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護憲新党と野党共闘について - 『ヴェラ・ザスーリッチへの手紙』
b0087409_1559504.jpgある読者からメールを頂戴し、次のような質問を受け取った。「どうやったら野党共闘或いは護憲新党を実現できるか、何かいい智恵はございませんか?」。不遜ながら、大学の講義で習った 『ヴェラ・ザスーリッチへの手紙』の情景を思い出した。ブロガー同盟の同志の一人が、ブログのよいところは、他のブログのように単純な政治的アジテーションの機械的連呼ではなく、ボナパルティズムの概念とか、ウェーバーやビスマルクの政治論とか、構造改革論の理論史とか、そうした政治学や社会科学の一般教養が学べる点だと言ってくれたことがある。『ヴェラ・ザスーリッチへの手紙』についても、この機会にご存知のない方はお知りおきいただきたい。遅れたロシアは資本主義を媒介することなしに封建制から社会主義へと移行・発展できるのか。農村共同体であるミール共同体は、資本主義による破砕なしに、そのままロシア社会主義革命の基盤に転轍し得るのか。ナロードニキの女流革命家ヴェラ・ザスーリッチがマルクスに手紙で問う。



b0087409_16235159.jpgマルクスは幾度となく返事の草稿を書き直し、最終的に、ミール共同体はロシア社会主義革命の拠点となり得ると言い、ロシアは資本主義を経由することなく一足飛びに社会主義へと飛躍可能だと結論する。『手紙』はマルクスの私的所有論と共同体論を解く一つの重要な手掛かりとなり、マルクス主義が学界で勢いを保っていた70年代には盛んに議論と研究の対象になった。その中でも特に有名なものが平田清明の名著『市民社会と社会主義』である。『手紙』は、国民文庫の『資本主義的生産に先行する諸形態』に所収されているが、現在では国民文庫そのものを書店で入手するのが難しいだろう。さて、本論に戻って、野党共闘と護憲新党の可能性の問題だが、この一年間で私の考え方もかなり変わった。読者氏によると、質問を発信される際に参考にされたのが、私が一年半前の昨年5月に書いた 『憲法9条を守る政治戦略』だが、この議論は、簡単に言えば共産党と社民党が早く一つの護憲政党になって選挙を戦えばいいという話である。

b0087409_1693524.jpgその後の私の護憲新党論は変化して、社民党と共産党をくっつけるという展望ではなく、社民党も共産党も一つになろうとしないし、護憲に対して責任を全うする気配がないから、新しい護憲新党を作り出そうという考え方に変わって行く。社民党や共産党では頼りにならないから、市民自身がネットで運動を起こし、その運動を母体にして本格的な護憲新党を立ち上げたらどうかという考え方である。記事ベースで辿ってゆくと、昨年8月の総選挙前に書いた 『共産党は小選挙区票を民主党に流せ』があり、総選挙後の10月に書いた 『日本共産党は社会民主党に党名変更を』、『可能性の芸術の姿』がある。10月の二つの記事は共産党論だが、第三極論でもあり、護憲新党論の延長として読んでもらうことができるだろう。現在では、ネット運動で新党を作ってもいいし、松本清張のようなカリスマの登場でもいいから、形はどうでもいいから護憲新党で第三極をという展望に変わっている。結局は同じ事なのだ。ネットで新党を立ち上げる場合も、要するにカリスマが要る。

b0087409_1675240.jpgさらに言うと、私の第三極論の特徴は、そこに必ず公明党との同盟の契機が入ることである。創価学会と組まなくてはならない。創価学会の集票能力の強さは今度の補選でも遺憾なく発揮された。脱帽。私の政治展望とそこらの浮薄なネット左翼の言説を分けるのは、創価学会との護憲同盟の契機があるか否かであり、創価学会を誹謗するかしないかの違いである。私は基本的に創価学会を揶揄中傷の対象にはしない。政権を取るために組む相手だからである。長州にとっての薩摩だからだ。大事な薩長同盟の相手だからであり、倒幕(=新自由主義打倒)の旗を共に仰いで戦うべき戦略パートナーだからだ。私は創価学会が集票する八百万票が欲しい。この日本において、創価学会が集票する八百万票を手にすることのできる男が権力の座に就く。今はそれを安倍晋三が握っている。その前の五年間は小泉純一郎が握った。もし小沢一郎がそれを握れば、小沢一郎が日本の主になる。参院選前にそうなる可能性はある。創価学会と同盟した者が日本の権力者になる。

b0087409_1681485.jpg①カリスマの存在の必至性、②創価学会との同盟の必至性、この二点が私の政治戦略を他と分ける特徴と言える。その意味では、民主党を中心とするプレーンな(民・共・社の)全野党共闘のパースペクティブとは若干異なる内実を持つ。敢えて三つ目の特徴を言えば、③左右共闘の契機の必至性であり、政権を取るときは必ず左右共闘でなければならず、ナショナリズム(日本主義)をこちら側が握らなければならない。武士のエートスや皇室への内在や死刑廃止反対の思想的視角は、そうしたナショナリズム(日本主義)の自己内包摂への政治的インタフェースを媒介する。①カリスマによる指導、②創価学会との同盟、③左右共闘と日本主義。これら三要素は既成左翼の政治展望と私の政治展望の思想的性格の断絶を顕著に示すものと言える。「何かいい智慧はないか」というご質問に対しては、「一刻も早くカリスマを探し出していただきたい」と回答を申し上げたい。私はウェーバーと同じカリスマ革命論であり、その点、西部邁と同じである。司馬先生も同じ。

b0087409_16101990.jpg我々がやらなければならないことは、共産党や社民党の限界を突き破って新しい第三極の核となる政治組織を作ることである。民主党では(公明党と組まない限り)政権は取れないと私は思う。二大政党制による政権交代の構図というのは日本ではリアルではない。この十年間の経緯を見ても、自民党は民主党の政策をパクって新自由主義政党に転換、政権を維持した。今は民主党が農家に最低所得保証を言う農村政党になりつつある。二つが体を入れ替えてスイッチした。二党は政権を取るために何でもする。米国のイヌになる。大事なことは、政府の経済政策を福祉国家型の政策原理に戻すことであり、外交政策を戦後平和主義の基本路線に引き戻すことである。新自由主義を日本政府の政策思想から排除して、税制と社会保障制度と労働法制を公正で民主主義的なアーキテクチャに戻すことだ。権力を取ることが目的ではない。最近この問題について書いたものとして、『平和共同候補と全野党共闘をめぐる動き』(8/17)と 『改憲サスペンデッドで全野党共闘を』(9/19)の二つがある。

前者は野党共闘の困難を嘆いた記事であり、後者はこれから参院選に向けて野党共闘を組むためのミニマムの条件として「改憲サスペンデッド」の合意を提案したものである。この提案はリアルなものだと私は思うが、提案がワークするためには、民・共・社をブリッジする大型のカリスマの存在が要る。大江健三郎でも誰でもいいから、民共社三党の(改憲サスペンデッドでの)ブリッジに本気で動いてもらえないだろうか。

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by thessalonike4 | 2006-10-25 23:30 | オー・マイ・カッシーニ
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