自民党内の改革路線転換の動き - 中川昭一の財政出動解禁論
b0087409_1272330.jpg 昨日(1/17)、阪神大震災の日に自民党大会があり、NHKのニュースではこの二つが報道されていた。国会の日程の都合上、この日に党大会を設定せざるを得なかったのだろうが、国民感情としては率直に自民党に対して不信感を隠せない。追悼の日に党大会の開催は相応しくないだろう。無神経な印象を受ける。その日に安住淳の「ガソリン値下げ隊」を大阪に派遣して街頭宣伝のパフォーマンスに興じた民主党に対しても無神経だと思うし、官房長官会見の席で町村信孝に暫定税率維持のパネル講義を演じさせた政府自民党のやり方も問題だと思う。この日は暫定税率問題を喋々するべき日ではなかった。この話題でテレビのニュースの画面を埋めさせる日ではなかった。13年前を思い出し、震災の犠牲者に静かに祈りを捧げる日だった。二大政党の党利党略が透けて見え、国民感情無視の政府と政党の姿勢に不愉快を感じる。



b0087409_1273397.jpg無神経と言えば、自民党以上に無神経なのが小沢一郎の先日の新テロ特措法採決における投票ボイコット行動で、言語道断の無責任行為であり、国民をバカにした卑劣で傲慢な態度に呆れて何も言えない。絶句して、怒りの感情が逆流して内臓を突き破りそうになる。本当に、安倍晋三とか小沢一郎に対しては、書いて表現する言葉が見つからないのだ。ブログの記事にできないのである。並べる言葉がなく、形容できず、文章にならない。書くと不恰好で低水準な文章になる。だから記事として取り上げない。幼稚園児に向かって保育士が毎日繰り返し言うようなプリミティブな言葉しか並べられないから。ブログの言論は出来の悪い幼稚園児を嗜める目的や機能のものではないから。神聖な国政の場にあの二人が存在していること自体が異常だ。国民はなぜ、出来の悪いワガママな二世園児を政治の指導者として仰がなければならないのだろう。

b0087409_1274157.jpgネットの中には未だに「マスコミの小沢叩きは異常だ」と言っている小沢信者がいる。批判しない方が異常ではないのか。非常識ではないのか。新テロ特措法案を臨時国会最大の争点にして与野党対決を煽った張本人は誰なのだ。小沢一郎を庇護する言動こそ国民を軽視した倒錯した反応ではないのか。小沢一郎の行動の説明は幼児の心理分析をもってしかできない。今度の採決棄権の暴挙は「仕返し」なのだ。世間と党内に対する挑発なのだ。大連立騒動で批判されて恥をかかされたことに対するバカ殿の意趣返しなのである。復讐した気分でいるのだ。どれほど暴慢で未熟で非常識な行動をしても、自分を引き降ろす勢力はなく、格差に苦しむ弱者の国民どもは民主党に一票入れざるを得ず、誰も正面から咎めだてする人間はいない。その政治的事実を証明しようとしたのであり、それに成功して嬉しくてたまらないのだ。バカ殿をやめられないのである。

b0087409_12144776.jpg所属政党の現在の政策内容を別にして、単純に二人の政治家を比較した場合、私は福田康夫の方に小沢一郎よりも高い評価を与える。少なくとも、見ていて気分が悪くならない。憤懣を感じる度合いが小さい。大人として正常に近い感性を持っている。NHKの7時のニュースでは阪神大震災がトップの報道だったが、テレビ朝日の報道ステーションでは殆ど震災関連の話題はなかった。そのかわり、党大会の関連で党内情勢の動きを面白可笑しく演出報道していた。その基調は、衆院選を睨んで自民党内で福田降ろしの動きが始まっているという筋書きに沿ったものである。テレビ朝日と朝日新聞の主張は、改革を退行させている福田政権を批判して、民主党に政権を取らせて再び改革のアクセルを踏ませようというもので、昨夜もわざわざ竹中平蔵のインタビュー映像を入れて、「改革に逆行して経済を悪くさせている福田政権の支持が低下するのは当然」と言わせていた。

b0087409_12145656.jpgこれが朝日の主張である。ところが、面白いことに、福田政権に対する政策軌道修正要求は、右側の新自由主義の改革派からだけではなく、言わば左側の、改革是正を求める国民生活重視派の側からも具体的な声が上がっていた。映像では、最近、将来の総裁選を睨んで派閥横断の勉強会を立ち上げた中川昭一が、「財政出動を考えるべきだ」と堂々と言葉を発していた。遂にここまで来たかという感じがする。これはアドバルーン的な、状況偵察的な発言だが、政府与党の政策立案に際してインパクトは決して小さくない。「財政出動」の声が与党の大物から出るのは何年ぶりだろう。この中川昭一の動きは、必ず平沼赳夫グループと国民新党の亀井静香に呼応と共鳴の動きを誘うはずだ。それが中川昭一の狙いでもある。そして、同じニュースの続きで、今度は大田弘子の経済財政諮問会議の映像が出て、2011年度のプライマリーバランス実現の政府目標達成が不可能になった現状が報道されていた。

b0087409_12161820.jpg成長率が当初見通しより落ちて、税収が減るために、2011年度の財政均衡が達成できない。この財政再建目標については、議論の当初から、経済予測が甘く、数字の設定に無理があることが指摘されていた。強引に決めたのは竹中平蔵で、真の目的は財政均衡ではなくて社会保障削減である。社会保障制度の破壊消滅である。新自由主義の理想社会を実現するべく、日本の地上から国民医療保険制度と年金制度と生活保護制度と障害者福祉制度を一掃することが目的だった。消費税率を25%に引き上げるための財政均衡目標だった。昨日の報道の意味も決して小さくない。衆院選を前にして、自公も生活重視の政策姿勢を訴求しなければならず、簡単に改革継続(=社会保障削減)を言うことができず、そのための予算措置の担保準備として、竹中平蔵が決めた財政再建目標(骨太)を外しつつあるのである。そうしなければ、社会保障削減行政(高齢者医療費負担や療養病床全廃)のアクセルを緩めることができない。

b0087409_12164553.jpg自民党の中で格差是正へ向けて路線を修正する動きが芽生えている。古賀派と谷垣派が合流した中宏池会も、その流れに棹さす方向に動くだろう。改革の継続では地方がやっていけない。票が取れない。ブログは、福田首相が党大会で打ち出した格差是正策や地方重視策の方向を積極的な視線で見守りたい。民主党との「生活政策競争」の政治を歓迎する。サミットの前後が今年度の骨太策定の時期になる。選挙前の骨太で構造改革からの決別を明確に宣言して欲しいと思う。ブログの読者である自民党県連の方々は、ぜひその方向で党本部を突き上げていただきたい。ところが、せっかく自民党の中に格差是正の動きが芽生えつつあるというのに、朝日新聞は今日の経済面でも福田政権の経済政策に対して批判記事を書き、格差是正の流れを妨害する世論を強化しようと躍起になっている。昨夜の報道ステーションでも、英国で商売している証券会社のディーラーの声を出し、日本政府の成長戦略が見えないなどと言わせていた。

b0087409_1217431.jpg成長戦略、この言葉も、昔の「改革」と同じく、これから意味と内実をめぐって議論され、同じ言葉を使って論争する二者が全く別の意味と立場でその言葉を使うようになる象徴言語となるだろう。今は成長戦略は改革の路線上にあり、竹中平蔵や麻生太郎が言うところの中身が、その意味の正当性を独占している。成長戦略の中身は改革政策だ。しかし、それとは全く異なる中身を持っているはずの、例えば週刊東洋経済の立論がめざすところの福祉国家の成長戦略もある。その表象を代表していると思われるのが、カーボンチャンスなどの寺島実郎の成長戦略の言説である。その中身の詳細は別に検討するとして、特徴として、その成長戦略のキーワードは「環境」であり、そして向いている方向は「欧州」である。欧州モデルの成長。現在、マスコミで毎日のように話題になっている「国民一人当たりのGDP」、日本が14年前の第2位から第18位にまで落ちたということで騒然となったが、このランキングで上位は悉く欧州の国々が占めている。

b0087409_1221338.jpgそれからまた、同じ昨夜の報道ステーションだったが、フランスが婚外子に対して差別なく手厚い福祉政策(家族手当・保育サービス・労働時間・所得税制)を取ったために、見事に出生率を上げることに成功した政策事例が紹介されていた。日本もこの制度を導入すればいい。環境、福祉、小子化対策で欧州をモデルとして見習いながら新しい経済成長の具体構想を設計すればいい。金融や輸出だけが経済成長の要素ではない。それも重要だが、他に目を向けるべき新しい分野があり、開拓し開発すべき政策の領域がある。従来はコストだと思っていたものがプロフィットの要素に変わっている。利益と成長を産む国富の条件に変わっている。経済のパラダイムそのものが変わりつつある。格差を是正し解消しながら、同時に成長を達成し生活を豊かにすることができる。成長戦略は改革論者の独占するところではなく、福祉国家の側にもそれは用意できるのであり、福祉国家の成長戦略の具体構想で国民を説得して、それを実現する政権を作らなければならない。

その構想と政策を提出し、その構想を担う多数派を形成すること。これからの国会審議の中で、国民の中でそうした認識と世論が深まることを期待したい。
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【山本一太のブログの気になる記事】

山本一太のブログの昨日(1/17)の記事に、少し気になる件(くだり)があった。曰く、
河野太郎氏から東京の政策秘書に電話があった。 多分、本人の携帯に繋がらなかったので、秘書に伝言したようだ。 その内容を聞いて改めて思った。 「直滑降」に書いた情報は、あっという間に(マスコミを通じて?)広がる。 我ながら「侮れない視聴率」だ。(苦笑) 先ほど、太郎氏の携帯を鳴らしたが、通じなかった。 東京に着いたらもう一度、電話を入れてみよう。
とある。さて、河野太郎は何を見て、何を山本一太に告げたのだろう。

ブログには、shugiin.go.jp のサーバから、毎日10名から20名のお客様がお見えになられている。これは衆議院関係のサーバではないかと思われるが、誰からのアクセスかは具体的には分からない。山本一太は、最近では、敵ながら天晴れと感じる部分が少なくない。驚くのは一日の活動速度の速さと活動範囲の広さで、ほぼ毎日のように地元の高崎に帰り、東京との間を新幹線で往復している。

テレビ局に貼り付いて、芸能人と遊び呆けているように見えたが、『直滑降』を読むとそうでもなかった。ついこの間、参院選で当選したばかりだというのに、毎日のように地元の群馬に帰って会合に出席している。この動き方はなかなか立派なものだ。野心があり、上を狙っているのだろう。改革新党で衆議院の選挙区から立候補する準備かも知れない。ブログの記事に感想を書いてくれればありがたい。

もし、河野太郎が見たものがブログであれば、山本一太の今後の記事では、「プロジェクト日本復活」に関する情報公開は控えられるようになるだろうし、会議の出席者数などは非公開になるだろう。山本一太は、あの記事を同志(プロジェクトメンバー)に見せるつもりで書いたのだろうが、山本一太も反省しているとおり、読んでいるのは新自由主義者の味方だけではない。新自由主義の敵も読んでいるのだ。
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by thessalonike4 | 2008-01-18 23:30 | 福田政権・2008年総選挙
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