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チベット暴動と北京五輪の政治 - 今後の三つのマイルストーン
b0087409_151428.jpg今日が3月27日。もし仮に、今回の暴動がチベット側による北京五輪を標的にした意図的で計画的な政治であったとするならば、この動きはこれから五輪開催までの間にさらに続発する可能性が高い。具体的に日程を見てみると、8/8の北京での五輪開会式までの間に三つの大きな政治的里程標が考えられる。①まず5/6から5/10までの胡錦濤主席の訪日、②その次が6/19から6/21での聖火リレーのチベット自治区内通過、③そして最後に7/7から7/9までの洞爺湖サミットである。このタイミングで暴動の連鎖が起きるだろう。もし私がチベット独立派の政治参謀なら、そのようなマイルストーンで戦略を立案する。作戦の目標は北京五輪を潰すことであり、EU加盟諸国を始めとする主要国の五輪不参加を実現することで、それが究極の目標だが、それに並ぶ戦略目標として、洞爺湖サミットの首脳会議のテーブルでチベット問題を議題にして討議させ、サミットの決議文にチベット問題に関する一項目を挿入させることがある。



b0087409_1511553.jpg洞爺湖サミットには過去最多の23ヶ国の首脳が招待されて出席する。正式メンバー8ヵ国に加えて、豪州、インド、韓国、インドネシア、ブラジル、メキシコ、エジプト、南アフリカなど、全世界の首脳が北海道に勢揃いする。まさに主要国首脳会議の名に相応しい画期的な規模の国際会議となる。その中でも中国の存在は一段と大きい。この会議でチベット問題が討議されて、ステイメントに文言が盛り込まれたりしたら、中国としては面子丸潰れで、国際的な立場を大きく失墜させられる。胡錦濤主席と中国は全世界の視線が集まる中で赤恥をかかされる。中国の国内に激しい衝撃と動揺が走り、五輪を前に胡錦濤体制は国民と軍と党の支持を失って失脚、退陣を余儀なくされることだろう。そのサミット決議文を根拠に北京五輪不参加を表明する選手が続出する。サミットの決議文は五輪ボイコットに政治的正統性(Legitimacy)を与える。五輪を国内の政治的統合と国際的な威信発揚の機動軸にしようとしてきた中国共産党の努力は水泡に帰する。

b0087409_1512774.jpg五輪失敗の打撃は政治的に大きい。モスクワ五輪が西側諸国の不参加で大失敗に終わったのは、ソ連がアフガンに侵攻した1979年の翌年の1980年で、そこからソ連崩壊まではわずかに10年しかなかった。国際的立場と国民の統合において、特に先進国をめざす国家の五輪開催の成否は決定的な意味がある。これから8月までの世界の目は中国とチベットに釘づけとなる。報道によれば、昨日3/26にブッシュ大統領が胡錦濤主席と電話で会談し、チベット情勢で懸念を表明、ダライ・ラマ14世と対話するよう促したと伝えられている。今度のサミットの開催国は日本であり、日本が議長国を務める。議長国の立場は大きくて、ステイトメントの最終的な決定を調整できる立場にある。福田政権は中国との関係改善に重心を置いているが、米国からすれば、議長国が他の国でなく日本であるということは、簡単に決議文の内容を意のままにできるということを意味する。属国の日本政府は米国の意向には逆らわない。すなわち、この懸念表明の電話は米国の中国へのブラフである。

b0087409_1513938.jpg無論、大統領選を控えたマケインへの側面支援という米国内世論向けの政治的意味もあるだろうが、サミットでのチベット問題発議をカードにして、中国に揺さぶりをかけ、何か別の果実を得ようと取引しているのではないか。元の為替切り上げか、米国債の追加大量購入か、瀕死の米金融資本への中国政府系ファンドからの資金注入か、それとも脅威となる宇宙開発技術関係の情報開示か。外交には裏がある。大国の首脳同士の会談であればなおさらで、言外の含意があり、次への布石の中身が必ずある。日本政府も、本当なら、国際政治の冷徹なリアル・ポリティックスの論理で、東シナ海ガス田問題で譲歩しようとしない中国に対して、サミット議長国の立場をフルに利用し、この問題をバーター取引の材料に使ってもいいはずである。中国の国益において北京五輪成功以上のものはなく、東シナ海ガス田の資源さえ現在のプライオリティは二の次になるだろう。相手の弱味につけこむ外交は卑怯だが、東シナ海ガス田問題については、断固として日本の立場と国益を貫徹させなければならない。

b0087409_1533170.jpg昨日の記事の中で、もし日本が憲法改正を果たして、安倍晋三や麻生太郎や前原誠司などのタカ派が政権に就いた場合、そしてチベットが独立した場合、恐らく日本は新チベットに軍事支援を提供するだろうと物騒な予測をした。それに関連するが、安倍晋三が前に日本版CIAの諜報機関(intelligence)を官邸か内閣府に設置するという話があった。諜報機関の話は、その前から佐藤優と手嶋龍一が率先して論壇でエバンジェライズしていて、安倍晋三のお膳立てをしてやった感がある。福田政権が発足して沙汰やみになったが、麻生太郎が出てくれば、また構想が復活するかも知れない。安倍晋三が諜報機関を作ったとき、彼ら諜報部員はどこに派遣されてどんな諜報活動をしたのだろうか。恐らく、北朝鮮が第一で、中国吉林省の延辺朝鮮族自治州にある延吉あたりを拠点として、北朝鮮国内に侵入して諜報活動と破壊工作を行う活動を任務としただろう。対北朝鮮で一課の組織を編成したに違いない。その次はどこだろうか。恐らく、第二がチベットとウィグルで、チベットを支援して中国を撹乱する策動を任務にしたはずだ。

b0087409_152176.jpgインドのダラムサラにあるダライ・ラマの亡命自治政府に接近して、その近くに拠点を置き、亡命政府と一体になって活動し、資金を支援し、亡命政府の若手要員を日本で教育して人脈を作らせただろう。工作員は日本政府職員のパスポートで自治区や青海省や四川省に潜入し、そこで諜報活動や謀略工作を行ったに違いない。目的は安倍晋三の指示に従ってチベット独立運動を支援し、中国に混乱と動揺を惹き起こして共産党政権を転覆へと導くこと。CIAやMI6がどれほど優秀でも、外国人の工作員では中国国内で怪しまれる。北京や上海ならともかく、農村部では目立ちすぎて活動できない。日本人の顔なら注意を惹かないし、日本人のパスポートは中国国内では武器になる。チベットとウィグルで一課を組織しただろう。その昔、陸軍参謀本部の諜報機関は満州での対ソ連工作活動が主たる任務で、蒙古語と中国語を話せる人間が諜報要員として珍重された。その人材を供給したのは大阪外国語大学だった。東京外大は西洋世界の言語が充実、大阪外大はアジア方面の言語が充実。司馬遼太郎が諜報機関に就職しなかったのは幸いだった。

b0087409_18284926.jpg蛇足ながら、戦前、満州や蒙古方面で暗躍した日本陸軍の工作員の実相や末路は、様々な小説や映画の中でドロドロと不気味に登場して紹介されるが、村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』にも重要なキャラクターとして配役されて物語に味を添えている。ぜひ一読をお奨めしたい。それと、議論として繰り返しになるが、われわれはあくまで日本人としてチベット問題を論じるべきだというのが私の主張で、日本人の立場でネットで意見を述べているということを忘れてはいけないと思う。われわれのチベット問題の議論は、米国人や英国人やフランス人やカナダ人のそれとは違う。彼らと一字一句同じ内容の言葉や文章のチベット論を発信したとしても、世界に向けて発言された言葉の意味は決して同じには伝わらない。同じ人権や自由や民主主義の一般論をチベット問題に適用して論じても、発信者が米国人と日本人では、そのメッセージを受け取った中国人のアクセプタンスとパースエーションは全く違う。同じ人権的視点からの中国非難でも、米国人や英国人であれば一般論で受け取られる。日本人の場合はそうは行かない。同じ一般論では済まない。それが立場を持つということだ。

b0087409_1522345.jpg日本人と中国人の間には複雑な歴史的関係があり、クリティカルな思想的構造がある。同じインターネット市民であっても、われわれが立つのは日本という土台であり、米国や英国の歴史的土台ではない。関連して思い起こすのは、何年か前、9・11テロの問題についての対談だったと思うが、辺見庸がチョムスキーに会いに米国へ行ったことがあった。そのときの逸話で、辺見庸がチョムスキーに「日本人ならまず日本のことを何とかしろ」と言外に言われたという出来事があった。小泉政権によるイラク派兵を何とかするのは日本の知識人の責任だと嗜められたと、辺見庸がチョムスキーの言葉をそう理解したという話だったと思うが、われわれがネットで発信している言葉は、日本人が世界に向けて発信している言葉である。中国を論じても、チベットを論じても、その言葉が米国人や英国人と同じということは本当はあり得ないはずなのだ。喩えて言うならば、スパッと一般論で直線的に切れるのではなく、論じる思考回路に過去の困難な問題の影が投影し、言わばプロセジャーのコードにバグが入って若干のシンタックス・エラーが生じたり、コードのリストがやたら複雑で回り諄くなるというのが自然なのである。

世界標準のチベット論などない。グローバル・スタンダードのチベット問題の問題解決の理論や展望や提案なんてない。どれほど普遍的な価値や真理や信条に立脚しても、私が日本人である以上、情報処理され、結論として出力される私のチベット論の議論は日本人としてのものだ。私は日本人の言葉をネットで世界に発信している。

b0087409_1523619.jpg

【NHKドラマ『海峡』のご案内】

昨夜、なにげなくNHK総合を見たら、ドラマ『海峡』の第1回目を再放送していた。
本日(3/27)第2回、明日(3/28)最終回が午後10時から放送される。
皆様、ぜひご覧になって下さい。
脚本ジェームス三木、演出岡崎栄の不朽の名作。
昨年放送されて大反響
さだまさしの「かささぎ」のYouTubeがあった。 It's very nice !  Please listen.



第1回目をまた見たけれど、やはり引き込まれて最後まで見てしまった。
朴俊仁役の真島秀和が本当に素晴らしい。
セリフの言葉の発声の仕方がいい。完璧に計算した上で言葉を出している。
この俳優は必ず大物に化ける。

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by thessalonike4 | 2008-03-27 23:30 | チベット暴動と北京五輪
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