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教祖を信じよ、リベラル派なら - 小沢一郎のインタビュー記事
b0087409_13421184.jpg今朝(11/16)の朝日新聞に小沢一郎のインタビュー記事が載っていた。ご覧になられた方も多いと思うが、「政治判断、今でも正しい」という見出しが打たれている。インタビューの中から具体的に言葉を抜き出すと、「一連の経過の総括と今後の政権戦略は」と記者が質問したのに対して、小沢一郎は、「政治判断は今でも正しいと思っている。選挙で勝てる最大の方策だ。だが、みんながそれを望まないというんだから、その方法は捨てる以外ない。残念だけど」と答えている。大連立協議は誤りだったとか、国民に対する裏切り行為だったなどという言葉は一言も出ていない。反省や後悔の心境は露ほども見せていない。大連立が失敗に終わったことを「残念だ」と言っている。小沢一郎の頭の中では大連立は今でも正しい政治判断であり、それに賛同しなかった役員会の連中の方が政治に無知で未熟だという認識なのである。



b0087409_13415755.jpgネットで小沢一郎を擁護している信者たちは、この言葉をどう受け止めるのだろう。大連立を組むことが次の衆院選で勝つ最大の方策だと小沢一郎は再び言っているが、この言葉を信者はどう理解して、どうわれわれに説明してくれるのだろう。地方紙が小沢一郎を批判した社説でも、この意味不明な論法に首を傾げていた記事が多かった。世間の常識では意味不明で理解困難なものを宇宙の真理として直観するのが信者の信仰というものであろうから、この部分はぜひ、教祖様の啓示をわかりやすく教えていただきたい。連立を組むと言うことは、自民党と共同して政権を担当するということである。小沢一郎の頭の中では、一年半後の任期切れ解散まで仲良く連立政権を運営して、任期が切れて総選挙になった途端に全てが白紙になって、自民と民主の間で選挙の争点を作り出し、小選挙区の議席を両党で争い合うということだろうか。

b0087409_13413959.jpg全く訳がわからない話だが、大連立政権の後の選挙で仮に民主党が過半数をとって単独で政権を樹立した場合、それは政権交代と呼ぶのだろうか。地元で支援者から質問されている民主党の議員や関係者たちは、一体どう説明しているのだろう。論理は奇奇怪怪で首を捻るばかりだか、小沢一郎が大連立を完全に撤回しておらず、そこに未練を抱いている事実だけは疑いない。考えてみれば、それを誤りだとか裏切りだと自分で認めてしまったら、その責任をとらなくてはいけなくなる。が、それを誤りだとも裏切りだとも認めない小沢一郎と、責任を不問にしている民主党を見て、私は抑えきれない怒りと憤りを覚えるし、日本の政治の壮絶な自己欺瞞の前に鬱屈して精神を病む一歩手前の気分になる。さらにそれを許し、黙認するばかりか、小沢批判は敵を利するからやめろと喚いている護憲派やリベラル派の跳梁を見るに至っては、絶句して魂を凍らせてしまう。

b0087409_13422493.jpgこのインタビューの中で、私が特に注目した部分は、「総選挙の争点設定は生活重視か」という質問に対する小沢一郎の回答だった。「(安全保障には)国民は関心がない。それは政治家や政党の責任、見識できちっとした政治をやればいい。国民は生活の話だ。国民生活を、どちらの政党がちゃんとみてくれるのか。生活上の心配はみんな大変だ。選挙の時は、どんな時でもちゃんと生活を安定させていきますよと訴えるのが一番だ。生活できるようにするのが政治じゃないかと、国民はみんな思っている」。この部分を読んでどう思うか。私は前に「小沢一郎は国民の生活苦など本当は関心がないのだ」とか、「国民の生活苦は小沢一郎の政治にとって与件の一つで将棋の駒と同じだ」という意味のことを指摘したが、その見方への確信を今回さらに深めることになった。小沢一郎にとって、国民というのは政治のフィールドに入るプレイヤーではないのだ。枠外なのだ。

b0087409_13423455.jpg国民が生活苦で難儀しているとか、重い負担で悲鳴を上げているというのは、小沢一郎にとっては単なるテキスト情報なのであり、江戸時代の百姓が重い年貢で苦しんでいたという昔話と同じなのだ。国民(百姓)は常に生活が苦しいと言う存在であり、為政者はそれに多少の手当てと施しをあてがってやればよいのだ。為政者たる政治家は、国家の安全保障のことを考えるのが主たる任務であり、民草へのあてがいや施しは、安全保障政策に支障をきたさない程度の財政で適当にやっておけばそれでよいのだ。小沢一郎は生まれながらの為政者であり、百姓ではないし、百姓の生活実感などわかるはずもないし、そんなものに関心を寄せすぎていたら、安全保障のような大事な天下国家の舵取りの邪魔になるだけなのだ。小沢一郎の頭の中は封建社会がそのまま続いているのである。そしてその観念や認識は、小選挙区制の二大政党制というシステムによって問題なく担保されているのだ。

b0087409_13424366.jpg民主党が嫌なら自民党に投票するのか。それができないならどうする。共産党に入れるのか。その一言で終わりだ。その一言で全て片づく。フェイル・セーフに保たれる。国民のことを主権者とも何とも思わず、税金を搾り取るだけの家畜だと思っているのは自民党の政治家も同じである。安倍晋三もそう思っているし、森喜朗もそう思っている。だが、あの安倍晋三でもここまでは言わない。このインタビューの発言ほど露骨に国民をバカにした言葉は吐かない。口調と表情と視線で国民をバカにして、その(バカにしている)内心を伝えているだけだ。小沢一郎の場合は堂々と言葉でバカにする。小沢一郎だけがそれができる。なぜかと言えば、安倍晋三が国民をバカにしたら、国民が怒って安倍晋三を批判するからだ。KYだとかボンボンだとか散々に叩かれる。だが、小沢一郎が国民を百姓扱いしてバカにしても、誰も文句を言わない。政権交代の旗手様のご発言だから、護憲派とリベラル派がありがたく承る。

自民党にも共産党にも票を入れたくない人間は、小沢一郎に侮辱されても、百姓扱いされても、嬉しそうに喜んで、小沢一郎を讃える言葉をネットで唱和して、小沢民主党を支持しなければいけない。大連立こそ次の選挙で民主党が勝つ方策だと固く信じ、頭から疑念を捨て、自信をもって大きな声で言わなくてはいけない。教祖様のお言葉を疑ってはいけない。それこそ真のリベラル派だ。教祖を信じよ、政権交代教の信者なら。

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【補 遺】

辞任会見からわずか二日後に辞意撤回した件だが、一部にその撤回の早さを政界の謎のように言い、一部に「たった二日で撤回したんだから小沢さんには何の問題もない」などと小沢擁護の根拠にしたりする向きがある。別に突っ込んで解説する必要もない話だが、要するに、辞意撤回が早かった真相は、参院で17人の頭数が纏まらなかっただけである。辞任会見のとき、小沢一郎は「役員会に辞表を預けた」と言って、完全に辞任を固めなかった。民主党役員会と駆け引きを始めたのであり、代表留任の条件は、役員会が小沢一郎の連立協議を認め、特に海外派兵を中心とする安全保障政策に関して自民党との協議を続けることだった。それを条件として受諾させようとしたのであり、交渉を有利に運ぶ武器として、参院での17名を確定させ、示威の揺さぶりに出ようとしたのである。

結果的にそれは失敗して、数を集めきれず、駆け引きは不可能となり、民主党役員会に小沢一郎の方が復帰条件をのませることはできなかった。菅直人の方も妥協をして、小沢一郎に今後の連立協議を放棄する誓約をさせることはしなかった。小沢一郎の体面を考慮して曖昧に収めた。だから、復帰会見の前に報道で発表されたように、「代表復帰にあたっては双方が条件を付けない」形になったのである。17名はなぜ集められなかったのか。小沢一郎にはある程度の自信はあったはずだが、私の見方としては、無論、撒けるカネが不足したということもあるだろうが、それ以上に、先の郵政選挙のときの自民党分裂劇の印象が参院の旧自由党の仲間たちの間に生々しく残っていて、党を割って出たら、平沼赳夫とか小林興起のようなキツい惨めな目に遭うという恐怖感が走ったからだろう。

また、一部に、例の自衛隊海外派兵について、国連決議の条件拘束を自民党に合意させたとして、政府の安全保障政策の「大転換」を「勝ち取った」意義を強調し、大連立のことばかりでなく、安全保障政策の面に目を向けよという声もあるが、これも意味不明で全く理解できない。この問題については天木直人がブログで斬り捨てているので、ここで私が特に付け加えることはないが、国連決議があれば自衛隊を海外の戦場に恒久派遣できるようにする措置や政策が、なぜそれほど画期的なのか。基本的に、自衛隊を海外に出すこと自体が憲法違反であって、こんな政策をわざわざ野党の方から政府に持ちかける必要はどこにもない。国民がそれを求めているわけでもなく、国連から日本にそのような恒久法整備の要請があったわけでもない。今度のISAFと恒久法の政治は単なる小沢一郎の道楽だ。

もし、国連決議による自衛隊の海外派兵措置を今国会の争点にして、政府与党と何らか合意するなり、譲歩を引き出すことを党の目標とするのなら、それが日本国民にとって決定的に重要な問題であったのなら、夏の参院選で民主党の公約として第一に掲げ、国民の関心を喚起して、選挙の争点に設定して民意を問えばよかった。選挙で民主党が国民に訴えて、民意の支持を受けたのは、安全保障問題ではなく、自衛隊の海外派兵政策でも何でもなかった。そんな事は一言も言わず、生活第一を訴え、年金や子育てや農家最低所得や医療や、そういう問題を争点にして政策主張したのが民主党だった。リベラル派たちは、石破茂の軍事兵器オタクを揶揄するが、小沢一郎がやっていることは、まさに安保防衛問題を子供の玩具にして、政局の道具にして弄り回していることではないか。集団的安保オタク。

それを、国連決議の条件拘束に合意する譲歩を自民党にさせたからと言って、鬼の首でもとったように大騒ぎするのはどういうことだろうか。国民が求めているのはそんな政策や政治ではない。党内が割れやすい安全保障政策で、小沢一郎に鼻面を引っ張り回されて混乱するのを避けるためにも、民主党は小沢一郎を代表の座から降ろした方がいい。年金問題をやり始めたら民主党は鋼鉄の党になるが、安保問題をやり始めたら民主党はガラスの党になる。誰にも弱点はある。小沢一郎や前原誠司に党を引っ掻き回されるのはやめた方がいいと思わないか。そう思わないか。リベラル派の信者さんたちは。

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by thessalonike4 | 2007-11-16 23:30 | 大連立協議と小沢辞任
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