本と映画と政治の批評
by thessalonike4
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<   2008年 03月 ( 19 )   > この月の画像一覧
反貧困フェスタ2008の祈りと願い - 河添誠と北村肇の展望論
b0087409_1434378.jpg校庭のテントの下で「反貧困」のグッズを販売していた主催者メンバーの表情がとてもよくて、そのことをもう一度書いておきたい。昨年暮れにNHKの『ワーキングプアⅢ』を見たときの感動が再び涌き上がってきた。500円のハンドタオルを買い、千円札を出して500円のお釣りを受け取ったのだが、そのときの若い女性の真剣な眼差しが、震えるような祈りと願いを漂わせたもので、忘れられない印象を刻みつけたからである。日本人は中産階級の生き方をしているときが一番美しい。その中産階級としての生き方を剥奪された現在の日本人がある。けれども、人間は奪われたものを回復しようとしたとき、その本来の美しさを人間性として回復する。奪い返すものは人間としての尊厳。テントの下でボランティアで働いていた若いメンバーの姿に中産階級の日本人の美しさが神々しく甦っていた。人間の尊厳に触れる思いがした。

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by thessalonike4 | 2008-03-31 23:30 | ワーキングプアと社会保障
反貧困フェスタ2008 - 問題は政治によってでしか解決できない
b0087409_15214622.jpg千鳥が淵のお花見がてら、神田で開催された「反貧困フェスタ2008」に出かけてきた。週末の3/29は朝から好天で、東京の桜が満開となった絶好のお花見日和であり、都心へ向かう電車はお花見客を乗せて平日を上回る混雑だった。満開、花は満開、君はうれしさあまって気がふれる。花見客で電車が満員になる井上陽水の歌があった。土曜の電車は平日よりダイヤがルーズで、都心に到着するのが遅くなる。10:15に始まるシンポジウムに合わせて家を出たが、会場の一橋中学校に着いたときは時間を少しオーバーしていた。校門を入って受付で入場料を払い、校庭を横切って校舎に入ろうとしたら、左手の特設ステージから聞きなれた政治家の声が聞こえてきて、黄色のブレザーを着た福島瑞穂がマイクを持って演説していた。「この18歳の少年もお金がなくて大学進学を諦めざるを得ませんでした」。岡山駅で起きた殺人事件の話をしていた。

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by thessalonike4 | 2008-03-30 23:30 | ワーキングプアと社会保障
チベット暴動と北京五輪の政治 - 今後の三つのマイルストーン
b0087409_151428.jpg今日が3月27日。もし仮に、今回の暴動がチベット側による北京五輪を標的にした意図的で計画的な政治であったとするならば、この動きはこれから五輪開催までの間にさらに続発する可能性が高い。具体的に日程を見てみると、8/8の北京での五輪開会式までの間に三つの大きな政治的里程標が考えられる。①まず5/6から5/10までの胡錦濤主席の訪日、②その次が6/19から6/21での聖火リレーのチベット自治区内通過、③そして最後に7/7から7/9までの洞爺湖サミットである。このタイミングで暴動の連鎖が起きるだろう。もし私がチベット独立派の政治参謀なら、そのようなマイルストーンで戦略を立案する。作戦の目標は北京五輪を潰すことであり、EU加盟諸国を始めとする主要国の五輪不参加を実現することで、それが究極の目標だが、それに並ぶ戦略目標として、洞爺湖サミットの首脳会議のテーブルでチベット問題を議題にして討議させ、サミットの決議文にチベット問題に関する一項目を挿入させることがある。

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by thessalonike4 | 2008-03-27 23:30 | チベット暴動と北京五輪
チベット独立論の盲点 - 国境の線引きと自治区内中国人の処遇
b0087409_1553682.jpg纏足とアヘン中毒と人身売買の時代の中国、主権なき半植民地状態の中国の混乱と停頓と疾患については、魯迅の『阿Q正伝』や『狂人日記』で手探りすることができる。文化大革命時代の混迷と絶望と地獄については、ユン・チアンの『ワイルドスワン』を読むことで正確に検証することができる。われわれ日本人が簡単に戦前の暗黒社会に戻ることができるように、中国人も簡単に統一前の中国の分裂と混乱の泥沼状態に戻ることができる。統一国家を壊し、法治国家を崩して、剥き出しのエゴと暴力で梟雄が地域を支配する社会に立ち戻ることができる。梟雄が覇を競って争う古代的乱世に戻ることができる。中国も日本と同じなのだ。中国が新自由主義の激越な格差社会にブレーキをかけられないのは、文化大革命の悪夢の時代に戻る恐怖があるからである。極貧共産主義の「平等社会」の記憶が甦るからである。中国人にとって共産主義経済とは、あの人民服と人民公社と下放労働の悲惨な全体経験である。

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by thessalonike4 | 2008-03-26 23:30 | チベット暴動と北京五輪
チベット問題を論じる前提 - セーフティネットとしての鄧小平路線国家
b0087409_12594415.jpg昨日のブログの記事が、全体として中国政府寄りの立場に過ぎるのではないかという批判については、甘んじてそれを受けなければならないかも知れない。人権や自由と民主主義の普遍的価値に立脚した視点が弱いという指摘も少なからず当を得ている。けれども、チベット問題を論じるということは、中国問題を論じるということであり、それは日中関係の政治を論ずるということである。われわれには所与の日本の政治的現実がある。現実の歪んで爛れたイデオロギー環境と思想空間がある。そうした現実から離れたチベット論はあり得ない。社会科学は現実の問題を解決するための理論を提供するものであり、常に現実を変革する態度を失ってはならず、そこから切離された、言わば宙に浮いた普遍的真理や抽象的命題の一般論を無前提無媒介に直接的に対象分析に適用する態度は社会科学的とは言えない。ファナティックな右翼のイデオロギーの増長充満と跳梁跋扈という日本の思想的現実を意識することなくチベット問題を論じることはできない。

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by thessalonike4 | 2008-03-25 23:30 | チベット暴動と北京五輪
チベット暴動の政治 - 五つの視点からチベット情勢を考察する
b0087409_132323.jpg第一に、チベットの暴動は暴動ではなく民衆の抵抗あるいは蜂起と呼ぶべきだという主張があるが、この議論は果たして認識として当を得ているだろうか。テレビのニュースの映像を見ていると、ラサ市内でチベット人が中国人の商店を集団で襲撃して、投石や放火の破壊行為を行っている。罪のない民間人の住宅店舗を襲撃する行為は、それが日頃の民族的抑圧に対する怨嗟と憤懣の爆発であるという事情があるにせよ、やはり抵抗や蜂起の言葉で事態を説得することを困難にする。同情はできても支持はできない。それを蜂起だとか抵抗の言葉で正当化するのなら、まずは政府や共産党や警察の庁舎を標的にするべきで、襲撃する対象は権力を持った自治区の要人でなければならない。さらに、今回は亡命自治政府のダライ・ラマ自身がチベット人に対して自制を求めている。抵抗運動を鼓舞する発言や声明を発していない。これだけの材料から考えても、暴動という言葉が事態の説明において適当と思われる。

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by thessalonike4 | 2008-03-24 23:30 | チベット暴動と北京五輪
竹中平蔵の安心理論 - ドル危機を隠蔽する新自由主義の詭弁
b0087409_1453244.jpg今日(3/23)の「サンデープロジェクト」に竹中平蔵が出てきて、またぞろ外国人投資家の「日本売り」の話を始め、新自由主義のプロパガンダを視聴者にシャワーしていた。今度は法人税を下げろと言う。日本の株価の下落率が他国の市場より大きいのは、諸外国より法人税率が高すぎるからだと説明していた。日経新聞を含め国内の数ある新自由主義のプロパガンダ装置の中で、最も露骨で厚顔なのが田原総一朗の政治番組で、世間の常識が徐々に新自由主義から離れ、「改革」政策の支持から離れて行っているのを必死で食い止める世論操作の防波堤の役目を担っている。実は二日前の金曜日(3/21)にネットで調べたときは、本日の「サンデープロジェクト」は、ドル下落がテーマで榊原英資の出演予告になっていた。それが土曜日に突然ひっくり返されて、竹中平蔵に差し替えられた。電通の横槍だろう。今日の番組の中で田原総一朗は榊原英資の悪口を言っていた。これも電通の差し金だろう。これは見落とせない重要な事件だと思われる。 

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by thessalonike4 | 2008-03-23 23:30 | 田中宇と世界金融経済
奈良紀行 7 - 奈良ロイヤルホテルの茶粥
b0087409_16445496.jpg旅行へ行って、どこへ泊まったとか、何を食べたなどということは、あまり書きたくもないし、誰かが書いたものでも読みたいとは思わない。司馬遼太郎の『街道をゆく』でも、そうした話はほとんど出て来ない。しかし若干の例外があり、文中に宿舎や食事に立ち寄った店の名前が登場する場合がある。読者である私にとってそこは要注意の情報となる。台湾の高雄にある国賓大飯店(アンバサダーホテル)はそういう一軒で、『台湾紀行』の中で紹介されていた。これはいいホテルに違いないと睨み、旅する機会を待ち、その機会を得て、東京から電話で予約を入れたが、「calling from Tokyo」と言った途端に、「あ、東京からですか、これはどうも」と即座に流暢な日本語が返ってきた。実際にサービスのクオリティが完璧で、ここのホスピタリティに勝てるホテルは日本国内でも数少ないと思われる。フロントもベルマンも全員が日本語と英語と中国語の三ヶ国語に堪能だった。抜群な語学能力。

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by thessalonike4 | 2008-03-20 23:30 | 奈良紀行
奈良紀行 6 - 平城京の再興
b0087409_1338215.jpg本棚の隅に東京書籍発行の『日本史図説』があり、その中に「平城京全景復元模型」の写真が載っていて、薬師寺の周辺を確認したが、やはり参道は配置されていなかった。本当に無かったのか。梅原猛が法隆寺の中門の中央に柱が立つ特異な伽藍構造に注目して、聖徳太子の怨霊を封じ込める設計意図を問題提起したのに匹敵する大きな謎の発見ではないかと一人で興奮していたが、薬師寺以外の南都七大寺の他の寺にも参道の設計配置がない。例えば、興福寺も、南大門から真っすぐに南下すると猿沢池に池ポチャになってしまう。池の南側から南大門と中金堂を直望し、右の五重塔と左の西金堂を視界両脇に入れるという景観は悪くないと思われるが、南大門に向かうには猿沢池を迂回しなくてはならず、アプローチが直線ではなく弧になってしまう。猿沢池の南側には元興寺が隣接している。直進の参道が十分に配慮されているのは、東大寺と、そして恐らく西大寺だけだ。

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by thessalonike4 | 2008-03-19 23:30 | 奈良紀行
奈良紀行 5 - 東大寺整肢園
b0087409_1601157.jpg枕詞の「あおによし」は「青丹よし」の意味で、丹は丹色、すなわち伽藍の柱や梁や扉に塗られた朱色を、青は伽藍の連子窓に塗装された顔料の緑色を示し、奈良の都に並び立つ大伽藍を彩る赤と緑の美しさを高らかに表現したものであると薬師寺の僧侶が法話の中で教えてくれた。高田好胤による薬師寺の昭和の大復興から始まった奈良の平城伽藍再興運動は、現在では薬師寺だけでなく他の寺院にまで動きが広がっていて、例えば興福寺が「創建期の天平時代の文化空間を再構成する」として、中金堂の再建工事が勢いよく進行している。興福寺の国宝館の中には再興する中金堂の模型が展示されていて、平城京遷都1300年記念の2010年に落慶をめざしている。興福寺も創建期と現在を見較べると失われた伽藍が多く、中金堂が完成すれば次は講堂と西金堂、さらに南大門と回廊へと事業を拡大させることだろう。金堂が東西に並ぶ独特の伽藍アーキテクチャ。「青丹よし」の奈良が甦る。

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by thessalonike4 | 2008-03-17 23:30 | 奈良紀行
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