年末ジャンボ宝くじが発売され、東京の街は一気に師走ムードの雑踏となった。これから一か月ほど気ぜわしい毎日が続く。朝の電車がやたらと混み、夜の電車は彼らを酔い客にしてさらに不快に混雑し、駅に向かうのが憂鬱に感じられる季節となる。米国ではサンクスギビングが開けてクリスマスまでのオフのシーズン。ニュースでは米国の年末商戦が好調なスタートを切ったと報じられている。サブプライム問題の影響でリセッションが予想されながら、それとは逆の「旺盛な個人消費」の動きが未だに続いている。その理由はわからないが、米国の消費者が財布の紐を締めれば、おそらくクレジットカード債権の信用収縮が本格化することになる。信用を拡大するためには消費をさせて、債権全体のエクスパンションを不断に続けないといけないのだ。クレジットカードを使わせて、商品を買わせるしかない。さて、本題に入って、今年の漢字は何になるだろう。
私が予想する第一の候補は「油」。無論、これには二つの意味がある。一つは原油高の世相であり、もう一つはインド洋の給油問題の政治である。参院選が終わって、夏以降の日本の政治の現場では、インド洋での自衛隊の補給支援活動をめぐる問題、いわゆるテロ特措法の継続の是非が与野党間の最大の争点になった。それは現在も続いて、解散総選挙含みの政局を揺れ動かしている。もう一つの原油高の方は、これは今後さらに大きな影響を日本経済に及ぼして、来年の国民生活を深刻で暗鬱なものにするに違いない。生活品の物価の値上がりは庶民の暮らしを直撃する。原油を輸入に頼っている日本は世界で最も大きな打撃を受ける。新自由主義経済の進行の中で、所得を減らされ、負担を増やされてきた日本国民が、それでも何とか生活を切り詰める工夫をして来られたのは、商品の価格が下がっていたからである。物価が安くなっていたせいだ。
予想の第二は「姫」である。姫井由美子と亀井亜紀子。二人はこの夏の参院選の顔であり、与野党逆転の政治劇の主役だった。あの不倫騒動の問題がなければ、堂々の予想第二位で文句なしの候補のはずなのだが、あれのせいで「姫」を上位に置いていいものかどうか躊躇もある。が、あまり他にこれという漢字一字の候補が浮かばず、話題の大きさを考えて第二位に挙げてみた。週刊文春の記事の内容はあまりに露骨で赤裸々で、読んだときは愕然としたが、結果的に思ったほど大きな波紋になって広がらず、多少の関係のある身としては少し安堵した気分でいる。優秀な人であり、自分に大きな自信があって、それだけに何事にも燃えるような情熱家なのだろう。見方はいろいろだろうが、これからの活躍で名誉挽回して欲しい。何よりも
江田五月に同情する。江田五月に申し訳ないと思って、不惜身命と粉骨砕身を誓って欲しい。潰されなくてよかったね。
山本モナも。
予想の第三は「捩」である。捩(ねじ)れ。一般に一文字で使われないこの漢字が、「今年の漢字」に選ばれる可能性は低いけれど、今年の世相や事件を象徴する一字は何かと思いをめぐらすと、この漢字が三番目に浮かんで来る。衆参の捩れ問題。だが、稿を別にして政治記事として論ずるべきだろうが、最近のマスコミの報道、特にテレビ朝日の言い方は酷い。
古館伊知郎は「国会は立法府として機能不全の状態に陥ってます」と毎晩のように言っている。加藤千洋は何故その暴言を制止しないのか。国会は「めくら判」を押す機関ではない。政府が持ってきた法案が国民生活にとって不具合のあるものなら、それに修正を求めるのは立法府として当然の責務ではないか。古館伊知郎の議論では、政府の法案に黙ってめくら判を押すのが国会なのである。めくら判を押さないから機能不全とは何事か。「報道ステーション」こそ報道機関として機能不全ではないか。古館伊知郎は報道者として失格だ。
予想の第四は「辞」である。安倍晋三の辞任騒動、そして小沢一郎の辞任騒動と辞任撤回騒動。どちらも醜悪で不愉快な出来事だった。日本政治の恥であり、日本国民の一人として穴があったら入りたい気分になる。どちらも二世のボンボン。苦労知らずの貴族と殿様。無能で、人格未熟な、虚飾と傲慢だけが取り得のような人間が権力の頂点で威張っている。最近、つくづく思うことだが、二世に権力を持たせてはいけない。それはやめた方がいい。社会にとって悪影響が多い。やめた方がいいと思うのに、日本では逆に世襲化の方が日を追って進んでいる。政治家だけではない。官僚も、経営者も、新聞記者も、学者も、芸能人も、富と地位と権力を持つところに世襲貴族制が蔓延っている。世襲化は明らかに社会の退嬰化をもたらす。日本の世襲制の進行は、何を画期に転換するのだろう。1945年のような悲惨な経験(フリーターの赤木智弘が言う「社会の階層変動」)をもう一度しないといけないのだろうか。
予想の第五は「龍」である。53年ぶりの日本一に輝いた落合博満の中日ドラゴンズとお騒がせの朝青龍。今年のスポーツ界を象徴する一字としての「龍」。これは可能性があるだろう。4年前に阪神タイガースがセ連盟で優勝したときは「虎」が選ばれた。阪神優勝に較べると、中日の優勝はニュースのバリューが小さかったが、それでも53年ぶりの日本一は大きい。好調な名古屋経済を祝し寿ぎ、その昇竜の慶福にあやかる意味で、「龍」の一字を今年の漢字に選ぶのは悪くないだろう。もう一つの「龍」の朝青龍だが、こちらの方は問題が多かった。われわれのように大鵬柏戸の頃から相撲を見てきた人間には、最近の相撲界は全く理解不能で論評のしようもない。これが今の日本なのだ。国技相撲の現状がボロボロの日本を象徴している。生意気な不良外国人に神聖な国技をバカにされて、それでもヘラヘラと媚び諂って、侮辱されても、足蹴にされても、拝み倒して横綱様を続けてもらっている。恥ずかしくないのか。国技をこれほど辱められて悔しいと思わないのか。
予想の第六は「月」。これは月探査衛星「かぐや」の活躍からの一字。「かぐや」の撮った「地球の出」「地球の入」のハイビジョン映像もよかったけれど、そのニュースを報道したNHKの伊東敏恵の表情がとても印象的だった。嬉しさを顔いっぱいに湛えて、国民的な慶事ですよと視聴者に伝えていた。NHKらしくていい。公共放送はこうじゃないといけない。伊東敏恵はNHKらしいNHKのキャスターだ。やすらぎを覚える。安心を感じる。かぐや姫は伊東敏恵みたいな顔だったのかなと思えてきた。
月探査衛星と言えば、あのブログアイドル界の巨星、わが土星探査衛星はどこに行ったのだ?
土星探査衛星、応答せよ。
【ブログ政界面】
気配から察すると、たぶん今週、守屋武昌の逮捕と防衛省と山田洋行への強制捜査がある。問題は政治家だが、これまでは、額賀福志郎と久間章生への捜査は年明けになるという見方が強かった。先週末の7時のニュースはずっと守屋武昌の話をやっていた。これはシグナルのはずだが、同じような話を延々と聞かされ、ずいぶん長引いた感じがする。検察は何をしているのだろう。
昔は、例えばロッキード事件のときは、いきなり田中角栄から先に逮捕されて、検察の頂上作戦などと呼ばれていた。今回、頂上作戦が再現されるとすれば、いきなり小泉純一郎が逮捕ということになる。それは週刊誌にも名前は出ているが、記事の書き方としては、まさかそれはないだろうという筆致になっていて、行くところまで行っても飯島勲で止まるだろうという観測記事になっている。
別の情報では、民主党の議員にも捜査の手が伸びるという噂があり、前原誠司と長島昭久の二人の名前が上がっている。民主党の安全保障政策を纏めている防衛族幹部で、自民党の連中以上に憲法改正と集団的自衛権に熱心なタカ派。山田洋行が彼らを自民党議員などと一緒に5月の連休に米国の軍需企業への視察に案内し、豪華な接待旅行をさせていたという。真偽はどうなのだろう。