本と映画と政治の批評
by thessalonike4
カテゴリ
チベット暴動と北京五輪
ガソリン国会と後期高齢者医療
新自由主義と福祉国家
ワーキングプアと社会保障
山口県光市母子殺害事件
福田政権・2008年総選挙
米国大統領選挙
田中宇と世界金融経済
イージス艦衝突事故
イスラエルのガザ侵攻
岩国市長選挙
防衛省疑獄事件
大連立協議と小沢辞任
民主党 ・ 2007年参院選
安倍政権
憲法 ・ 皇室
戦争 ・ 昭和天皇 ・ 靖国問題
韓国 ・ 北朝鮮 ・ 拉致
共謀罪 ・ 教育基本法改正
村上世彰インサイダー事件
オー・マイ・カッシーニ
ネット市民社会
丸山真男
辺見庸
奈良紀行
その他

access countベキコ
since 2004.9.1


















米国による北朝鮮船舶の海上臨検 - 集団的自衛権の合憲化
b0087409_1151915.jpg今年は後半になって憂鬱な出来事が次々と続く。7月4日の北朝鮮のミサイル発射もそうだったし、8月15日の小泉首相の靖国参拝もそうだったが、今度の北朝鮮の核実験は深刻さの度合いが一段と大きく、何か歴史がまた一つ新しい段階に移行した感じがする。5年前の9月11日のときに感じたほどではないけれど、環境が大きく変わり、これまでの前提がリセットされ、新しい現実の前にホールドアップを余儀なくされる感覚が強い。最後のカードが切られた。葉千栄によれば、これから中国は北朝鮮との関係を一気に冷却化させ、軍事同盟である中朝友好条約も事実上無効状態になると言う。恐らくそうなるだろう。が、しかし、そうなる前に、中国には北朝鮮の核実験を何としても阻止して欲しかった。なぜなら、北朝鮮の核武装によって最も影響を受けて変わるのは日本なのであり、そのまま日本の憲法改正と核武装に直結して行くのだから。



b0087409_1151275.jpg中国にとっても安全保障上の死活問題であったはずなのだ。影響力を行使することはできなかったのだろうか。安倍首相の訪中を認めたことも合わせて、中国が大きく方針転換を始め、流れに身を寄せているように見える。ここ数年の動きを見ると、東アジアで政治の奔流を作っているのは日本であり、言い換えれば、意思を持って動いていて、他国を流れに巻き込んでいる。日本の右翼が起点となり主役になって動き、国際社会に与件を与え、東アジア全体の政治の流れを方向づけている。日本の右翼の理想への邁進を誰も止めることができない。それを止めなければならないのは日本の国民で、所詮は外国を頼ることはできないのである。私が中国に対する失望を言うのは本末転倒で、中国や韓国に言わせれば、お前たちがあまりに非力すぎるのだということなのだろう。そのとおりだ。しかし本当に、日本がこのようになるとは思わなかった。

b0087409_11534658.jpg米国にしても、欧州にしても、中国にしても、ロシアにしても、この20年間の変化というのは、私の頭の中では全て論理的納得的に追跡了解することが可能なもので、敢えて言えば、インドの経済発展と南米大陸の民主化の二つぐらいが意外に思うことである。その二つは想定外の歴史的変化だった。だが、この20年間の日本の変化ほど意外なものはなく、意外と言うよりも論外と言うか、対象化し思考する前提を得られない。前置きの愚痴が長くなった。年をとると愚痴が多くなる。今度の北朝鮮の核実験は日本に何をもたらすかと言うと、それは集団的自衛権行使の憲法解釈変更である。北朝鮮の核実験は、集団的自衛権の合憲化をめざす安倍政権にとって絶好の口実を与えた。テレビの報道は早くもその論点へ踏み込み始めている。つまり、核拡散防止のために米国が北朝鮮の船舶を海上臨検する。そこで紛争が勃発したらどうするのかという話だ。

b0087409_11521327.jpgブッシュ大統領と安倍首相の10/9の電話会談の意味はそこにあり、要するに北朝鮮から核が拡散しないように米国は海上臨検へと踏み出す。それを合法化するための国連憲章第41条に基づいた経済制裁決議案を安保理で通す。この決議案に中国は賛成(もしくは棄権)すると見られ、現実に日本海で臨検措置が行われる可能性が高くなる。仮に紛争が起き、米国の艦船が北朝鮮の艦船から銃撃を受けたとき、日本はどうするかという問題になる。これは、安倍政権ができたときに、安倍首相が集団的自衛権の合憲解釈化に関して言っていたところの、インド洋上で米軍の艦船に海自の艦船が燃料補給していたとき、第三国から米軍が攻撃を受けた場合に自衛隊はどう行動するかという問題と同じである。安倍首相は、集団的自衛権の行使が正当化される場合を研究すると言っていたが、研究して世論操作する前に北朝鮮がケースを贈呈してくれた。

b0087409_115232100.jpg憂鬱なのは、この議論を森本敏や志方俊之がテレビで誘導しているのではなく、国民の中で最も信頼感のある中立の小川和久が主導していることである。議論の中では、小沢一郎の集団的自衛権論が紹介され、すなわち、有事になれば前方支援も後方支援も同じなのだという話が掘り起こされた。小川和久がパースペクティブに収めているのは、民主党の集団的自衛権論であり、要するに、今回の事態は小沢一郎の集団的自衛権論が適用されるケースであり、政府の集団的自衛権合憲解釈と民主党の集団的自衛権論がピタッと一致できますよということなのだ。集団的自衛権の合憲解釈で自民党と民主党が纏まる可能性を示唆しているのである。小川和久の議論だから説得力がある。議論は自然で、特に破綻や矛盾を指摘できる余地がない。果たして、集団的自衛権行使の違憲を言明し、安倍首相と一線を画している公明党の太田昭宏がどう出るだろうか。

もしこの問題を共産党が国会で質問した場合は、安倍首相は躊躇いなく合憲へと解釈変更する発言をするだろうし、民主党はそれに乗らざるを得ないだろう。マスコミの中で反対する論者はいないはずだ。民主党がそれに反対したら、マスコミに轟然とバッシングされて補選を失う事態になる。中国が安保理で経済制裁決議に同調する。民主党が集団的自衛権の合憲化に踏み切る。小川和久だけでなく、今度は田岡俊次も微妙に論のニュアンスを変えた。これまでと少し違う言い方をしている。世の中が変わるということはこういうことで、一人一人が変わらざるを得ないのである。北朝鮮の核実験というのは、それだけ大きな問題なのだ。

b0087409_11525049.jpg

[PR]
by thessalonike4 | 2006-10-10 23:30 | 韓国 ・ 北朝鮮 ・ 拉致
<< 国会の風景 - 格差で下がるは... 昔のIndexに戻る 日本人における「生活の政治化」... >>


世に倦む日日
Google検索ランキング


下記のキーワード検索で
ブログの記事が上位に 出ます

衛藤征士郎
八重洲書房
加藤智大
八王子通り魔事件
吉川洋
神野直彦
サーカシビリ
敗北を抱きしめて
苅田港毒ガス弾
道義的責任
可能性の芸術
青山繁晴
張景子
朱建栄
田中優子
小泉崇
アテネ民主政治
二段階革命論
影の銀行システム
特別な一日
ボナパルティズム
鎮護国家
三田村雅子
小熊英二
小尻記者
古館伊知郎
本村洋
安田好弘
足立修一
人権派弁護士
反貧困フェスタ2008
舩渡健
エバンジェリズム
ワーキングプアⅢ
新自由主義
国谷裕子
大田弘子
カーボンチャンス
秋山直紀
宮崎元伸
守屋武昌
浜四津代表代行
江田五月
馬渕澄夫
末松義規
平沢勝栄
宮内義彦
田勢康弘
佐古忠彦
田岡俊次
末延吉正
横田滋
横田早紀江
蓮池薫
金子勝
関岡英之
山口二郎
村田昭治
梅原猛
秦郁彦
水野祐
渓内譲
ジョン・ダワー
ハーバート・ノーマン
B層
安晋会
護憲派
創共協定
全野党共闘
二大政党制
大連立協議
民主党の憲法提言
小泉靖国参拝
敵基地攻撃論
六カ国協議
日米構造協議
国際司法裁判所
ユネスコ憲章
平和に対する罪
昭和天皇の戦争責任
広田弘毅
日中共同声明
中曽根書簡
国民の歴史
網野史学
女系天皇
呪術の園
執拗低音
政事の構造
政治思想史
日本政治思想史研究
ダニエル・デフォー
ケネー経済表
マルクス再生産表式
価値形態
ヴェラ・ザスーリッチ
故宮
李朝文化
阿修羅像
松林図屏風
菜の花忌
アフターダーク
イエリネク
グッバイ、レーニン
ブラザーフッド
岡崎栄
悲しみのアンジー
トルシエ
仰木彬
滝鼻卓雄
山口母子殺害事件
偽メール事件
民主主義の永久革命
ネット市民社会