ある読者から下のメールを頂戴しながら、ブログが右翼の反中プロパガンダに利用されることを恐れ、紹介するのをためらっていた。現在の日本外交にとって最も重要な課題は、対米従属からの脱却であり、中国との関係修復である。日中関係を小泉靖国参拝以前の日中友好の水準に戻さなくてはならない。大平正芳の「
一衣帯水」の原点に戻さなくてはならない。それが、わが国外交の基本課題であり、21世紀の日本の平和と繁栄はそこにかかっている。ブログの基本はそこにある。二年前の記事である 『
中国の対日不信』 と 『
西安愁夜』 がブログの中国に対するスタンスの基本である点を確認しながら、ダルフール問題について訴えた読者からのメールを転載したい。転載に際して、勝手ながら、署名サイトの紹介の部分は削除させていただいた。それと、十年前にHPに書いた『
ルワンダ虐殺と市場原理主義のプロパガンダ』を思い出した。
初めまして。いつもブログを拝読しております。さて、今回はお願いがあってメールしました。長文になりますこと、予め謝っておかねばなりません。ダルフール紛争をご存知でしょうか? スーダン西部にあるダルフール地方で起こっている紛争です。2003年に始まったとされている現在進行形の スーダンの内戦です。もともと同じイスラム教徒内でのアラブ系とアフリカ系による紛争で最初は双方が無差別に攻撃をしあっていたらしいのですが、今は現スーダン政府に支援されたアラブ系民兵「ジャンジャウィード」が中心になって一方的にアフリカ系住民を攻撃しています。それはジェノサイドと呼ばれる非人道的な虐殺行為で、とてもこの世のものとは思えません。男は去勢後撲殺され、女は拉致されて何週間もレイプされ、襲撃された村々は骨すら粉々に灰になるほど焼き尽くされます。
目玉をくりぬかれた人、抱いていた赤ん坊を引き剥がされ目の前で銃剣でさされた母親、幼い子供を焚き火に放り込まれた母親もいます。私には一歳の息子がいますが、目の前で息子が同じような目にあったらなど想像もできません。狂ってしまいます。国際的な非難がある中、現スーダン政府は「小競り合い程度だ。」と全く取り合いません。更に悪いのは、これには背後で中国政府が関与していることです。現在、高度経済成長中であり、また北京五輪をひかえた中国はエネルギーが必要です。スーダンの石油利権は中国国営企業も含め、ほとんどを中国が独占しているような状態です。このため、この利権を手放したくない中国は、これまでに国際連合の常任理事会でスーダンへの国連平和維持軍の派遣等、ことごとく常任理事国の拒否権を使って阻止してきました。
それどころか、現スーダン政府に資金と武器を供給しています。罪のない人たちの虐殺に使用されている武器はほとんど全てが中国製です。中国には法輪、チベット、東トルキスタン、その他自国内でも人権問題を抱えていますが、ダルフールは間接的ですし、そんな問題の一つに過ぎないのかも知れません。ところが、今年の3月28日にアメリカの雑誌でユニセフ親善大使を務めるミア・ファローが「虐殺オリンピック」と題した辛辣な記事を寄稿しました。この中で非難された北京五輪の芸術顧問を務めるスピルバーグ監督は、それを「不本意だ。」としながらも、数日後に北京に対してダルフール紛争の解決に努めるよう書簡を送ったそうです。そして、以来、アメリカ、イギリス、フランスなど先進諸国では市民団体も結成され、先日はアメリカで北京オリンピックボイコットに関する決議がなされるなど関心と行動が広がってきています。
北京五輪のスポンサーやスーダンに石油利権を有する中国の石油会社に投資している投資家等に対する「負の投資活動」も功を奏してきているとのことです。しかるに我が国では、ダルフールの現状は24時間テレビでも取り上げられません。国内では従来から中国利権を握っている大物がおりますし、五輪に際して秘かに「北京五輪を支援する議員の会」というものが結成されていることから、中国の利権が絡んでいるため、主要なメディアもうかつに記事にできないのかと想像していますが、マスコミや政治家にお詳しい「世に倦む日日」の管理人様なら、何か推察可能でしょうか? 上記ブログにもありますが、このリストについて入手した「中国の黒い罠」の宝島編集部は「公開は遠慮して欲しい。」と言われたそうです(上記ブログ記事が当局からの圧力により削除されていましたら、私が全文のコピーを保存していますので、おっしゃって下さい)。
他の先進国では運動が広がっていますし、報道もされています。国連の平和維持軍の派遣も決まりましたが、これまでさまざまな介入を一切断ってきたスーダン政府が受け入れるかどうか分かりません。まだまだ力が足りないのです。何の肩書きもない一人ひとりの関心が広がりを見せることを願っています。世界はこれまでにホロコースト、東南アジアにおける虐殺、ルワンダ虐殺など他国の無関心と不介入から食い止められなかった虐殺をその度に反省してきました。しかし、ダルフールでは現在進行形で耐え難い虐殺が行われています。お教え下さい。どうして日本国内ではこのダルフール紛争が大々的に取り上げられないのでしょうか? 遠い国だからでしょうか? どうも私には中国利権が絡んでいるように思えてなりません。どうか、このダルフール紛争について関心を持っていただけたのなら、ブログの記事として取り上げていただけないでしょうか?
お忙しい中、長いメールをすいません。それでも、多くの方に読まれていて政治的関心の高い貴ブログに取り上げていただけたら、一人でも多くの人の関心が集まると思いますし、この紛争について報道で取り上げられない背景を考察してご教示いただけたらと思います。どうか、前向きなご検討をよろしくお願いします。そのためにご質問あれば、私でよろしければ分かる範囲でお答えさせていただきます。