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by thessalonike4
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後期高齢者医療制度と山口2区補選の政局 - 改革は道半ば
b0087409_12373967.jpg後期高齢者医療制度問題で誰も民主党を批判しない。マスコミは制度が施行されて混乱が始まった今になって、ようやく問題を報道で取り上げるようになった。この問題は3月に国会で審議すべき緊急焦眉の案件だった。予算案が参議院に送られた2月末から参議院の予算委員会で審議していれば、制度の概要が明らかになり、問題点があぶり出され、それをニュースで国民に事前に知らせることができて、施行前から行政を監視することができた。ここまで高齢者に迷惑をかけることは避けられたのではないかと思われる。しかし民主党はそれをせず、3月の参議院予算委員会は民主党の審議拒否で一ヵ月間以上審議がストップして何も論議されなかった。国会の外のテレビの政治番組で道路財源の聞き飽きた同じ話を延々と繰り返すだけだった。ネットでは民主党応援団のブログ左翼が単調軽薄に自公政権を叩いて解散総選挙を絶叫するワンパターンが続いていた。飽きもせず毎日毎日「ガソリン国会」の床屋政談をやっていた。



b0087409_12375126.jpg私が後期高齢者医療制度について知ったのは昨年の12月で、参院選に惨敗した自公政権が、この新制度を導入したらますます国民の支持を失い、衆院選が戦えなくなることを恐れ、高齢者の負担を少しでも和らげるフリをしようと、75歳以上の一部高齢者の保険料徴収を半年間凍結する措置を取り、財源として補正予算を計上した経緯があった。そのときの朝日新聞の社説が、高齢者医療費負担の軽減のための補正予算は「バラマキ」だと批判するもので、医療費は消費税増税で国民自身に負担させろという主張だった。その社説に怒りを覚えた私は朝日新聞の新自由主義路線を糾弾する記事を書いたが、その当時の朝日新聞と「報道ステーション」は、後期高齢者医療制度がどのような制度設計かを承知しながら、その問題点を全く指摘しようとせず、高齢者に事前に制度の中身を案内する報道機関としての当然の役割すら果たそうとしなかった。それはNHKも全く同じで、NHKのニュースで制度の説明報道を始めたのは4月の第2週からである。

b0087409_1238219.jpg朝日新聞は、後期高齢者医療制度の問題について、それを単に政局絡みで、小沢民主党のガソリン政局を側面支援する小道具のように位置づけてしか報道していない。この制度が小泉構造改革の産物で、「小さな政府」の政策である本質を批判的に解説することはせず、単に制度の周知徹底不足のみに批判の焦点を当て、福田政権の失態として揶揄しているだけだ。朝日新聞の本音が消費税増税で医療費をカバーせよという主張であることは記事の行間からよく分かる。「報道ステーション」の論調も基本的に朝日新聞と同じだが、ガソリン国会のみに関心を集中させている朝日新聞に較べれば、「ガソリンの前に年金と医療がある」と言っている「報道ステーション」の方が少しは民意に近い。私は何度でも何度でもしつこく書く。民主党が昨夏の参院選で掲げた政権公約は何だったか。マニフェストの「7つの提言」で有権者に示した第一と第二の政策目標は何だったか。何度でも何度でも繰り返し言い続ける。ガソリン国会の政治を賛美する愚かな政局屋がネットから消えるまで書く。

b0087409_12381384.jpg民主党のマニフェストの第一目標は「雇用を守り、格差を正す」である。マニフェストの第二目標は「医師不足を解消して、安心の医療をつくる」である。「ガソリン価格を値下げする」とはどこにも書いていない。「安心の医療をつくる」ことを選挙で公約したのなら、政府が提出してきた後期高齢者医療制度を昨年の臨時国会で取り上げ、特に過半数を制した参議院で徹底審議し、その問題点を追及するべきではなかったのか。給油問題などを国会の争点にせず、医療制度と年金制度を国会論戦の争点に据えるべきではなかったのか。給油問題では結局のところ解散には追い込めなかった。ところが民主党は、通常国会ですら医療問題と年金問題を争点にしようとせず、それらは二の次にして、ガソリン値下げを国会の争点にし、同じ主張ばかり繰り返し、挙句に3月の参議院予算委員会を一度も開かないという愚策に出た。野党が多数で政府が立ち往生必至の参議院予算委員会で後期高齢者医療制度を審議しなかったのである。そのことを民主党応援団のブログ左翼は一切問題視しようとしない。

b0087409_12382496.jpg民主党が後期高齢者医療制度を国会で追及しなかったのには理由がある。それは民主党が新自由主義政党で、民主党が政権を取っても同じように社会保障を削減して消費税増税をする政策の基本は変わらないからである。暫定税率廃止(ガソリン値下げ)も政策の思想的本質は政局主義と新自由主義の折衷であり、「小さな政府」の性格が色濃く滲み出たものに他ならない。庶民や地方の救済というのは本音ではない。車を所有できず運転できないワーキングプアの救済にはならないし、バスや電車で病院に通っている高齢者には直接的には何の負担減にもならず安心にもならない。実際に世論調査での民主党の支持率は下がっている。NHKの世論調査では、民主党の4月の支持率は3月に較べて5ポイントも下がっている。なぜ民主党の支持率が下がるのか。ガソリン国会の戦略が功を奏してないからだ。ガソリン価格が下がっても民主党の支持率が上がらないのは、それが真の民意ではないからだ。選挙で公約した政策を国会を通じて実現しようとしないからだ。国民に嘘をついたからだ。暫定税率廃止の代替財源案を出さなかったからだ。

b0087409_12383414.jpg報道によれば、注目の山口2区補選の状況が、当初の予想を大きく覆して自民と民主の両候補が接戦という展開になっている。選挙区入りを予定してなかった福田首相までが山口に入る局面になった。知名度の点では圧倒的に現職の平岡秀夫が上だ。さらに年金問題があり、後期高齢者医療問題があり、内閣支持率20%台の福田政権の異常な不人気があり、民主党にとって選挙で負ける要素は何もない。大差で圧勝して当然と見られた選挙だったが、意外な苦戦の現状が伝えられていて驚く。補選で民主党が勝った場合、報道されているとおり問責決議案の政局となるが、逆に民主党が負けた場合、この場合にも政局になる。問責決議案は出せず、小沢一郎の指導力が問われ、求心力は一気に下がって党内は動揺する。ガソリン国会の政局路線が失敗だったという結論になり、それを一貫して主導推進した菅直人の責任が問われることになるだろう。日銀総裁人事で小沢一郎・菅直人の強硬論と立場を分けた鳩山由紀夫が口火を切って幹事長辞任に出るかも知れない。

b0087409_12384880.jpg勝っても負けても政局になる。そしてどうやら政局は政界再編の動きに繋がって行く公算が高い。小泉純一郎と小池百合子と前原誠司の改革新党が動き始めた。この動きは正月から予想された事態である。バックに電通とハゲタカ米資がつき、竹中平蔵が参謀役で控えている。現在の政局は宮沢政権の末期に似た印象がある。あのときは小沢一郎が新生党を作り、武村正義がさきがけを作って自民党を分裂させた。そして細川護煕が日本新党を立ち上げ、すなわち保守新党が新たに三党結成され、衆院で野党と内閣不信任案を成立させて解散総選挙に縺れこみ、選挙に勝利して社会党と連立政権を組んだ。小池百合子と前原誠司の改革新党が立ち上がって小泉チルドレンを糾合した場合、恐らく「せんたく」も正式に新党を立ち上げて総選挙に臨むだろう。総選挙は、自民、民主、改革、せんたくの四党の戦いになる。自民と民主から改革とせんたくに多くの議員が流れる。改革新党とせんたくは新生党と日本新党のような関係になり、選挙の途上で連立政権合意の協議が行われるはずだ。選挙後に合同する。

b0087409_12385968.jpg小沢一郎と菅直人の民主党は選挙で負けて議席数を大きく減らし、小沢一郎は政界引退を決断するか、再びワンマン政党の小沢新党を作って永田町の片隅で生き残る。菅直人と鳩山由紀夫は過去の人になるだろう。そして政界再編の最終章では、改革新党と自民党が再度合同し、役目を終えた改革新党を小泉純一郎と小池百合子が店じまいするのである。新自由主義の側のストラテジーとして、これが最もサクセスフルなロードマップであり、残っている日本の国富を空腹のハゲタカに献上する最短の方法である。新自由主義は雄々しく復活を遂げ、小泉時代に次ぐ容赦ない構造改革路線の第二幕が国民を改革の楽園へと導いてくれる。失業率10%、最低賃金時給400円、消費税率15%、医療費個人負担率5割、年金支給開始年齢70歳。公営公共交通機関廃止、公営病院廃止、公営住宅廃止、公営保育園廃止、公立高校廃止、水道局民営化、学校給食自由化、教科書有償化。都道府県制廃止、県庁土地建物不動産売却、空港港湾の道州移管と民営化。米軍駐留費のための安全保障税新設と給与天引。こうして考えてみれば、改革は道半ばでやり残しは実に多い。竹中平蔵も不満だろう。改革はこれからだ。

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【世に倦む日日の百曲巡礼】

ちょうど10年前の名曲、キロロの『未来へ』。

心臓が止まり、脳波が止まれば、人は死者となり、体は冷え固まる。
これほど人の体が冷たくなるものかと思うほど冷え固まる。
そして死体を焼かれて骨と灰になる。
人生はそこで終わる。



愛されても、憎まれても、恨まれても、蔑まれても、この世に生きて活動できるのは束の間。
私は私なりに束の間の生を駆け歩くしかない。

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by thessalonike4 | 2008-04-17 23:30 | ガソリン国会と後期高齢者医療
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