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by thessalonike4
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反貧困フェスタ2008 - 問題は政治によってでしか解決できない
b0087409_15214622.jpg千鳥が淵のお花見がてら、神田で開催された「反貧困フェスタ2008」に出かけてきた。週末の3/29は朝から好天で、東京の桜が満開となった絶好のお花見日和であり、都心へ向かう電車はお花見客を乗せて平日を上回る混雑だった。満開、花は満開、君はうれしさあまって気がふれる。花見客で電車が満員になる井上陽水の歌があった。土曜の電車は平日よりダイヤがルーズで、都心に到着するのが遅くなる。10:15に始まるシンポジウムに合わせて家を出たが、会場の一橋中学校に着いたときは時間を少しオーバーしていた。校門を入って受付で入場料を払い、校庭を横切って校舎に入ろうとしたら、左手の特設ステージから聞きなれた政治家の声が聞こえてきて、黄色のブレザーを着た福島瑞穂がマイクを持って演説していた。「この18歳の少年もお金がなくて大学進学を諦めざるを得ませんでした」。岡山駅で起きた殺人事件の話をしていた。



b0087409_15221233.jpg福島瑞穂は好感の持てる政治家で、国会の代表質問でも好感の持てる演説をする。演説も聞きたかったが、シンポジウムに遅刻していたので、急いでスリッパに履きかえ、靴を入れたビニール袋をぶら下げて地下の食堂に入った。新聞の報道では、3/29のフェスタ全体で1600名の参加者があったと伝えられている。会場のサイズを考えると、あれ以上の数の来場者が押し寄せると相当に混雑しただろう。シンポジウムの会場の食堂は狭く、5分遅刻して入室したときは立見客が溢れていて、何とか会場の片隅に直立する場所を探すのが精一杯だった。人数は200人くらいだっただろうか。暫くすると、演説を終わった福島瑞穂が入ってきて前の方の客席に座った。福島瑞穂のBLOGにそのときの写真が載っている。ルーペで見たら私の姿も入っていた。パネリストは、連合会長の高木剛、首都圏青年ユニオン書記長の河添誠、派遣ユニオン書記長の関根秀一郎の3人。

b0087409_16464930.jpg高木剛のシンポジウム出席は今回のフェスタ全体の目玉で、マスコミの関心も高木剛の参加に集中している。特に朝日新聞の記事は、連合の貧困問題への取り組みや格差是正への意気ごみを強調して訴求する内容になっている。私もシンポで高木剛が何を言うかに興味があった。シンポでは労働者派遣法の改正問題や日雇い派遣の問題について論議され、それなりに充実した中身になったが、シンポ全体の感想を言うと、関根秀一郎の元気のよさや河添誠の歯切れのよさが印象的で、それに較べて高木剛の話に力強さが感じられなかった。あらためて連合とは何だろうという存在の二重性の問題について考えざるを得なかった。日本の労働組合のナショナルセンターである。日本の労働運動の総本山で、日本の労働者の利害と要求を代表するトップが高木剛である。しかし一方で、連合は日本の統治機構の一部と言うか、非政府組織ながら民間における官僚機構としての顔も持っている。

b0087409_2122064.jpg高木剛自身が、シンポの冒頭の挨拶で「『正社員・公務員クラブ』の親玉が出てと言われるかもしれませんが」と切り出して、会場の笑いを誘った。私は、それを聞いて、「そのとおりじゃないか」と後ろから大声を出してやろうかと思ったが、躊躇して止めた。躊躇して止めたのは、やはり二重性の問題から来るもので、統治機構のトップである高木剛がわざわざ反貧困の集会に顔を出してきたのだから、その行動を佳として認めてやるべきだという意識が働いたからである。確かに、この2年ほどの連合の動きは以前と較べて悪くない。「STOP THE 格差社会」のスローガンを春闘に掲げたのは2006年に入ってすぐだった。あのとき、「STOP THE KOIZUMI」への連帯と支援を求めて、私は全国の300近くの単産と単租に年賀状プロジェクトでメールを送った。連合系にも全労連系にも両方に送った。だが、返事を返した組合関係者は一つもなく、2年前の正月に覚えた落胆と挫折は尋常なものではなかった。

b0087409_2123752.jpgそれからすぐに連合の「STOP THE 格差社会」を見ることになり、ひょっとしたらと勝手に思ったが、証拠など何もなく、パクられたと騒いでも自己陶酔の思い込みだと嘲笑されるのが関の山だ。が、偶然にせよ、その頃から「STOP THE XXXX」のコピーを標語にする運動が目立つようになった。今年の春闘で十分な賃上げができなかったことも少し言っていたが、プロ野球選手会でさえ勇気を出してストライキを決行しているのに、どうして民間大手の電機や鉄鋼で産別のストライキを行動提起できないのか。年収が下がり、生活が苦しくなり、労働負荷が重くなり、将来の不安に怯えているのは大多数の正社員も同じはずで、彼らの生活を守るために最善の手を尽くすのが労働組合の使命であるはずだが、外から見て連合の動きは不十分で、労働者の代表として経営を相手に対決していると言うよりも、両者の間に入って調整役をしているようにしか見えない。連合以前に企業の組合支配が強烈で、単組において組合の実態がないのだ。

b0087409_2125774.jpgシンポジウムの議論は悪くなかったが、私には聞きながら不満が残った。それは、法律改正の細かい中身とか、制度をこうすべきああ変えるべきという議論は出たが、現実に格差と貧困をなくすためにどうするのか、どうすればこの地獄を解決できるのかという展望が出なかったことだ。展望は政治を変えるしかないはずで、法律制度を弄る話をどれほどやっても、経団連と自民党はそれを受け入れることはしない。福祉事務所の生活保護業務サボタージュと困窮者に対する人権侵害行為はなくならない。次の総選挙で派遣法を含めた労働法制を1999年以前の原状に回復させる政権を樹立しないかぎり、生活保護法を憲法25条と法律の趣旨どおりに行政運用させる厚生労働大臣を出さないかぎり、このワーキングプアの格差地獄社会は永遠に続くのだ。こういう反貧困フェスタのような場では、まさに政治変革の展望こそを議論して、労働者の権利を実現する多数派を国民世論と国政選挙でどう形成実現するかを討論するべきではなかったか。

b0087409_1523419.jpg政治を変えなければ法律は変わらない。政治を変えるしかないはずだ。どう政治を変えるのか。誰が何をすればいいのか。その問いの答えを聞きたかった。状況として、気運として、まだそこまで至っていない。ワーキングプアに関する本は多く本屋に並んでいる。議論は無数にある。しかし、この問題について何が問題なのかとか、どう解決するのかというところで、政治だとストレートに説き語る論者はいない。格差と言わずに貧困と言えとか、プレカリアートだとか、椅子取りゲームの問題だから個人の努力の問題ではないとか、そういう議論はあるが、政治の変革へと方向づけているものは少ない。もう状況の説明なり分析なりの段階ではないのではいか。ところが、政治の現場を見れば、新自由主義の勢力が国会の90%を占める現状にあり、今年になってからも格差問題や労働法制や生活保護が国会で議論されたことは殆どない。ガソリンの話ばかりだ。格差問題というのはガソリン料金の問題のことだったのか。暫定税率を廃止すれば格差問題は解決するのか。

b0087409_15231663.jpg率直に言って、「反貧困フェスタ2008」は私にとって非常にパーススエイシブなイベントで、企画は明らかに成功だったと言える。ユーザインタフェースが実によく、本部テントで腕章をつけた主催者メンバーの真剣な表情に強い感動を覚えさせられた。来年も同じイベントを同じ時期に開催して欲しいし、必ず今年を上回る来場者が訪れるだろう。たとえば、社民党の福島瑞穂が来て、連合の高木剛も来ていたのだから、共産党の志位和夫と国民新党の亀井静香と新党日本の田中康夫を呼び、5人が手を合わせて反貧困を誓うショットを報道陣に撮影させればよかった。その記事と写真を翌日の新聞に大きく掲載させればよかった。NHKの7時のニュースで報道させればよかった。問題は政治でしか解決できない。日本の格差と貧困の問題は経済問題ではなく政治問題だ。この問題の解決を志す者は、次の総選挙で問題を抜本解決することを考えないといけない。反貧困ネットワークの行動提起で票を動かし政治を動かすことを宣言しないといけない。その点で少し物足りなさを感じた。

湯浅誠が開会と閉会の挨拶をしたらしいが、決議とか宣言もあってもよかったのではないか。12:00から体育館で生田武志の講演会を聞き、校庭のバザーで「反貧困ネットワーク」のロゴが入ったハンドタオルを買った。校庭の桜を見ていたら、向こうから雨宮処凛が歩いて来てすれ違った。写真でよく見るあのまんまの顔と髪型と格好だった。今や堂々たる週刊金曜日の編集委員。立派になったものだ。校門のそばでタバコを吹かしながら誰かと話していた。天気がよくてよかった。祝「反貧困フェスタ2008」成功。

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【日曜日も一曲】

『東へ西へ』のYouTubeがなかったので、かわりにこの名曲を。
日本の80年代を代表する一曲。
バブル時代の男のカラオケのスタンダードでもあった。
今とは大違いの、財布がリッチで、小洒落てセンスのいい日本。



歌詞がいい。
陽水だけが作れるエレガントでムーディな独特な世界。
財布がリッチだから、若い二人でも夜の長さを何度も味わえた。

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by thessalonike4 | 2008-03-30 23:30 | ワーキングプアと社会保障
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