持を調達するべきなのに、そうしようとせず、参院選前には争点でも何でもなかった暫定税率を政治の主舞台に浮上させた。私は、これも小沢一郎の手法だと思う。小沢一郎の愚民観がある。人をバカにした視線がある。生活に困っている国民は、ガソリン代が下がるなら嬉しくて、喜んで民主党を応援するだろうという軽薄な「計算」が見える。馬の鼻面にニンジンをぶら下げているような気分でいるのだ。何でこんな問題を急に「争点」に据えるのだろう。早速、私は見てないが、週末の政治番組は、暫定税率問題で与野党が大論戦をしていたらしい。それで政治番組が埋められて、格差問題などは全くマスコミに省みられていない。

b0087409_1442918.jpg小沢一郎が言う「解散に追い込む」はもう信用できない。二度も騙されたりはしない。新テロ特措法問題の幕切れはあっけなく、意外きわまるものだった。暫定税率問題の幕切れの場面はどうだろう。政府が税率で妥協して、ガソリン価格が雀の涙程度下がる。そして、その引き換えとして、「社会保障制度維持のための消費衛増税」が自民と民主の合意で成立する。せいぜい幕切れはそんなところではないか。民主党は、確か12月頃は、通常国会での論戦では政府の予算の無駄遣いを徹底的に暴くと言い、その無駄遣いリストを作成中だと言っていた。それに大いに期待していたが、今のところ「無駄遣いリスト」は公開されていない。特別会計の闇にメスを入れる姿勢も明確には見えない。主役だった年金の長妻昭も後ろに引っ込んで、別の人間が「ガソリン値下げ」をやっている。税源移譲のチマチマした財政論議より、予算で大事なのは政府の無駄遣いや特殊法人の問題ではないのか。民主党は「公約」を忘れて後退している。

そしてマスコミでは、本質論のところでは、改革派(新自由主義)の議論ばかりが勢いよく飛び交っている。民主党は確か、参院選の前後には、偽装請負問題でキャノンの御手洗冨士夫を国会で証人喚問すると言っていた。格差問題への対応の意味で、御手洗冨士夫の国会証人喚問は重大な一手だと言っていた。あれはどうなったのだ。証人喚問はしないのか。格差問題への対応はどうなったのだ。

b0087409_14421917.jpg
BNNアンケート調査

「国会議員としての責務が欠如」が8割超

BNNでは毎週月曜日から1週間のサイクルでWebアンケートを行っています。1月14日から20日までの1週間は、「小沢代表が新テロ特措法の採決を棄権、あなたの意見は?」のタイトルでアンケートを実施しました。今回、アンケートに参加していただいた方は男性1,246人、女性221人の計1,467人でした。


  アンケートの投票結果は、次のとおりでした。

     ・国会議員としての責務が欠如         1,225票   83.5%
     ・民主党代表として不適格             82票    5.6%
     ・結論が明らかだった採決より選挙が大切   65票    4.4%
     ・衆院本会議での再可決こそ問題        50票    3.4%
     ・ともかく本人が説明すべき             45票    3.1%

  最多は「国会議員としての責務が欠如」で、8割を超えました。

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by thessalonike4 | 2008-01-21 23:30 | ガソリン国会と後期高齢者医療
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