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by thessalonike4
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山口2区補選の争点とガソリン国会 - 官僚不正の記憶と忘却
b0087409_1724049.jpg山口2区補選の争点は「道路とガソリン」であると報道されている。先週の「報道ステーション」でもそのように現地での選挙戦が紹介されていた。ガソリン国会の対決の図式がそのまま選挙区に持ち込まれ、投票で雌雄を決する形になっている。新聞は山口2区補選を「ミニ国民投票」だと言い、そこでの結果が暫定税率撤廃の是非に対する民意だと位置づけている。国政の争点をストレートに補選に持ち込み、暫定税率への民意を問う構図に仕立てたのは小沢民主党の方である。それは、この争点だと選挙に必勝できるというウィニングストラテジーであったと同時に、その「民意」の力で国政での主導権を確実なものにし、後半国会で福田政権を激しく揺さぶり、内閣総辞職へと追い詰めるためのものだった。10日後に選挙の結果が出たとき、マスコミはそれを暫定税率に対する国民の審判として報じ、衆院の再議決に少なくない影響を与えることになる。



b0087409_165959.jpg民主党の選挙戦略は功を奏するだろうか。一方の自民党は「地域活性化」を争点とし公約として選挙を戦っている。「地域活性化」とは、簡単に言えば、道路を含めた公共工事の予算を中央から回してきて地域経済に配分しますよという政策の意味であり、野党の民主党候補にはない「実利」のメリットの選挙民への訴求である。自民党候補の伝統的な選挙手法であり、政権与党の候補者が選挙民から票を奪い取る常套手段でもある。小沢一郎と菅直人は、道路特定財源の無駄遣いをガソリン値下げという国民の福利に結びつけた政治実績を訴えて有権者の支持を集める作戦だったのだろうが、この争点の構図になると、一見したところ、民主党候補は地域の道路建設に反対、自民党候補は地域の道路建設に賛成という対立図式に単純化される表象になる。地方で生まれ育った人間の感覚から考えて、地域の道路整備に反対する主張は住民の支持を受けにくい。

b0087409_14413280.jpg道路は重要な生活基盤であり、車で移動しなければ生活できない地方の実情を考えれば、一般的に道路整備はまだまだ行政の課題である。「不要な道路が多すぎる」とか、「必要な道路はすでに整備済み」という主張は説得力を欠き、地方の有権者の理解と共感を得られないだろう。それは「TVタックル」の宣伝報道で洗脳された都会の人間の言い分であり、新自由主義(電通)に意識操作されて誘導されているだけだ。無論、自民党候補が当選すれば、改革が加速して地方はさらに干上がるだけだが、表象として民主党側の選挙主張は道路事業に消極的という配役が固められた以上、「民主党だと地域に金が回って来ない」という思い込み(=刷り込み)は簡単に打ち消せない。その結果、「没落させられる者が没落させる者を支持する」という観念倒錯と政治行動が現出することになる。だがこれは、そもそもは、ガソリン国会の対決構図を選挙区に持ち込んで争点にした小沢民主党の選挙戦略に原因と起点がある。

b0087409_14414368.jpgマスコミやネットの一部は、民主党のガソリン国会の意義を強調して、「今回初めて政官業の癒着の構図が明らかにされた」などという表現で過大な評価を与えている。私にはこの言葉が非常に空しく響く。本当に「今回初めて」なのか。民主党が暫定税率問題を通常国会の争点に据えたから、官僚の税金無駄遣いの実態が初めて明らかになったのか。それは違う。官僚の無駄遣いの話は前からあった。政官業の癒着という言葉も昔からあった。同じ事が繰り返され、繰り返されている問題の一端が表面に出て、世間から糾弾された役所がほんの一瞬のあいだ恐縮したフリをして見せているだけだ。正確に思い出せないが、覚えているところを列挙すると、1996年、厚生省事務次官の岡光序治が逮捕された事件があった。埼玉県の社会福祉法人から巨額の賄賂を受け取り、自宅マンションの購入費用を出してもらったり、白いクラウンを提供してもらったりしていた。「ゴールドプラン」という名の高齢者福祉事業を制度化し、業者と癒着して賄賂を懐に入れていた。

b0087409_14415328.jpgその次に大蔵省のノーパンしゃぶしゃぶ事件があった。1998年。榊原英資も銀行のMOF担から接待を受けていた事実が明るみに出て処分を受けた一人だった。この大蔵省の不祥事が摘発された前後がちょうど金融危機の時期で、北海道拓殖銀行と山一證券が破綻、橋本内閣で金融ビッグバンが始まり、竹中平蔵ら新自由主義者がハゲタカに日本の金融資産を売り飛ばす時代に入る。ノーパンしゃぶしゃぶ事件の後で大蔵省銀行局は大蔵省から分離され、金融庁として独立することになった。その次が外務省不祥事で2001年。これも凄まじい汚職で、ノンキャリの松尾克俊が外交機密費を横領して、競走馬を買ったり、複数の愛人をマンションに住まわせて湯水の如く公金を使っていた。「官房機密費」とか「外交機密費」というカネの話が出て世間を騒がせたが、あれは現在はどうなっているのだろう。膨大な税金が何の監査も受けずに領収書なしで官僚と政治家に使われている。われわれ庶民は、同じ事が今でも続いていて、単に特捜部が気まぐれか計画的にか他の省庁を挙げているだけだと感じている。

b0087409_1442865.jpgあのとき、在外公館の放蕩三昧や大使館職員の給与の二重取りや貴族生活ぶりがODA事業の官業癒着と共に報道されたが、外務省職員の無駄遣いの問題は解決されているのだろうか。単にマスコミの監視の目が離れて報道がされてないだけなのではないのか。橋本内閣のときに行革があり、マスコミが官僚の不正を報道するようになり、特殊法人と官僚の天下りが大きな問題になっていた。現在ほどではないが国の借金が増えつつあり、予算の無駄を抑えるために特殊法人を整理せよという世論の風圧が霞ヶ関を襲っていた。1990年代後半、「ニュースステーション」に猪瀬直樹が登場して、久米宏の後ろにボードを立て、そこに特殊法人の名前を細々と書き込み、一個一個について解説をしていたのを覚えている。石炭燃料がどうのこうのという特殊法人があり、それは猪瀬直樹のキャンペーンの後で整理されて消えてなくなった。特に槍玉に挙げられていたのは住宅都市整備公団だった。あれから猪瀬直樹は行革の専門家として頭角をあらわし、小泉内閣のときに道路公団民営化を主導する新自由主義の権力者として出世する。

b0087409_14451740.jpg特殊法人は独立行政法人という看板に変わった。だが実態は何も変わっていない。特殊法人は減りながら増えて生き続け、国民から税金を吸い取ってドブに捨てることを続けている。行革キャンペーンが行われていた頃は、朝日新聞は各省庁別の天下りの数と明細を紙面に特集記事にして出していた。渡り鳥のマンガが描かれ、二重取り三重取りした退職金の金額をポストの名前と就任期間を入れて書いていた。最近はそういう記事を見ない。こうして、不正確を承知でうろ覚えのことを私が書くのは、思い出して欲しいからである。「政官業癒着の実態が国交省と道路財源の問題で初めて明るみに出た」など大嘘もいいところだ。嘘で民主党のガソリン国会の政治を美化することはできない。マスコミは10年前の方が現在よりもずっと官僚の不正や不祥事に厳しかった。最近は官僚とすっかり仲良くなり、特捜部が動かないかぎり何も記事にしようとしない。新聞記者そのものが10年前の官僚不祥事報道を忘れているのだ。天下りや退職金の二重取り三重取りを問題だと思わなくなっているのだ。

特定財源で無駄遣いされている税金は国交省の道路だけではないだろう。他にもあるはずだ。あるはずだが、誰も何も言わない。
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【世に倦む日日の百曲巡礼】

1965年の倍賞千恵子の 『さよならはダンスの後で』。

おはなはん』もある。伊藤咲子とデュエットの『』もある。
映像は1983年で掘り出し物の一品。さくらは歌もダンスもうまかった。
松竹音楽舞踊学校を首席卒業で松竹歌劇団(SKD)に入団。エリートだったんだね。

戦後民主主義の理念を感じさせる独特の澄んだ響きのあるソプラノ。
映画だけでなくもっと歌を多く残して欲しかった。
『家族』もよかった。『幸福の黄色いハンカチ』も『遥かなる山の呼び声』もよかった。



単に演技が上手だっただけでなく、世界に日本女性の素晴らしさを教えた。
日本映画を代表する偉大な女優。

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by thessalonike4 | 2008-04-18 23:30 | ガソリン国会と後期高齢者医療
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