【To NY金魚さん】
グローバル化の波の中で日本人も少しずつ英語が上達してきました。韓国人はあの通貨危機の後で一気にレベルを上げました。ソウルへ行くと分かります。少し前から、タイも急速に国民の英語レベルを上げて、タイ語社会から英語社会に変わってきました。中国もエリートはみんな英語ができるようになりつつあります。アジアの非英語圏は北朝鮮だけです。それも、あと一年か二年でしょう。自分が日本人の英語力の平均レベルと同じ程度なのか、それともずっと下なのか、気になるところですが、世間と世界の流れに負けず、落後せず、諦めず、少しでも前向きに食らいついて行きたいと思っています。
昨夜、日本時間の1月6日夜ですが、NHKの衛星放送で、米国大統領選のニューハンプシャー州予備選挙前の討論会が、共和党と民主党に分かれて各1時間ずつ放送されていました。米国ABCの特集番組をトランスレーションして解説を加えたものです。ご覧になりましたか。世界は一つ。関心も同じという感じですね。アイオワ州の民主党集会でのオバマの勝利は、日本でも大きな注目を集めて、民放を含めた全ての報道番組で取り上げられています。太平洋のこちら側からも、オバマ旋風の行方を固唾をのんで見守る状況になりました。米国政治の急速な変化に、誰もが驚いているというのが率直なところです。
四年前にブッシュを支持した米国民が、最もラディカルな政策を掲げた若いオバマを、しかも民主党の支持者だけでなく、一部の共和党支持者をも含んだ無党派層を動かして、社会現象のようにブームを起こしているというのは、快挙であると同時に意外な出来事で、新自由主義に支配された<帝国>の属州臣民としては、感動と興奮を持って熱い眼差しを送らざるを得ません。そして何より心を踊らされたのは、オバマの演説の素晴らしさでした。ああいうアウトスタンディングな演説に聴衆として立ち会えることは幸せなことです。オバマの演説もいいけれど、それ以上に、オーディエンスのリアクションが最高にいいのですね。
昨夜のTV討論会を眺めて、見たところ、共和党候補者の側には大型の人材がいない様子なので安心しました。クリントンとオバマの一騎打ちこそ望むところです。私は基本的にどちらでもいい。昨夜の討論会では、日本側の解説でも言っていましたが、オバマが疲れているように見え、また、彼はディベートは得意ではないということで、演説会で見せるような超人的な迫力はありませんでした。が、クリントンの方が、噂どおり実績と経験を必死で強調する手法に徹していて、あれは見ている方にとって印象がよくないのではないかという懸念を抱いた次第です。有権者の聴衆は斬新な変革を求めているのだから、それを巧く演出、提示しないと。
彼女は、もともと人権派弁護士で、弱者の権利を守る民主主義の闘士であったはずで、オバマと同じ類型の人間だったはずですが、テレビの印象では、マチュアな政策専門家のイメージばかり先行して、民主党の大御所の貫禄を漂わせていました。そうではなく、戦略として、もっと初心に戻って、戦う挑戦者に回帰するべきなのです。受けて立つ王者として自己演出するのではなく、王者に挑む挑戦者の姿を明確にするべきです。彼女が優秀なことは誰でも知っている。政策通だということを分からない人間はいない。だから、アイオワで敗北した逆境をバネにするには、過去の実績や名誉や栄光を捨てて、チャンレンジャーとしての自己を演出した方がいいのです。
苦境から裸一貫で再起をめざすロッキー(シルベスター・スタローンの映画の)のようなイメージを作った方がいいのです。 そこに逆転勝利のチャンスがあるのです。 Best Regards,