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村上世彰と掘江貴文の共謀 - ニッポン放送株不正取引事件
b0087409_18345388.jpg村上世彰のインサイダー取引事件は、概略はきわめて分かりやすい事件だが、中身に立ち入ると複雑で簡単には理解できない。テレビで永沢徹が説明するのを二度ほど聞いたが、どうも整然とした印象がなく、永沢徹自身がどこまで事件の核心を把握しているのか疑わしかった。証券取引法に絡む不正事件というのは、内容が専門的で難解であると同時に、刑事判断において捜査当局の裁量的な要素が強くて、一般人は検察側が説明する捜査情報のままに、そのまま事件を納得しなければならないところがある。今回のニュースは世間の関心の高い問題で、民放各局のワイドショーの関係者は一生懸命に検察の情報を整理して、複雑な事件を頭の中で組み立て、概念化して、クリップの図表を準備しているだろう。半年ぶりに永沢徹と佐山展生の二人がテレビ局をハシゴする季節が再来した。阪急のTOBが膠着状態になった時点で、ひょっとしたら当局が動き出すのではないかという予感はあった。



b0087409_1835378.jpgそうする以外に阪神電鉄の経営問題は解決のしようがない。介入の好機。で、今度の事件をマスコミにリークしているのも、ライブドア事件の広報を担当した同じ人物だろうか。もしそうであれば、この担当官のリークは相当に記者泣かせのものであるように思われる。そう思ったのは、事件の事実説明が朝日と毎日の記事で少し異なっていたからだ。今回の事件は、一昨年10月から12月にかけてのニッポン放送株式取得において、村上ファンドが証券取引法の禁ずるインサイダー取引を行ったとするものだが、朝日の記事がこの事件の言わば首謀者を村上世彰だとしているのに対して、毎日の記事の方ではライブドアが村上世彰に違法取引の話を持ちかけたことになっている。違法行為が指摘されているのは村上世彰だが、事件の首謀者はライブドアの堀江貴文なのだ。そういう説明になっている。首謀者が違う。これは少し不思議な事で、いったい検察のリークがどうだったのか中身を見てみたい。

b0087409_18351198.jpg特に新聞記事を読み込まなくても、常識的に考えて、このインサイダー取引の錬金術が村上世彰単独の行為ではなく、堀江貴文と入念に共謀しての(あるいはさらにハゲタカファンドのリーマンブラザーズも加わっての)空前のマネーゲームであった事実は誰にでもわかる。両者は完全に結託している。二人はWinWinのコラボレーションでマネーゲームのプロジェクトを遂行したのであり、すなわち、現時点から振り返れば、共謀による大型の経済犯罪を合意して実行したのである。どちらかが欠けてもニッポン放送株買占めプロジェクトは成功しなかった。そのプロジェクトの発起人を、毎日新聞は堀江貴文だと言い、朝日新聞は村上世彰が提案者だったと書いている。事件を外から見る者にとっては、別にどちらが首謀者でもよく、意味は同じで、そして堀江貴文の方はすでに別件で逮捕され起訴された身の上だから、言わば存在が捨象されてしまう。村上世彰がようやく御用になったかという認識でこの事件を捉える。

b0087409_1836273.jpg何が言いたいかと言うと、新聞報道では今回の事件を村上世彰インサイダー取引事件として報じ、村上世彰の挫折と阪神阪急の経営統合の決着のドラマとして描き見せているけれど、村上世彰だけにフォーカスしているけれど、事件としては本当はニッポン放送株不正取引事件であるはずなのだ。単独犯による犯行ではないのだ。村上世彰が逮捕されるのであれば、堀江貴文だって同じ事件に関わった共犯者として逮捕されてもよいのではないか。村上世彰のみが違法責任を問われて、堀江貴文が免責されるとすれば、検察の捜査はあまりにも恣意的で政治的である。一昨年の春の時点から、ライブドアによるニッポン放送株買占めは、その経緯において違法性の疑いが濃厚だと言われていた。結局シロのまま通って、堀江貴文と村上世彰とリーマンブラザーズは大儲けした。白馬の騎士だのポイズンピルだのを面白可笑しく解説して新自由主義を大衆に思想啓蒙していたのは、佐山展生と永沢徹だった。

b0087409_1835338.jpg私は、ライブドア事件について書いた記事の中で、堀江貴文は「証取法・組犯法・税法違反で懲役15年か」と予想した。堀江貴文の公判は始まっておらず、起訴がどの罪状で何度行われたかも忘れたが、思ったよりもずっと起訴内容は軽く、マネーロンダリングや脱税は問われてなかったように思う。そのうえ、あっと驚く「公判前整理手続き」の異例措置が適用され、容疑事実を否認したままの身でカネを積んで拘置所保釈の処分となった。戦後最大の経済犯罪の首謀者と言われながら、今ではヒルズで元の大富豪の生活に戻り、マスコミも寛容で、逮捕時の糾弾報道が嘘のように、堀江貴文を「改心した真面目な青年」に演出してやって許している。納得がいかない。せめて脱税は追及するべきだろう。検察には、ぜひ一昨年のニッポン放送株買占め事件とフジテレビ乗っ取り未遂事件の全容を解明してもらいたい。新自由主義を擁護し防衛しようとする政治やマスコミの介入に屈せず、司法の正義を純粋に貫徹してもらいたい。

堀江貴文が逮捕されたとき、MHKという言葉が言われた。MとHはお縄になったようだが、果たして最後のKの行方は。共謀罪に反対したから許してやるか。

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by thessalonike4 | 2006-06-05 23:30 | 村上世彰インサイダー事件
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