
あの忘れられない衝撃の
9月11日から一周年を迎える。ブログの読者で、この一年間で年収が増えたという人はいるだろうか。生活が豊かになったという者はいるだろうか。将来に明るい希望を持てるようになったという人間はいるだろうか。悪くなったと感じている人が多いはずだ。想像した以上に生活環境が苦しくなったと実感しているのではないだろうか。一年後は確実にもっと悪くなる。そして経済生活だけではなく、言論環境の面で、今とは全く違った重苦しさに包まれているだろう。参院選はネット選挙になるから、言わばネットが街頭になる。「選挙でビラを配っていたら警察が来て逮捕されました」などという話を聞いたことがあると思うが、それが他人事ではなく、特別な政党関係者だけの話ではなく、かなり身近な出来事として意識されるようになるだろう。公職選挙法改正によるネット選挙解禁というのは、これは私の予感だが、1925年の治安維持法とセットになった普通選挙法と同様に、新しい権利を与える代わりに交換で自由を制限するという性格のものになりそうな気配がする。

「ネット選挙を解禁したために自民党が負けちゃいました」では世耕弘成の立つ瀬がない。参院選に敗北すれば安倍晋三は権力の座から滑り落ちるのである。民主党を勝たせるようなネット選挙解禁にはしないだろう。勝つための戦略の一環に組み入れる。「ネット選挙解禁も自民党に有利に働きました」という結論になるように持って行く。一年後は風景が変わっている。そのことを我々はよく想像するべきだ。9月8日のNHKの7時のニュースから本格的な憲法論議が始まった。この憲法論議は長く長く続く。長く長く続いて来年7月の参院選で一つのピークを迎える。憲法改正を政権公約の柱に据えた以上、安倍晋三はもう引き返せない。突き進むだけだ。もし発足直後の新内閣の支持率が70%から80%であった場合、民主党は臨時国会で憲法論議を回避できない。70%超の高支持率を受けた新政権からの憲法論議の挑戦を野党として正面から受けなければならなくなる。逆にもし支持率が40%程度であれば、民主党は臆せず安倍晋三の「再チャレンジ」政策に斬り込みをかけられる。

支持率は高く出るだろう。安倍晋三への支持率の高さは憲法改正への支持率の高さとして宣伝報道される。その高い支持率を背景にして10月の衆院補選に雪崩れ込む。その期間はたった一ヶ月しかない。10月には拉致被害者家族会が東京で国際会議を開くと言っている。安倍晋三はそこへ出て、補選のための票稼ぎをするだろう。補選の結果は国会論議に大きな影響を及ぼす。民主党が国会で格差批判や三位一体改革批判の論陣を張るためには、二つの補選で勝利することが至上命題となる。負ければそれは国会論戦の焦点にはならず、安倍自民党にペースを握られたまま与党の提出法案が通って行き、国民投票法案の審議で主導権を握られる。臨時国会では国民投票法案を成立させることはないが、補選で敗北した民主党は憲法論議で自民党に有効な手を打てず、参院選に向けて憲法をどうするか党内で深刻な議論になって行く。マスコミはこの頃から改憲報道に拍車がかかって行き、改憲論者による民主党批判が展開されるようになる。
岸井成格が改憲の先頭に立ち、みのもんたも改憲、嶌信彦も改憲。

日本テレビとフジテレビの関係者は何も悩む心配はない。悩むのは三雲孝江と
小宮悦子と田丸美寿々だろう。安倍内閣が支持率が低ければ、堂々と民主党側に立って「憲法改正は時期尚早」を言うことができるのだが、支持率が60%を超えて高止まりした場合には、軽々に改憲慎重論を口にするわけにはいかない。テレビで改憲反対を言うのは筑紫哲也と鳥越俊太郎の二人だけになる。年が明けた頃に
田勢康弘と田原総一朗が改憲を明言する。一人一人が静かに態度表明する。マスコミの人間はそれを迫られる。
福留功男も改憲賛成、ラジオでこれまで中立を守ってきた森本毅郎と荒川強啓が改憲賛成に回る。改憲反対を言うと仕事をさせてもらえなくなる。踏み絵を踏まなければならない。今年の憲法記念日に報道された朝日新聞の世論調査では、九条改正に対して賛成43%、反対42%で、初めて九条改正賛成が反対を上回った。この衝撃の
事実はブログでも何度か紹介したが、来年の数字はどうなっているだろう。同じ憲法記念日の報道で、九条の会は全国に4700拠点できて、さらに着実に増えつつあるという話だった。

私の予想では、朝日新聞の来年の5月3日の世論調査で九条改正賛成が50%を超え、反対が30%程度に下がっているのではないかと悲観している。この数字も改憲を争点にして参院選に臨む安倍自民党に追い風になるだろう。(悩みながら上手に改憲に立ち位置を変える)三雲孝江と小宮悦子は、踏み絵を踏めば局の幹部になれる。生え抜きの女性で初の取締役になれる。マスコミ人にとって中立とは多数派のことである。常に中立を維持しようとすれば、常に多数派の側に身を置かねばならず、少数派の側に身を置くことはできない。流れる方に身を寄せる。本当は、田原総一朗には梅原猛や渡辺恒雄のような人生の選択の姿を見せて欲しいのだが、田原総一朗は、自分はまだ若くて、まだ暫くの間は現役でテレビの政治を仕切る身だと思っているのだろう。何歳になっても、権力を持っている者がそれを手離すのは怖いのだ。田原総一朗だって、安倍政権の支持率が低ければ、40%を割る数字になれば、遠慮なく安倍叩きをやって参院選での民主党勝利を後押しようとするだろう。支持率が高く、参院選は自民党の勝ちだなと読めば、勝ち馬に乗る。