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by thessalonike4
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四度目の憲法記念日に - 朝日新聞は小尻記者の霊と向き合え
b0087409_17455692.jpg今日は憲法記念日。新聞を読むと、各紙の世論調査で改憲賛成派が減少して護憲派が増えている事実が紹介されている。昨年7月の参院選挙で憲法改正を掲げる安倍自民党が大敗した後遺症が尾を引いているはずで、改憲を前面に出しすぎると国民に警戒されて票が逃げるという意識が政治家とマスコミの間に働き、安倍内閣当時のような改憲プロパガンダを全開せず、洗脳シャワーの栓を絞ったことが数字に影響している。3年前を思い出すと、ネットの中には護憲を主張するBLOGなど皆無だった。あれから状況はずいぶん変わり、今では護憲派の看板を出しているBLOGが無数にある。護憲を掲げるBLOGは増えたが、それらが果たして国民の世論に影響を与えているかどうかはきわめて疑わしい。実際には、現在の改憲派の後退は一時的なもので、無能で無責任な安倍晋三のマイナスシンボルのダメージのために、勢いを殺がれた改憲派が態勢の立て直しのために雌伏しているだけに過ぎない。



b0087409_15492154.jpg新しいシンボルが立てば改憲勢力は必ず攻勢に転じる。麻生太郎が新総理に就任すれば、内閣支持率は急角度で上昇し、麻生太郎が政権公約する憲法改正への世論の支持も一気に高まることだろう。世論の数字など所詮はその程度のもので、マスコミ報道が誘導するままにフラフラと簡単に変動する。マスコミが改憲で固まった以上、護憲はネットで声を上げるしかない。その声を世論に響かせる力にするしなかい。そう思い、3年前から懸命にネットで声を上げ、護憲派の政治勢力の結集を訴え、社民と共産は一つの政党に合同して選挙で護憲票の受け皿になるように呼びかけてきた。しかし、二つの政党は全く動かず、あれから国政選挙は二度あり、間もなく三度目があるけれど、勢力結集の動きは微塵もない。そういう呼びかけをするBLOGもない。逆に、護憲派の勢力の結集を訴えたブログは、ネット左翼から凄絶な誹謗中傷攻撃を受け、悪意に満ちた揶揄と罵倒と侮辱を浴びせられて袋叩きにされる災難に遭った。

b0087409_15492969.jpgマスコミに対抗する言論の拠点をネットに築こうと考えた私の認識と判断が間違っていたのだろうか。単に人を引きずり降ろして自分が上に立ち、自己を目立たせたいだけの狭小な人間や、護憲のイデオロギーで同類項を呼び集めて小さな和みサークルで群れ合うだけの人間ばかりがそこにいる。本気で政治を変えようとする主体をネットの中に見出そうとした戦略は根本的に誤謬だったのだろうか。来し方を見つめれば、溜息ばかりが出る憲法記念日に、ようやく朝日新聞の社説だけは気分を軽くしてくれるものだった。今日の朝日新聞の社説は非常にいい。朝日新聞らしい。醒めた理性と知性がある。これが朝日新聞だ。誰が書いたのか分からないが、日常の記事もこのような護憲の精神に沿って書いてもらえないだろうか。朝日新聞は社説もぶれが大きく、記事に基本精神が欠けている。せめて「醒めた理性と知性」だけは最後まで捨てずにいてもらいたいが、昨今の中国報道は様式も中身も産経新聞と完全互換で、私を苛立たせ狼狽させる。

b0087409_15493848.jpg「民主主義の社会では、だれもが自分の思うことを言えなければならない。憲法はその自由を保障している。軍国主義の過去を持つ国として、ここはゆるがせにできないと、だれもが思っていることだろう。だが、この袋にも実は穴が開いているのではないか。そう感じさせる事件が続く。 名門ホテルが右翼団体からの妨害を恐れ、教職員組合への会場貸し出しをキャンセルした。それを違法とする裁判所の命令にも従わない。 中国人監督によるドキュメンタリー映画『靖国』は、政府が関与する団体が助成金を出したのを疑問視する国会議員の動きなどもあって、上映を取りやめる映画館が相次いだ。 インターネット社会が持つ匿名性は『両刃の剣』だ。多数の人々に個人が自由に発信できる世界を広げる一方で、無責任な書き込みによる中傷やいじめ、プライバシーの暴露が、逆に個人の自由と人権を抑圧する。  こうした新しい現実の中で、私たちは自由と権利を守る知恵や手段をまだ見いだしていない」。

b0087409_15494746.jpg今日の社説は、憲法の問題は9条だけでなく25条の問題もあるのだという主張だが、結語を置く前に「言論の自由」の問題にきちんと触れている。この社説は構成がいい。構成がいいだけでなく、日本における「自由権」の問題に触れているところが秀逸だ。生存権も危機的状態だが、自由権も危険な状態にある。そのことを正しく衝いている。憲法が保障している国民の基本的人権が根こそぎ危機にある状況を浮かび上がらせている。そして私は朝日新聞に言いたい。私が現実に感じるところを率直に言えば、9条の問題はまさに言論の自由の問題そのものなのだ。両者は不可分で、9条に危機が迫れば迫るほど、そのときは言論の自由が侵されている状況になっているのである。この実感について朝日新聞にも共通の認識を持ってもらいたい。問題は具体的なのだ。この朝日の記者が書いているように、言論の自由の危機とは、映画「靖国」の問題であり、プリンスホテルの日教組へのキャンセルである。朝日の記者はいいところを衝いている。憲法の問題を見逃していない。そのとおりだ。だが、そこからよく考えて欲しい。

b0087409_15495816.jpg映画「靖国」の問題や、ホテルのキャンセルの問題は、まさに9条の危機の問題と同じではないのか。構造として実体として一つではないのか。9条を改正しようとする勢力が、映画「靖国」の上映を中止させるべく映画館に圧力をかけ、日教組の集会を妨害するべくホテルに圧力をかけたのではないのか。これは単純な「言論の自由」の侵害の問題ではなく、まさに9条の危機と一体の問題であって、憲法問題として一つの問題なのである。この社説の書き方だと、論理的な構成のためではあるけれども、9条の問題と自由権の問題が別々の問題のように配置されている。9条の問題が特殊なイデオロギーの問題であるかのような仮象で浮かび上がらされている。9条を守ろうとする立場が自由権を守る立場と無関係であるような操作が論理構成に埋め込まれている。それは違う。9条を改正しようとする勢力が権力と暴力を使って言論の自由を侵すのである。自由な言論を奪いながら9条を変えようとするのであり、9条を変えることでさらに国民の言論の自由を奪って行くのである。両者は不可分一体の問題なのだ。直近の現実としては映画「靖国」と日教組の問題がある。

b0087409_15543550.jpgだが、朝日新聞の社説は何も触れてないが、本当はもっと大きな問題があった。それは6年前からの北朝鮮拉致問題であり、拉致問題に関連しての在日朝鮮人に対する異常な迫害と人権侵害であり、拉致問題報道についての報道機関への圧力である。これこそ最近の日本における「言論の自由」侵害の最大の問題であったはずだ。従軍慰安婦問題で報道に圧力をかけた勢力や政治家も、北朝鮮拉致問題で報道に圧力をかけた勢力や政治家も、映画「靖国」で映画館に圧力をかけた勢力や政治家も、全く同じ人間たちだった。そして、朝日新聞もブログ左翼も見落としている点だが、ここ数年、改憲世論が勢いを増して9条改正に賛成が反対を上回ったのは、空気を染める決定的な要因として、そこに拉致問題があったからである。あの無能な安倍晋三が総理大臣になれたのも拉致問題があったからだ。拉致問題の報道と狂騒と思考停止があったためだ。家族会の絶叫とそれを報道するマスコミのプロパガンダのシャワーがあったからだ。家族会と救う会は日本の世論を北朝鮮との戦争に導き、9条を捨てるように毎日国民を折伏した。あの無能な安倍晋三を救国の英雄に押し上げたのは誰だったのか。

b0087409_15501953.jpg言論の自由を守ろうとすれば9条を守らなくてはならないのである。そして言いたい。ヒルとライスが米国外交の主軸となり、ラムズフェルドとアーミテージが外れて、ようやく日本の政権はマスコミにファナティックな対北朝鮮戦争誘導報道を減らすように指示するようになった。シャワーが減って拉致問題の熱は急速に冷め、9条護憲の世論が復活するようになった。しかし、9条を改正したい側は北朝鮮拉致問題に続く第2弾を用意していて、それが今度の北京五輪とチベット問題である。拉致問題も、朝日新聞やネット左翼が右翼の誘導に幻惑され便乗して共闘しなければ、あれほど国民的に泥酔した熱狂翼賛世論にはならず、改憲世論も盛り上がることはなかった。9条改正に反対する左翼が右翼の尻にくっついて、右翼と声を合わせて「拉致被害者救出」を叫ぶのは、観念倒錯と自己欺瞞のなせる業である。それは9条改正の声を上げているのと同じだ。そして言論の自由を自縄自縛する行為だ。同じ問題なのである。北朝鮮拉致問題も、靖国問題も、米軍基地問題も、チベット問題も。同じ問題なのだ。北朝鮮と日教組と中国を攻撃する中心にいる人間たちは、靖国を擁護し9条を改正しようとする人間たちである。

b0087409_17553554.jpg朝日新聞に言いたい。朝日新聞は、今回、憲法記念日に合わせた憲法特集報道を憲法25条に焦点を合わせ、ワーキングプアの問題を紙面に取り上げたが、これは朝日新聞の憲法報道としてお茶を濁す態度ではなかったか。なぜ阪神支局襲撃の原点に触れなかったのか。なぜ右翼に殺された小尻記者の霊とまっすぐ向き合う報道を避けたのか。私が代わりに答えよう。それは変節と転向を巧く隠蔽するためだ。目を背けるためだ。チベット問題の報道で産経新聞と同一論調の記事を書くようになった朝日新聞は、気まずくて小尻記者と顔を合わせられないのである。これから胡錦濤主席が来日し、朝日新聞はさらに激烈に中国批判の記事を書かなくてはいけない。右翼が喜ぶ方向へ記事の論調を傾斜させなくてはいけない。それは右翼に散弾銃で虐殺された小尻記者の霊が許さない方向である。だから、朝日新聞は、改憲化した自己を護憲的に自己演出して騙すために、今年は25条のワーキングプア問題にフォーカスしたのである。自己欺瞞としての25条報道なのだ。小尻記者が殺されたときのことを私は覚えているが、朝日新聞はあの事件の後に社員一同で固い決意をしたはずである。何を守り何と戦うかを世間に誓ったはずである。

その朝日新聞はどこへ行ったのか。朝日新聞は護憲の立場を宣言せよ。小尻記者の霊と向き合え。誰が自分たちに銃弾を放ったかをもう一度思い出せ。チベット問題と北京五輪問題で右翼と歩調を合わせる偏向報道をやめよ。日中友好の立場に立て。チベット報道を第二の北朝鮮拉致報道にするな。
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【世に倦む日日の百曲巡礼】

2000年の中島みゆきの名曲『ヘッドライト・テールライト』を。

同年に放送が始まったNHKのドキュメンタリー番組のエンディング・テーマ。
ブログを開設して四度目の憲法記念日に、
1987年に右翼に虐殺された朝日新聞の小尻記者に捧げる。



合掌。

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by thessalonike4 | 2008-05-03 23:30 | 憲法 ・ 皇室
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