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by thessalonike4
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テポドン2の政治 - ミサイル発射を誘導する米国の意図と目的
b0087409_11213943.jpg北朝鮮問題専門家の重村智計によれば、テポドン2発射の時期は今日か明日(6/20-21)ということである。ニューヨークタイムズが米国政府筋の情報としてテポドン2への液化燃料の注入作業が終わったことを伝えていて、燃料を一度注入すると酸化して劣化するために発射せざるを得ず、また液化燃料を本体から排出回収する技術もないのだと言う。が、同時に重村智計は、北朝鮮が新しい液化燃料を使用していれば、数週間の間は劣化を防ぐことも可能だと述べていた。私はテポドン2の発射は6月25日ではないかと予想している。この日は朝鮮戦争の開戦記念日で、北朝鮮では「祖国解放戦争勃発日」として祝日になっている。この政治は要するに米国との駆け引きであり、すなわち米国からの回答期限を6月24日までに納期指定しているのではないか。この日までに米朝間の水面下での交渉が合意に至らなければ、北朝鮮は祝賀行事として「人工衛星」をラウンチするだろう。



b0087409_11171550.jpg米国は本当は北朝鮮にミサイルを発射させようとしているのではないか。新聞やテレビは北朝鮮の思惑ばかりを追跡する報道をしているが、私はこれはある種の出来レースだと踏んでいる。米国の真意はむしろ北朝鮮に弾道ミサイルを発射させたいのである。その理由は二つある。一つはテポドン2の現物を見たいからだ。純粋に軍事上の目的。テポドン2の弾道距離、高度、速度、精度等々のデータを収集し、米国が開発するミサイル防衛網技術に活用するためである。だから日本海と太平洋に自衛隊のイージス艦を配備させたし、沖縄にコブラボール(RC-135S電子偵察機)を飛ばせて、早朝から深夜までの監視体制を敷いている。データを漏れなく収集するためだ。北朝鮮(金正日)は、無論、米国のその軍事ニーズをよく承知していて、米国の求めに応じるように時間をかけて軍事情報の開示を準備しているのである。つまり、金正日と米国政府との間には阿吽の呼吸がある。

b0087409_11172751.jpgもう一つの理由は政治的理由で、何かと言うと、テポドン2発射によって日本国内に北朝鮮によるミサイル攻撃の恐怖と緊張を煽り、例の米軍再編と基地移転のための三兆円を通す世論基盤を作るためである。北朝鮮が核ミサイル攻撃の恐怖を日本に与えてくれれば、今は世論の反発で到底不可能に見える三兆円の財政拠出立法も十分可能な状況になる。三兆円を日本国民から掠め取るために、金正日の力を借りているのだ。実際にテポドン2が発射されれば日本の世論は大きく変わる。マスコミが総動員でミサイル防衛網整備の前倒しを言い、米軍への全面協力を国論とし、自衛隊の核武装を容認する世論誘導を開始するだろう。臨時国会の防衛省格上法案には民主党も賛成するだろう。三兆円を引き出す魔法の杖としてのテポドン一発。以上の二つがテポドン2発射を歓迎する米国政府の意図である。ブッシュ政権の本音はどちらでもいいのだ。国務省と国防総省でテポドン2に対するスタンスが違う。

b0087409_11173713.jpgその違いを金正日はよく承知していて、今回は国防総省とネオコンの誘導に乗りながら、一方でヒルやライスら国務省側を揺さぶって、水面下の米朝二国間交渉で包括的解決(パッケージソリューション)の合意へ引き寄せようとしているのである。今が二国間交渉のヤマ場なのだ。米国がテポドン2の発射を事実上容認していると思われる証拠を上げると、米国はテポドン2の発射準備を五週間前から偵察衛星で察知しながら、それをそのまま放置してきた事実がある。なぜすぐに国連安保理を緊急召集して協議しなかったのか。ボルトン国連大使はテポドン2が発射された場合の対応を安保理メンバーと協議していると言っている。何を言っているのか。すぐに中国とロシアと三カ国で共同声明を発して北朝鮮に発射を中止するように呼びかければよいではないか。アナン事務総長に金正日に親書を送らせればよいではないか。何のために国連安保理があるのか。米国は本気で発射を中止させようとはしていない。

b0087409_11175560.jpg中国は沈黙を守っていて、この沈黙が実に興味深い。金正日に対して発射中止を迫りながら、同時に米国に対して北朝鮮への妥協を促しているのだろう。金正日は、中国に対して、発射中止の見返りとして米国の金融制裁で受けた損失分の補填を要求しているのかも知れない。カネを強請っている可能性がある。北朝鮮のミサイル発射は日米の軍事再編と基地強化を促し、自衛隊の戦力拡充に拍車をかけ、中国の安全保障に重大な危機と緊張を齎す。金正日はそれを知っているから、テポドン2を米国に対してだけでなく、中国に対する外交カードとしても使っているのだ。現時点で本音ベースを探れば、テポドン2発射に対して歓迎なのは米国(ラムズフェルド)と日本(安倍晋三)、反対なのは中国と韓国の二国ということになる。最近、北朝鮮からの脱北者が北京の領事館に駆け込むというニュースを聞かなくなった。金正日の自信回復を感じる。少し自信を回復すると、この男は中国の警告を無視して崖っぷち外交を始める。

発射が中止になって一転して米朝合意、クリントン訪朝という事態も可能性としてある。そうなってくれることを日本国民として希望したい。
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by thessalonike4 | 2006-06-20 23:30 | 韓国 ・ 北朝鮮 ・ 拉致
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