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by thessalonike4
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北朝鮮ミサイル発射の政治 - すべての風は安倍晋三のために
b0087409_149920.jpgテポドン2発射について、私は「朝鮮戦争開戦記念日」の6月25日に発射されるだろうと二週間前に予測したのだが、不幸なことに、十日遅れで予想が的中してしまった。辺真一は水面下での米朝二国間交渉が決裂した結果だと解説している。本当に決裂したのかどうかは不明だが、米国の独立記念日とスペースシャトル打ち上げにタイミングを合わせた米国向けのデモンストレーションであったことは間違いない。デモンストレーションだったが、実際には発射実験に失敗した。データ収集を目論んでいた国防総省は失望しているだろう。私の見たところでは、米国は国連安保理で北朝鮮に対して制裁を含めた非難決議を上げるところまで持って行くとは思わない。今回のミサイル発射実験も外交交渉の一部として受け止めて、北朝鮮が次のカード(核実験)を切ってくるのを待つだろう。前の記事でも書いたとおり、北朝鮮は米国にとって使える裏のパートナーなのであり、東アジアに冷戦構造を作って日本を軍事大国化させ、核武装させて中国を封じ込めるための道具である。



b0087409_14101029.jpgまた、「不安定な弧」に対応する米軍の世界規模の再編に日本から巨額のカネを引き出すのにも役立つ。北朝鮮の核とミサイルは日本から米国がカネを毟り取るための打ち出の小槌だ。米国政府は早速コメントを発表して、「今回の北朝鮮のミサイル実験は米国の脅威にはならない」と明言した。金正日は、テポドン2の発射実験が水面下の米朝協議をご破算にさせないことを知っている。協議は続く。今度の発射は弾道ミサイルの発射モラトリアムを定めた日朝平壌宣言の違反であり、白紙化行為に他ならないが、金正日は日本との外交交渉で一兆円支援(日朝平和友好条約)にありつこうという考えを持っていない。日本との交渉は最初から捨て、米国との交渉に賭けている。一兆円は欲しいが、それは何も日本に頭を下げる必要はないのである。米朝交渉を成立させて、包括的支援のパッケージを獲得できれば、その時点で米国が日本に対して日朝国交正常化と支援金額を指示する。属国に外交のフリーハンドがない事実は金正日の方がよく見抜いている。

b0087409_14182156.jpg米朝交渉が最終的に妥結するのは、恐らくブッシュ政権の次の政権(私の予想ではヒラリー民主党政権)までなく、それまでの二年間はミサイル開発と核開発でひたすら緊張を高めるだけの関係が続くだろう。緊張激化の瀬戸際外交と危機の演出こそが金正日政権存続の安全保障装置となり体制延命装置になっている。その間に、他の国は変わらないが日本が変わる。憲法改正がある。先週、今年度の「骨太の方針」が決定され、財政再建のための社会保障費と地方交付金の大幅削減が方針化された。社会保障費と地方公共事業の削減は明記されたが、防衛費を縮減するなどという話は全く出なかった。軍事費は伸ばすのだろう。防衛庁から防衛省への格上もある。間もなく来年度予算の概算請求の時期になる。制服組にとっては棚からぼた餅。早速、森本敏が海上自衛隊へのSM3とパトリオットの配備を唱えていた。例の三兆円の米軍再編費用問題はどうなるのだろうか。一ヶ月前は国内世論は負担反対が圧倒的だったが、この事態で世論が一変するのではないか。

b0087409_1413954.jpg明日(7/6)、金英男の日本記者向け会見がある。93年にノドンミサイルが日本海に発射されたとき、日本国中が沸騰して、朝鮮学校に通う在日朝鮮人の子弟に嫌がらせと暴力が加えられた。通学中の女子学生のスカートが切り裂かれたり、同じ被害者が同じ加害者に電車の中で何度も顔面を殴られたり、石を投げられたりという事件が頻発した。一日に何十件と起き、私はそれを久米宏のニュースステーションで見ていた。他のテレビ局では特に大きく取り上げなかったが、久米宏は毎晩それを番組の冒頭で報道して、在日朝鮮人への嫌がらせを止めるように、制止させるように放送で訴えていた。関東大震災の頃と何も変わってないじゃないかという驚愕と戦慄の思いと同時に、久米宏は何て立派なんだろうという感慨が強く残っている。あの頃、電車の中で朝鮮学校女子生徒の顔を殴っていた男たちが、きっと今、右翼匿名掲示板で韓国朝鮮に対する罵詈雑言と誹謗中傷を浴びせているのに違いない。右翼も左翼もやることは同じだ。イデオロギーは暴力を聖化する。

b0087409_14103564.jpg政府が特定船舶入港禁止法を使って万景峰号の入港を禁止する処置に出て、これは北朝鮮に対する経済制裁の最初の発動である。私は経済制裁には反対だが、今回の入港禁止措置についてはやむを得ないと思う。ただ、北朝鮮は日本による経済制裁を宣戦布告と看做すと宣告していた経緯もあり、国家の安全保障上きわめて重大な判断であるから、経済制裁にあたっては政府だけで決定するのではなく、野党の党首も呼んで合意を取りつけるという配慮があってもよかった。特に民主党の了承は(形だけでも)取りつけるべきだっただろう。その民主党の小沢一郎は、せっかくの訪中をこれで台無しにされ、東アジア平和外交の政治演出を水泡に帰される結果となった。中国首脳部も含めて金正日に怒り心頭だろう。福田康夫の平和路線も影が薄くなった。何から何まで安倍晋三に有利に風が吹く。日本がこれまでどこか他の国に経済制裁を実行したことがあっただろうか。事実上の戦争が始まった。経済制裁は救う会と家族会が政府に要求し続けてきた政策措置でもある。

緊張の夏、小泉首相の靖国参拝まであと40日。レジームがチェンジする。
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by thessalonike4 | 2006-07-05 23:30 | 韓国 ・ 北朝鮮 ・ 拉致
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