ようやく守屋武昌の
逮捕。朝刊記事(11/28)だけを読み較べると、朝日の取材が他を抜きん出ている。朝日の
記事では、見出しに「政界ルート視野に捜査」の表記が入っていて、記事の中にも特捜部が防衛族議員の捜査に着手する見通しになったことが書かれている。他の新聞には政治家への言及はない。担当記者の博打の部分もあるだろうが、検事からのリーク取材で朝日の記者だけが「裏」を取ったということだろう。1面の見出しで他紙にない「政界ルート」の表記を入れる判断はデスクがする。デスクは記者に「裏は取ったのか」と確認をしたはずで、記者はデスクに検事からの取材内容を詳細に報告しているはずだ。「よしそれなら」と判断して見出しを打った。逆から見たとき、これは検察が朝日だけに「政治家への捜査」を漏らして書かせたという意味で、要するに国民一般への情報内示である。政治家を逮捕すると言っている。
防衛省疑獄では、週刊誌報道を中心にこれまで多くの政治家の名前があがってきた。最も早くに名前が出て、山田洋行との真っ黒な関係で取材陣に追いかけ回されたのは、額賀福志郎と久間章生の二人で、ゴルフにも同行しているし宴会にも同席している。その次に名前が出てきたのが、沖縄利権ルートでの小池百合子と山崎拓で、山岡俊介の『ストレイドッグ』では早い時期から疑惑が暴露されていた。久間章生は沖縄利権の方にもどっぷり漬かっていることが記事を読むとわかる。辺野古基地の滑走路建設の利権をめぐって小池百合子と守屋武昌が激しく対立し、久間章生が守屋武昌を裏切って小池百合子の側についた因縁が、今回の国会証人喚問で守屋武昌が久間章生の名前を吐いた理由だと言われている。週刊誌での沖縄利権を告発した報道は11月の初めまでで一巡し、その後に起きた小沢一郎の大連立ショックのために背後に霞んでしまった。
小沢騒動の混乱の後、報道の関心は「ねじれ国会」の問題となり、防衛省疑獄に対するマスコミの追及は額賀福志郎に対してのみ集中、特捜の捜査もすっかり停滞して時間を無駄遣いしている印象があった。が、その一方で、週刊誌の方は、日米平和・文化交流協会役員で利権フィクサーの秋山直紀に関する記事を書き、防衛利権が経世会が独占する金城湯池であった事情も紹介され、その関連で田村英昭の名前が出て、小沢一郎と東祥三が宮崎元伸から献金を受けていた事実も発覚した。秋山直紀こそ、まさに今回の疑獄事件の中心に位置する黒幕的存在で、ロッキード事件の児玉誉士夫を彷彿させる。民主党は例の濱田屋でのジム・アワーの宴会に同席した関係者として秋山直紀の参考人招致を求めているが、これはぜひ実現させてもらいたい。秋山直紀についてはネットの中に情報がない。秋山直紀の日米平和・文化協会、その傘下の安全保障研究所、そして安全保障議員協議会。
さらに日米安全保障戦略会議。これらこそが防衛利権の伏魔殿であり、膨大な国民の税金が伏魔殿に吸い込まれて、米資と商社と官僚と政治家の欲望の餌食となっていた。前原誠司はこの安全保障議員協議会の常任理事の地位にある。昨日の報道ステーションでは、これから秋山直紀が表に引っ張り出されて追及を受けるだろうという観測のコメントが出されていた。防衛疑獄の報道では週刊誌が頑張っていて、特に週刊ポストがよく全貌を掴んでいるように見える。山岡俊介か、あるいは週刊ポストの記者が報道ステーションのスタジオに毎晩張り付いてくれるといい。テレビ朝日はこの十年ほど報道機関としての取材力を完全に喪失して、全てのニュース番組がワイドショーのくっちゃべりの時間になった。自分の頭で考えて事件を取材する記者がいない。民放の報道番組がジャーナリズムではなく芸能界の世界になっている。加藤千洋でさえも、防衛疑獄については週刊ポストの半分の情報も持ってないのではないか。
捜査はこれからどう進むのだろう。朝日が書いた「政界ルート」の捜査対象の国会議員とは誰のことだろう。額賀福志郎と久間章生は確定として、捜査の照準の中心に秋山直紀が据定されれば、安全保障議員協議会の疑惑に手が伸び、そこでヘリテージ財団のために精力的に活動している前原誠司も射程に入る可能性がある。沖縄利権、グァム利権の方に向かえば、
小池百合子、
山崎拓、飯島勲などへと捜査の手が伸びて行く。防衛利権は全体像が巨大で、疑惑の構図は小宇宙の渦を作りながら果てしなくどこまでも広がってゆく。守屋武昌はその疑獄宇宙の入り口に立つ人物で、山田洋行は巨大な宇宙の一部に過ぎない。沖縄利権は山田洋行とは別ルートの小宇宙となる。広がりは米国に及び、これも週刊誌で名前が出たが、あのアーミテージ(元国務副長官)が米国内で追及を受けるのではないかという観測がある。米議会の公聴会に召喚されたら嘘はつけない。誰からいくらカネをもらったか、カネをもらって日本で何をしたのか、洗いざらい真実を証言せざるを得なくなる。
もしアーミテージへの聴聞会が実現できれば、インド洋給油活動は言わずもがな、自衛隊のイラクからの全面撤退へと繋がるだろう。
【C M】
東京に木枯らしが吹いて...気がつけば..いつの間にか...
Google検索ランキングで、守屋武昌が第9位、秋山直紀が第1位、宮崎元伸が第2位。
岡崎栄は瞬時に第4位を獲得。
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