構想と設計は自らの手で - 田中宇の国際金融論の刺激と覚醒
b0087409_1348251.jpgパキスタン情勢について情報を得ようとして、田中宇のサイトを覗いたら、パキスタン関係の最新記事はなかったが、そのかわりに国際金融経済の興味深い記事が溢れていて、夢中になって読んでしまった。面白い。重要な情報をよく押さえているし、読みやすくてわかりやすい。田中宇に対する評価と印象がさらに変わった。彼はインプルーブしている。昔はこんなに経済通の人ではなかった。今の記事は、知識も視角も、明らかにエコノミストの水準にリーチしている。それから、文章がシュアでステイブルになった。以前は記事の筆致に若干の飛躍が見られ、論理展開の不慣れさと若さが感じられたものだった。最近の記事はそれがない。構成がきちんとできていて、段落ごとに情報とメッセージがビシッと纏まって議論されている。エコノミクスのインテリジェンスに裏付けられたジャーナリズムになっている。私はこういうものを読みたい。



b0087409_13521880.jpg小沢一郎がどうとかこうとか、国内政治を騒ぐのも大事だが、あまりにプリミティブで内向きな感じがして、最近、田中宇的な問題関心の方に注意を向ける必要を痛感する。だが、こういう議論をマスコミで本格的にやってくれる人がいない。エコノミストがテレビに出て来ない。白痴的な「政治番組」で原口一博や山本一太が政治漫談をくっちゃべり、その白痴漫談をブロガーどもがネットの床屋政談に引き継いで喜ぶ。床屋政談に誹謗中傷の尾ひれがつく。そういう俗界に意識を埋没させているのではなくて、急速に変わっている世界の実相を正視し、世界の中で日本がどう生きて行くのかを考えるインテリジェンスがきっと必要で、その構想や概念を明確に打ち立てなければいけない時期なのだろう。その21世紀を生きる概念設計に基づいて、日本の政治も考えなければならず、政権のあり方や多数派形成のあり方も順番に考えるべきなのだ。

b0087409_13482983.jpg世界は本当に急速に変わっている。少し目を離している隙にどんどん変わる。先日、ブラジルが大西洋の海底に巨大油田を発見したというニュースがあった。記事には、ブラジルは将来世界有数の産油国になると書かれていた。私は、東シナ海ガス田開発が今後の日本経済と国民生活を決める決定的な国家プロジェクトであると以前から言い続け、その埋蔵量調査と日中共同採掘を訴えてきた。英国のように石油輸入国から産油国に転ずることで、700兆円の財政赤字を一気に解消し、さらに社会保障の国民負担を無料にする計画を説いているが、その提案を真面目に取り上げる識者がいないのは残念であり、ブラジルの鋭気と挑戦を見て焦りと羨ましさの気分を抱く。東シナ海ガス田はすぐに掘るべきだし、他に採掘の可能性のある場所はないかどうか、広い日本の経済水域全体を探査すべきである。これまでは無いと思われていたところから石油が出る。

b0087409_13484154.jpg最近の世界の油田開発を見ていると、何となく日本の温泉開発のような雰囲気があり、最新技術を使って地層調査をやれば、意外なところから原油が湧出する可能性がある。埋蔵石油の調査にかけては日本も世界に劣らぬ技術を持っているはずだが、東シナ海を含めて、新規の油田開発に国家として力を入れようとしないのは、政府と政権が石油業界の利害と利権を保護し、また米国の意向に配慮しているからだとしか私には思えない。東シナ海ガス田の埋蔵量が科学的調査で明らかになれば、石油メジャーと米国は卒倒するほどの打撃を市場で蒙るだろう。経産省が本気で自動車の俳ガス規制に乗り出さず、二酸化炭素低排出車の開発を数値で目標指示しないのも理由は同じに違いない。「石油を大量に輸入し消費する国」として日本を維持するためだ。日本を石油輸入大国のままにすることは、米国の世界戦略の一環なのであり、米国はその構図を変えたくないのだ。

b0087409_1349291.jpgエネルギーや資源の問題について、また通貨と貿易の問題について、中国やブラジルは自国経済と国民生活のために必死で戦略を練り、先手先手を打っている。ロシアもよくやっている。日本は何もせず、何も考えず、米国に言われるままに国富を奪われ、身ぐるみ剥がされて喜んでいる。単に貯金を奪い取られるだけでなく、教育水準を落とし、知能を劣化させられ、国民的生産力を回復できないように仕向けられている。あの「ゆとり教育」も、よく調べたら、日米構造協議以降の「年次要望書」の一環なのではないのか。80年代、日本の経済力はソ連の軍事力にかわる米国の敵として位置づけられ、構造協議はまさに敵を倒すため、敵の力を摩滅させるための「武器なき戦争」の「作戦」だった。勤勉な日本人は米国の生存にとって脅威であり、勤勉で優秀な日本人を地上から抹殺して、遊び好きで勉強嫌いの日本人に作り変えることが米国の戦略目標だった。米国の作戦は成功し、日本人は痴呆になった。

b0087409_13485165.jpgわれわれが何も考えなくても、官僚やシンクタンクが情報を集めて日本のために考えてくれていると思ったら大間違いなのだ。彼らアドミニは何もやっていない。遊び呆けているだけで、税金を貪り食うだけで、仕事はご主人様である米国のために奉仕するだけで、集めた本当の情報は国民には知らせず米国に流し、政策や法令は米国が指示したものを国民にダウンロードするだけだ。それが今の日本のアドミニの仕事だ。要するに、日本のアドミニは国民にアヘンを吸わせ、米国に逆らわない無能な廃人同然にして、ワーキングプアの過酷な単純労働と、低学歴と、結婚も貯金もできない薄給生活と、中国輸入食料品と中国輸入衣料品だけで一生を終えろと言っているのである。自分たちは収奪した税金を貪って、天下りを転々として退職金を懐に入れて、子供を東大に入れて、世襲貴族社会の楽園生活を楽しんで暮らすのである。官僚も財界も国民のことなど何も考えていない。だから、経済も自分たちで考えなくてはいけないのだ。

関岡英之や田中宇のように考えないといけない。世界は変わるときは急に変わる。サブプライムローンの破綻問題で、米国では来年さらに200万人が住宅を失うと推計されている。次はプライムローンが不良債権になると言われていて、日本経済の体験と同じように、不良債権でなかったものが不良債権になり、不良債権の全体が膨らんで行く。<帝国>の崩壊が間近いと思うのは、私と田中宇だけではないだろう。

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政治は「赤勝て白勝て」の紅白歌合戦ではない。主権者であるわれわれ国民がやらなければならない政治は、小学校の運動会の玉入れ競争ではない。どこかの市長選で民主党が勝ったから、小沢党首万歳を言っていればそれが政治だというものではないだろう。だが、15年前の政治改革は、政治を紅白歌合戦に変えてしまった。小学校の運動会の玉入れ競争に変えてしまった。赤が嫌なら白、白が嫌なら赤、二大政党のどちらかを応援する思考停止のゲームに変えてしまった。

今の日本の二大政党が、同じ政党が二つあるだけの、一つの大きな政党が二つの派閥に分かれて国民の支持を競い合っている擬似二大政党であったなら、玉入れ競争で紅白のどちらが勝っても国民の生活は変わらないだろう。民主党は企業団体からの献金を拒否できるのか。経団連が、これからは自民党への献金をやめて民主党にかえますと言ったとき、それを拒絶することはできるのか。経団連から金をもらいながら、経団連が要請する最低賃金据え置きを断るのは難しいだろう。

民主党は労組の支援を受けているが、常態化している非正規雇用を正規雇用に変えて、規制緩和以前の労働法制を原状回復する意思はあるのか。消費税増税には最後まで反対を貫くのか。その二つをコミットしなければ、どれほど「生活第一政策」と言っても、それは口先だけのものにしかならないし、公明党がやっていることと同じで、新自由主義政策の遂行に加担しながら多少緩和のポーズをとるだけの芝居になり、すなわち小沢民主党への応援は、幻想を信じての気分だけのものになる。

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by thessalonike4 | 2007-11-20 23:30 | 田中宇と世界金融経済
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