五月は憲法の話題を中心に記事を揃えた。その影響と思われるが、ブログのアクセス数は以前と較べて大幅に減少している。ブログ読者は憲法にはあまり興味がない。偽メール事件や野口英昭怪死事件の半分ほどの関心しか調達できない。特に憲法を守る立場からの発言や提案には聴衆が集まらない。これは残念なことだが、やむを得ないことでもある。重要な政治テーマに絞って、伝えたいメッセージに収斂すると、一年前のようなブログのコンテンツになり、ビジターは一日3千程度にまで下がって行く。ブログのクォリティはその方がキープできるだろうが、例えば野心的にTechnoratiなどで上位を狙うとなると、どうしても一般読者がそのとき関心のある旬の事件素材を扱わざるを得ない。いわゆる時事ネタ裏ネタ系であり、早い話が「きっこのブログ」のスタイルがその典型である。ブログ版「噂の真相」。ブログのクォリティとアクセスとは、多少ともある種の緊張関係(二兎)にある。
ブログの著者はどちらのオブジェクティブも疎かにはできないのであり、どちらか一方だけにコミットするわけにはいかない。ブログをもっと大きなメディアにしなければ、我々はマスコミのプロパガンダに対抗できない。対抗する有効な政治的言論力を作ることはできない。マスコミのリーチに対抗するためには、対抗側のブログのアクセス数が一日10万件以上なくてはならない。「世に倦む日日」の一日のこれまでの
記録はビジター6万人でページビュー8万件である。が、少なくともその倍の数を常時集める必要がある。そこまでの数を確保できれば、世論を作り、世論を動かせ、朝日新聞に替わって政治を動かすことができる。そういうブログ・ジャーナリズムの姿が理想としてあって、それはどうすれば実現できるのか、誰のブログがそのイメージに最も近いのかをいつも考えている。タレントや野球選手や著名学者ではなく、市民が実力でTechnoratiランクの上位を制することが重要だ。
私はこれまでの経験から、ブログで政治を動かすのは思ったより簡単だという結論に達している。ブログやネットは確かに数の力は集められないが、鋭利なトラックバックを効果的にヒットさせることで、ピンポイントの効果を強力に発揮することができる。具体的には前原辞任の政治がそうだった。細野豪志と前原誠司には気の毒だったが、ピンポイント・ドライブのブログ・ポリティックスの威力を証明できた。
こういう自慢話を始めると、またぞろゴロツキ左翼から誹謗中傷の雨霰が飛んで来るが、前原誠司が代表を続けていたら、共謀罪はどうなっていただろう。過激な改革競争主義者で、米国への忠誠競争でも徹底していた前原誠司のことだから、政府案の「懲役四年以上」では甘すぎるから「懲役二年以上」の犯罪対象に修正しろと迫ったのではないか。教育基本法改正案と国民投票法案は今頃は確実に可決成立していただろう。今年の政治の中で最も大きかったのは前原辞任だと思うが、どうだろうか。
前原誠司を辞任に追い込んでよかったとは思わないか。五月はそのピンポイント・ポリティックスを「
九条の会」の小森陽一に向けた。私の時間は限られている。無駄にはできない。首尾よくドライブできたかどうか、6月10日の「全国交流集会」の後に結果が出るだろう。ドライブできていれば、ネットのコミュニケーション戦略やエバンジェリズム戦略に大きな変化が出るはずだ。情勢認識にも変化が出るだろう。末端活動家が「護憲の戦いは長い道のり」などといった悠長で安易な言い方はしなくなるはずだ。私にも時間は限られているが、護憲勢力にも時間は限られている。新首相が安倍晋三になれば、ブッシュ政権の任期中に確実に改憲発議と国民投票がある。あと二年しかないし、その間にマスコミの扇動で雪崩を打って九条改正賛成に振れている世論を逆に戻さないといけない。「九条の会」の戦略戦術転換は急を要する。一年後に国民投票があると想定して勝利する戦略をプランしなければならない。
六月も民主党のピンポイント・ドライブにチャレンジする。さて、恒例のキーワード検索結果だが、歴史認識の方面からブログのアチーブメントを調べると、
秦郁彦が第8位、
東京裁判が第16位、
村山談話が第10位、
日中共同声明が第8位となっている。これらは一日に数件は必ず訪問者がある。これから夏にかけてさらに伸びるだろう。靖国神社とか靖国問題でも上位を目指したいと心得る。北朝鮮拉致問題については、記事は少ないが、まずまず注目を集めているようで、
安明進で第6位、
蓮池薫で第11位となっている。拉致問題についてブログで自由に書けるのはあとどれくらいだろうか。できれば横田早紀江で上位を狙ってみたい。共謀罪のシュプレヒコールは煩いくらいだが、北朝鮮拉致問題を論じているブログが皆無というのはどういうことだろう。改憲もテロ戦争も言論統制も、全て拉致問題から入ってくるのだが、そのことは分かっているのだろうか。
山口二郎が第7位、
マルチチュードが第8位、
関岡英之が第7位。
ブログも恐らくは今だけなのだ。今だからブログのバラ色の未来や可能性を信じられるのだ。夢を見させられるブログが現存するのだ。掲示板と同じで、先には幻滅と暗黒と懐古が待っているのである。ウェーバーの言う「雪も凍てつく極北の夜」。楽園は失われる。その幻滅と暗黒を媒介するのは、常に、常に、偉大な末端左翼様の陰謀と誹謗中傷の麻薬中毒である。