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核実験を偽装と推定する三つの判断根拠 - 「臨検」と「船舶検査」
b0087409_16452877.jpg北朝鮮の核実験が偽装ではないかと私が推測した根拠は三つある。第一はAP通信の報道で、米国時間10/13pmの最初の記事では、採取した「大気のサンプルには放射能はなかった」という米政府の intelligence official のが報じられていた。ところがその報道が、数時間後には「放射能検出」に変わるのである。情報元は同じ intelligence official 。日本にニュースが伝わったとき(10/14am)は、後のCNNの記事だけが紹介され、前の記事の方は無視された。実は大気中の放射性物質の検査測定は韓国でもやっていて、「異常な放射能値は検出せず」の韓国の結果が、10/12amの時点で米国で報道されている。普通に考えて、この一連の報道の矛盾と混乱は怪しむに足りるもので、米政府と日本政府、さらに日本の報道機関による意図的な情報操作の疑いを抱かせる。第二に、その問題と密接に関連するが、朝鮮中央テレビが10/9に「地下核実験成功」を伝えたときの発表内容の微妙な言い回しである。



b0087409_1646813.jpgこの発表は、例の朝鮮中央放送アナウンサーの中の最高位にあると思われる「おばさん」によってなされた。北朝鮮の最も重要な報道はこの人が「格調高く」担当する。その言葉の中に「今回の核実験は、放射能流出のような危険は全くなかった」とわざわざ「断り」を入れている。最初に聞いたときから不審に感じていたが、これは北朝鮮の「核実験」が偽装で、本当は通常の火薬を爆発させたものだったから、わざと最初にエクスキューズを入れておいたのではないのか。そう考えると全ての情報の辻褄が合う。爆発の規模が小さかった事実や、核実験の映像を公開していない理由についても謎が解ける。本当は核実験ではないものを、北朝鮮と米国と日本が一緒になって核実験であると既成事実化しているということだ。偽装であると推測する第三の根拠は、この「核実験」の実施日である。「核実験」は10/9の安倍首相訪韓に合わせて実行された。政治的なタイミングで行われている。私はこの点にも引っ掛かりを覚える。

b0087409_179957.jpg通常、核実験を行う場合は、予定日を半年前とか三ヶ月前には決めているのではないのか。プロジェクトを作って計画を立て、設備を組み立てるはずで、その工程を調整する条件は基本的に科学的技術的なものであるはずだ。特にそれが最初の核実験の場合は、時間をかけて慎重に行うはずで、したがってまた準備が計画どおり整えば、そのまま実験を遂行するだろう。そこに政治的な介入を入れて、無理に日程を前倒ししたり、延期させたりなど、現場の工程表を混乱させることは避けるはずである。純技術的な論理でプロジェクトを最適化し完結させることが実験成功の基礎である。安倍訪韓が決まったのは国会が始まった後で、北朝鮮が訪韓の情報を知ってから「核実験」するまで一週間の時間しかない。訪韓が決まった直後に核実験の予告をやっている。今回の「核実験」は、その意味できわめて政治的で、技術的な臭いがしない。カードの要素が濃厚なのである。考えてみれば、北朝鮮は二年前に核実験なしに核保有宣言をやっていた。

b0087409_1792588.jpg以上三点。私が「核実験」を偽装と判断する根拠である。金正日が直接に指示を出している。安倍訪韓に時期を合わせたのは、7/4の独立記念日を選んだミサイル発射のケースとよく似ている。妙に演出的であり、政治カードに金正日の個性と言うか、グロテスクな体臭が臭ってくる感じがする。北朝鮮が偽装の核実験を敢えてやった理由は、早く米国との二国間協議に持ち込むために、日本海で国連軍の臨検をやらせ、紛争を起こして交戦状態に入るためだろう。二国間協議を急いでいる。二年後には米大統領選があって、政権交代で米朝関係が急展開する可能性もあるのだが、そこまで待てない急を要する事情があるのだろう。さて、問題の戦争シミュレーションだが、臨検して海上で銃撃戦の紛争が起きた後どうなるのか。米国が空爆を実行すれば全面戦争になる。その時点でチキンレースは終わる。空爆をせずに別の方法をとる場合(42条の決議案採択)、北朝鮮にはまだカードがある。辺真一が言った休戦協定破棄と国連脱退である。

b0087409_1648647.jpg戦争シミュレーションは別の稿を立てて論じよう。核実験を偽装で行ったとすれば、金正日は追い詰められている。時間の猶予を持っていない。米国には時間の拘束条件がない。だが、「戦争を仕掛ける」主導権は北朝鮮が持っていて、米国を戦争か譲歩かの二者択一に立たせるべく、あらゆる挑発行為に出ることができる。問題は、瀬戸際外交から一歩飛んだ金正日が、次の挑発をどうエスカレートするかで、金正日に時間が無いのなら、必ず次の挑発に出るはずだ。ここで、森本敏が言っている「臨検」と「船舶検査」の区別の問題について若干触れたいが、「臨検」は戦時国際法の概念であり、今回の inspection は「船舶検査」であって、そして日本が国連決議の「船舶検査」に協力するのは当然だと言っている。この議論に騙されて頷いてはいけない。何故なら、北朝鮮の立場から考えれば、北朝鮮から出港した貨物船が米軍の艦船に取り囲まれ、公海上で強制的に停泊させられ、武装した海兵隊兵士が積荷を検査すると言ってボートで迫って来たらどうなるのか。

北朝鮮側に「臨検」と「船舶検査」の区別などあるのか。北朝鮮にとっては現在も戦時なのであり、経済制裁は宣戦布告と見做して報復すると国連の場で公式に宣言しているのであり、米国とは休戦協定を結んだまま講和していない戦争相手国の関係なのである。「臨検」ではなく「船舶検査」だから武力紛争など起こらないと言えるか。「臨検」ではなく「船舶検査」だから、国内法を整備して米軍に協力しましょうと言えるのか。そんな生易しい話ではないだろう。国連軍の臨検に協力するなら、今回の事態に周辺事態法を適用して協力の範囲を米軍から国連軍に広げるのなら、戦争する覚悟が必要である。言葉で騙されてはいけない。

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by thessalonike4 | 2006-10-15 23:30 | 韓国 ・ 北朝鮮 ・ 拉致
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