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本と映画と政治の批評
by thessalonike4

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横田早紀江の壮大な演出と謀略 - 週刊現代の横田めぐみ死亡説
横田早紀江の壮大な演出と謀略 - 週刊現代の横田めぐみ死亡説_b0087409_11425220.jpg韓国政府の(日本右翼の謀略に対する)カウンターポリティックスを見て、正直なところ安堵している。拉致問題で日本の政権と右翼に揺さぶりをかけられた韓国に、私は不安を感じていたからである。横田早紀江と安倍晋三は韓国分断工作が大失敗して臍を噛んでいることだろう。先月中旬、横田滋が訪韓し、韓国のマスコミを引き集めて日韓拉致被害者家族会の連携を訴え、韓国国内で拉致問題の関心を高めたと報道されたのを見ながら、「侵略というのはこうやって始めるのか」と鬱々と思ったが、韓国政府の機を逸しない絶妙の反撃で、私の気分のバランスも少し回復できた感じがする。拉致問題は多くの日本の国民にとっては食傷なのだ。飽きているはずだ。食傷なのだが、テレビがこれでもかこれでもかと国民の胃袋に拉致問題を突っ込み続ける。だから外見上日本で「拉致問題への関心が高い」現実が出来上がる。出来上がった「現実」に抗しきれず、客観的に否定する材料を持てず、認めざるを得ない。



横田早紀江の壮大な演出と謀略 - 週刊現代の横田めぐみ死亡説_b0087409_1143447.jpg苦痛なことだ。横田早紀江の言っている「拉致問題の解決」とは、北朝鮮と戦争して金正日政権を倒すことなのだが、どうしてそういう右翼のプロパガンダに国民が乗せられなければならないのか。それを国論として認めなければならないのか。以前にも書いたが、そもそも最初に森喜朗が首相の時代に政府が拉致被害者救出に動いたとき、その当時に伝えられていたのは、横田めぐみと有本恵子の二人が(東南アジアの)第三国で偶然に発見されるという筋書きだった。タイかカンボジアという具体的な国名まで上がっていた。ところが、頭が悪くて難しいことは何も分からない森喜朗は、その極秘情報をブレアとの首脳会談の席で漏らしてしまい、そのため二人の「発見救出」がご破算になった経緯がある。謀略の渦が巻く遺骨のDNA鑑定情報とは別に、われわれが横田めぐみの生存を信じる所以はそこにあるのだが、この四年間のプロパガンダと右傾化で、横田めぐみの生死そのものに私は関心を失ってしまった。

横田早紀江の壮大な演出と謀略 - 週刊現代の横田めぐみ死亡説_b0087409_11463989.jpg先週号の週刊現代に「安倍晋三の電撃訪朝計画をスッパ抜く」という記事が載っていて、そこで安倍晋三の配下の政務秘書官が北朝鮮との極秘交渉のために中国に派遣された事実が暴露されている。その政務秘書官は井上義行(43歳)で、04年の1月と今年6月の二度にわたって「密使」として北京に入っている。小泉首相の任期切れが間近となり、これまで小泉首相の直属で北朝鮮と交渉していた山崎拓や平沢勝栄が離れ、そのチャンネルを安倍晋三が引き継ごうとしているのである。嘗てはチャンネルは外務省のコントロール下にあって、ミスターXと田中均のペアが主役だった。今は外務省は完全に実権を失って安倍晋三の奴隷になっている。週刊現代の記事では、選挙のたびに拉致問題を利用して、平壌から拉致被害者やその家族を連れ戻す演出で支持を集めていた小泉首相の例を倣って、安倍晋三が家族会を裏切って電撃訪朝し、金正日と日朝国交正常化の首脳会談をするのではないかと観測している。

横田早紀江の壮大な演出と謀略 - 週刊現代の横田めぐみ死亡説_b0087409_11432394.jpg週刊現代の記事は安倍晋三叩きが目的であり、私は安倍晋三が日朝国交正常化に動くとは俄かに思えないが、記事の中で「ある北朝鮮の幹部」が次のように言っている件がある。「再三言っているように、横田めぐみは本当に死亡しているし、他の生存者もいない。将軍様が謝罪し、生存者と家族を全員帰国させた時点で拉致問題は終わりだ。横田めぐみに関しては、蓮池薫が真実を知っている。蓮池がこれまで真実を明かさなかったのは、外交交渉に影響が出るという理由で日本政府に止められてきたのと、帰国した長女の恋人が共和国に住んでいるからだ。近い将来、蓮池が公の場で証言すれば、日本人も納得するはずだ」(6.19号 P.31)。その後に続く記述が重要だが、こうある。「蓮池氏は日本政府に何を語っているのか。長年拉致問題に関わってきたある関係者が明かす。『蓮池氏は、帰国直後の02年秋の段階で日本政府の担当者に対し、《横田めぐみさんは殺された可能性が高い》と証言しています』」(P.31)

横田早紀江の壮大な演出と謀略 - 週刊現代の横田めぐみ死亡説_b0087409_11433552.jpgある関係者が誰なのか、この証言にどこまで信憑性があるのかは全く不明だが、一つ言えることは、横田めぐみの真実については、誰よりも蓮池薫と祐木子の夫妻が承知しているということである。二人がテレビカメラの前に出てきて事実を言えばよいのだ。横田早紀江が「北朝鮮の言うことは嘘ばかりで信用できない」とか、「めぐみちゃんがどうなったか本当の真実が知りたい」とか、いつまでもいつまでも言い続けているのはおかしくないか。蓮池薫と祐木子の二人に聞けばよいではないか。蓮池薫は金英男とも職場の同僚で、二つの家族は同じ集落に住んでいて、何から何まで知り合った仲だったはずだ。実際に帰国した直後は「母乳が出なくて云々」の証言をしていた。北朝鮮に真実を教えてもらえなくても、蓮池薫に聞けば、93年から94年にかけての横田めぐみの真実については明らかになるだろう。そして実際に、横田夫妻は蓮池夫妻から全てを聞き出しているはずで、それにもかかわらず「真実が知りたい」と言うのはおかしくはないか。

02年の9月に一時帰国前の蓮池薫夫妻が平壌空港でキムヘギョンの顔を抱いている写真があるが、あの写真が何より雄弁に真実を語っている。横田早紀江とマスコミは、今度の金英男の一件を北朝鮮の謀略と言い、壮大な演出だと言うのだが、謀略であり演出なのは一体どちらなのか。いい加減に、この壮大な茶番劇の卓袱台をひっくり返す人間は出て来ないのか。

横田早紀江の壮大な演出と謀略 - 週刊現代の横田めぐみ死亡説_b0087409_11435265.jpg

by thessalonike4 | 2006-06-29 23:30 | 韓国 ・ 北朝鮮 ・ 拉致
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