松岡利勝と尾身幸次の閣僚記者会見 - 末延吉正のプロパガンダ
b0087409_1154593.jpg今日だけで「組閣」のキーワード検索での来訪者が約千件あった。予想を含めた安倍新内閣の組閣関連記事について情報を探した人が多かったのだろうが、昨年の小泉内閣のサプライズを予想したブログ記事が最上位にあったために、それをクリックして覗き見た人が多かった。安倍新内閣の情報分析を見ようとアクセスされた方には期待外れで申し訳ない。安倍内閣については事前予想する気も全く起こらなかった。昨年のときと気分が違う。総裁選のマスコミ報道も面白くなかったし、安倍首相に対する人格批判のみのバッシングを繰り返している浮薄な左翼ブログの喧騒も無力感を深めるだけだった。世の中は確かに政治への関心が高まっているが、私の中ではどんどん低くなっている。政治が自分の手の届かないところへ行っている感が強い。前回の記事で6千億円の法人税減税について触れ、深刻な歳入不足と財政危機が言われる中で何故これほどまで安易に企業にバラマキをするのかよく分からなかった。



b0087409_11444086.jpg何となく答えが見えてきたような感じがして、どうやら今年度は昨年度以上に法人税収入が増えるのだ。歳入増加が顕著になるのである。昨日の新閣僚記者会見での尾身幸次の質疑応答を見ても、30兆円の赤字国債発行額枠は安倍内閣ではすでに問題ではないという余裕の表情を見せていた。この問題について省幹部が新大臣にレクチャーしていない。国の会計に余裕が出始めている。だから、安倍首相と側近は「深刻な財政危機」を持続させるように、意図的に歳入不足を作り出しているのだ。そのための企業減税なのである。目的は社会保障費と地方交付金の削減、すなわち三位一体改革の推進にあり、その新自由主義政策を実現するために、財政環境作りとして歳入不足をわざと作り出している。六年くらい前だったか、いわゆる首都圏の水不足問題というのがあって、夏になると利根川水系のダムが干上がって貯水量が減るという騒動があった。民放局がヘリを飛ばして群馬県のダムを上空から撮影していた。

b0087409_22483782.jpg節水をしろというキャンペーンがあり、ちょうど8月の概算請求の時期でもあり、国交省が新ダム建設の調査費を計上して、財務省があっさり認めるという霞ヶ関の予算編成作業に繋がっていた。ところが、構造改革で公共事業を削減する時代になり、どこかの週刊誌が取材して、あの利根川水系ダムの水不足は作為的なもので、水不足を演出するために国交省の指示で真夏になる前にどんどん放水して、ダムを空っぽにしているのだという事実が暴露された。国交省が新ダム建設のために水不足を捏造宣伝していたのである。犯罪的な税金浪費のマッチポンプ。今回の減価償却限度費変更による法人税減税措置はそれと同じだ。「歳入が足りない」「財政が破綻する」を言うために、社会保障費と地方交付金を削減するために、さらには消費税額の倍増を実現するために、それを国民に納得させるために、そのための数字上の既成事実を作るために、敢えて歳入を減らして財政を逼迫させているのである。歳入減で財政赤字を作っている。

b0087409_11452747.jpg安倍首相の腰巾着となった末延吉正がテレビ朝日担当の報道官になって嬉々としてプロパガンダの唾を飛ばしている。不愉快だ。この男は「ニュースステーション」が始まった頃は風采の上がらない凡庸な一介のマスコミ・サラリーマンだった。バンコク支局で暇をしていた頃は、この男の能力だとこの程度がお似合いだなという感じだった。ずっとバグダッドに張り付いて特派員をやっていた川村晃司の方がジャーナリストらしかった。末延吉正は安倍晋三の命を受けて巧妙(と言うより稚拙)な世論操作をやっている。小沢一郎とそっくり同じ論法で霞ヶ関の官僚を悪者にする構図を出し、「増税路線を図る財務省」を新しい抵抗勢力に仕立てる手法である。消費税10%を言い出した谷垣禎一と財務省に抵抗勢力の衣を着せ、これに「国民の敵」のレッテルを貼り、バッシングを浴びせ、増税ではなく歳出削減の安倍首相を「正義の英雄」に配役演出する宣伝詐術である。国交省と総務省の次は財務省が、亀井静香の次は谷垣禎一が抵抗勢力。

b0087409_22564168.jpg昨日の新閣僚会見の中で、農相に就任した松岡利勝の話は面白く聞けた。その挨拶の要旨は「これからの日本農業は輸出をする」というもので、「日本の農産物は世界一の品質であり、世界に冠たる日本農業をめざす」という所信表明だった。こういう話はいい。具体的にどこに何をどうやって輸出するのか聞いてみたいし、それを大資本の導入なしに小規模経営と農協のシステムを残したままで実現できるのなら素晴らしいと思うが、それ以上に、やはり政治家はこういう夢のある話をすべきだと思うのである。痛みの犠牲を国民に押しつけるばかりの話では堪らない。この二十年ほど、政治は日本の農業を真面目に考えたことがなかった。政府は農産物の輸入自由化ばかりに奔走して、農家に農業を廃業させる政策ばかり推進していたし、生まれながらの都市政党で新自由主義政党であった民主党は、農村住民への予算配分のために都市住民が損をしていると言い、地方公共事業や農村の基盤整備事業を削減することばかり訴えてきた。農村は悪だった。

ここへ来て、地方でも票が欲しくなった民主党は、ようやく「農家所得補償制度」などを言うようになり、これまでの新自由主義の冷酷な農村切捨て政策を見直し始めている。国政の陽のあたる場で、久しぶりに農業政策が本格的に議論されるようになった。そのことを私は歓迎したい。農村出身の議員は農村のために尽くすのが当然じゃないか。

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by thessalonike4 | 2006-09-26 23:30 | 安倍政権
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