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by thessalonike4
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カテゴリ:奈良紀行( 7 )
奈良紀行 7 - 奈良ロイヤルホテルの茶粥
b0087409_16445496.jpg旅行へ行って、どこへ泊まったとか、何を食べたなどということは、あまり書きたくもないし、誰かが書いたものでも読みたいとは思わない。司馬遼太郎の『街道をゆく』でも、そうした話はほとんど出て来ない。しかし若干の例外があり、文中に宿舎や食事に立ち寄った店の名前が登場する場合がある。読者である私にとってそこは要注意の情報となる。台湾の高雄にある国賓大飯店(アンバサダーホテル)はそういう一軒で、『台湾紀行』の中で紹介されていた。これはいいホテルに違いないと睨み、旅する機会を待ち、その機会を得て、東京から電話で予約を入れたが、「calling from Tokyo」と言った途端に、「あ、東京からですか、これはどうも」と即座に流暢な日本語が返ってきた。実際にサービスのクオリティが完璧で、ここのホスピタリティに勝てるホテルは日本国内でも数少ないと思われる。フロントもベルマンも全員が日本語と英語と中国語の三ヶ国語に堪能だった。抜群な語学能力。

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by thessalonike4 | 2008-03-20 23:30 | 奈良紀行
奈良紀行 6 - 平城京の再興
b0087409_1338215.jpg本棚の隅に東京書籍発行の『日本史図説』があり、その中に「平城京全景復元模型」の写真が載っていて、薬師寺の周辺を確認したが、やはり参道は配置されていなかった。本当に無かったのか。梅原猛が法隆寺の中門の中央に柱が立つ特異な伽藍構造に注目して、聖徳太子の怨霊を封じ込める設計意図を問題提起したのに匹敵する大きな謎の発見ではないかと一人で興奮していたが、薬師寺以外の南都七大寺の他の寺にも参道の設計配置がない。例えば、興福寺も、南大門から真っすぐに南下すると猿沢池に池ポチャになってしまう。池の南側から南大門と中金堂を直望し、右の五重塔と左の西金堂を視界両脇に入れるという景観は悪くないと思われるが、南大門に向かうには猿沢池を迂回しなくてはならず、アプローチが直線ではなく弧になってしまう。猿沢池の南側には元興寺が隣接している。直進の参道が十分に配慮されているのは、東大寺と、そして恐らく西大寺だけだ。

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by thessalonike4 | 2008-03-19 23:30 | 奈良紀行
奈良紀行 5 - 東大寺整肢園
b0087409_1601157.jpg枕詞の「あおによし」は「青丹よし」の意味で、丹は丹色、すなわち伽藍の柱や梁や扉に塗られた朱色を、青は伽藍の連子窓に塗装された顔料の緑色を示し、奈良の都に並び立つ大伽藍を彩る赤と緑の美しさを高らかに表現したものであると薬師寺の僧侶が法話の中で教えてくれた。高田好胤による薬師寺の昭和の大復興から始まった奈良の平城伽藍再興運動は、現在では薬師寺だけでなく他の寺院にまで動きが広がっていて、例えば興福寺が「創建期の天平時代の文化空間を再構成する」として、中金堂の再建工事が勢いよく進行している。興福寺の国宝館の中には再興する中金堂の模型が展示されていて、平城京遷都1300年記念の2010年に落慶をめざしている。興福寺も創建期と現在を見較べると失われた伽藍が多く、中金堂が完成すれば次は講堂と西金堂、さらに南大門と回廊へと事業を拡大させることだろう。金堂が東西に並ぶ独特の伽藍アーキテクチャ。「青丹よし」の奈良が甦る。

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by thessalonike4 | 2008-03-17 23:30 | 奈良紀行
奈良紀行 4 - 薬師寺   伽藍と仏像、加藤周一と和辻哲郎
b0087409_16272418.jpg小学館発行の『古寺をゆく』シリーズの第2巻が東大寺で、2002年に発行されたとき買い求めて本棚の隅に置いていた。きれいなカラー写真が多く載っていて、東大寺を目で楽しむことができる。その中に当時の別当の新藤晋海氏が寄せた文章があり、「個も全体の中でしか生かされない」ということを自覚することが大切だと説いている。「生きるということは、他の生きとし生けるものとの相関関係によって成り立っている」ということを自覚し、他者にも悟らせることが肝要だとメッセージしている。華厳の思想の本質が表現された言葉のように聞こえ、あらためて東大寺の「全体と個」への関心を思わされる。この20年、この言葉は重い意味をもって日本社会に発信され続けてきたと思うけれど、世界と日本での新自由主義の進行は、個をますます全体から切り離して、全体への関心や配慮を失うように方向づけ、利己主義こそが唯一絶対の普遍的真理だと確信させて個の行動を動機づけてきた。

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by thessalonike4 | 2008-03-16 23:30 | 奈良紀行
奈良紀行 3 - 修二会  
b0087409_164821100.jpg東大寺はバランスがいい。ユーザインタフェースが完璧にできている。旅する者にとっての東大寺の魅力は、あの広くてゆったりとした開放的な空間にある。そこはただ平面積が広いだけでなく、空間に高低差の変化があり、境内奥には二月堂舞台からの眺望と絶景がある。高い地点へ到達するのにもスロープが緩やかで、日本の寺社にありがちな長くて急勾配の階段の苦労や苦痛がない。上から奈良盆地を見下ろす眺望があると同時に、下から大きな大仏殿と大仏を見上げる景観の妙がある。世界最大の木造建築と大仏を拝む視界のサプライズと鑑賞の美がある。ビューの変化に富んでいる。広い寺社と言えば、金閣寺も銀閣寺も龍安寺も十分に広いが、景観の高低差の変化や視界の大きさの魅力は乏しい。また京都の寺社は周回路が一律に決められていて、自分で境内を自由に移動することができない。東大寺の場合は、自分で好きなコースを自由にデザインして楽しめる。境内の散策が線ではなく面で提供されている。

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by thessalonike4 | 2008-03-14 23:30 | 奈良紀行
奈良紀行 2 - 鎮護国家の仏教  
b0087409_15344826.jpg形(かたち)は京都にある。しかし、心(こころ)は奈良にある。形の美しさではなく、心を求めるのであれば、自分の心と向かい合わせる心を求めるのであれば、新幹線を降りた旅人は京都駅からそのまま出口に出るのではなく、近鉄線に乗り換えて奈良に向かう必要がある。宇治川と木津川を越えて南下しなくてはならない。往きも帰りも新幹線は満席で混雑していた。大量の観光客を東京から京都へ運んでいる。しかし、乗り換えた近鉄線は空席が多く、四両編成の特急電車の一両がほぼ空席だった。格差社会のいま、日本経済も格差経済として構造が固定して循環している。格差経済は二重経済であり、景気よく金を回す大企業や投資家や外国資本の経済と、金がなく切り詰めと資金繰りに追われる貧乏な中小企業と一般庶民の経済の二つに分かれる。新幹線と京都の混雑は「勝ち組」の富裕経済の消費を象徴しているようだ。 

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by thessalonike4 | 2008-03-13 23:30 | 奈良紀行
高僧 - あおによし奈良の都は咲く花の薫うがごとく今盛りなり
b0087409_16175962.jpg旅を終えて、この三日間を振り返りながら、奈良のことを考え浸っている。奈良は素敵なところで、どこまでも魅力に溢れていて、何度訪れても満ち足りた気分に私をさせてくれる。格差社会のいま、人がこの国の中で一つだけ旅する先を探すとすれば、奈良を選ぶのが最善の選択なのではないかと私には思われる。格差社会の中で、私たちは、茨の冠をかぶせられ、重い磔の十字架を背負わされて歩かされているイエスのようであり、ここまで酷く深く傷ついた心を癒せる旅の空間というのは、どう考えても奈良の他にはないはずだ。そこには歴史があり、古代の生き生きとした純粋な日本人の心があり、そのことを教えてくれる仏像(ほとけさま)がいる。京都の場合は、お寺に参り詣でる行為が、どうしても観光という表象に近くなり、その観光という言葉は、さらに消費という概念に接近してしまう。しかし奈良はそうはならないのだ。 

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by thessalonike4 | 2008-03-12 23:30 | 奈良紀行
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