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by thessalonike4
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岩国市長選における政党と地方自治 - 民主党の問題を中心に
b0087409_1156255.jpgデマと中傷は本当に政治に効く。今の時代の日本の政治は、デマと中傷とシングルフレーズが主役となって乱舞狂躁する現実がある。その点で、民主主義の正論を訴えながら惜敗を喫した岩国の市民の側に同情を覚える。「こいつは隠れ小泉だ」、「安倍事務所と裏で繋がった工作員だ」、「証拠を押さえている」、「言論人失格だからネットから追放しろ」、「安倍は許せてもこの男だけは許せない」。デマと中傷は、それがデマや中傷だと分かっていても、聞く者の政治的な気分に化学変化を惹き起こす十分な作用を及ぼす。「岩国は夕張と同じになる」、「井原市長は共産党員だ」、「夫婦はもうすぐ離婚らしい」。効果がある。積極的支持が消極的支持へ、消極的支持から中立へ、中立から消極的不支持へ、消極的不支持から積極的不支持へ。政治における微妙な意識の変化を促す触媒としてデマと中傷ほど効果的なものはない。



b0087409_1202584.jpg前回の記事のエバンジェリストの提案のところに追加があって、1/26(土)に筑紫哲也を呼んだ後、告示日前日の2/2(土)に田中康夫と田中真紀子の二人を投入する。ただし、この二人については、確実に勝てる選挙に持ち込んだ場合の「だめ押し」でなくてはいけないし、そうでないと来てくれないだろう。1/26(土)の筑紫哲也投入で形勢を挽回し、逆転あるいは拮抗の状態にまで持って行って、そこで「だめ押し」のカードとして田中康夫と田中真紀子の揃い踏みを実現する。これが実現すれば勝利は確実になった。この二人は選挙における反自公政権のシンボルであり、民主党側の「無役の大物」であり、無党派保守層の大量票を動員できるパワーを持っている。カリスマ的存在である。岩国市長選は、基本的に自公勢力と反自公勢力の戦いの構図があり、そこを巧く操縦すれば、全国の反自公勢力を結集して勝つことができた。

b0087409_11565422.jpgもっと言えば、国民新党の亀井静香と亀井亜紀子を岩国に呼ぶという究極の勝利の方程式のところまで持って行ければよかった。左の辺見庸から右の亀井静香まで戦線に結集して、自公候補を包囲できれば、この戦いを確実に勝利することができた。無論、こういう展開へ持ち込むためには民主党を動かさないといけない。この選挙の問題点(敗因)は、誰もがそう思っていると思うが、一にも二にも民主党の曖昧な態度にある。民主党の対応は不明確で理解しにくいものだった。全国注目の選挙で、自公側が総力を上げて攻勢をかけてきたのだから、これを首尾よく迎撃すれば、自公政権はさらに不安定になり、内閣支持率は下がり、福田首相の求心力は落ち、退陣あるいは解散総選挙への世論が盛り上がるのは必定だった。民主党はこの選挙で自公候補を倒すことになぜ注力しなかったのか。そこに舵を切って、井原勝介を全面支援する態勢をとらなかったのか。

b0087409_1157787.jpgその点がよくわからない。市長選挙の後には衆院山口2区の補選がある。山口自民党側は市長選と補選に2連勝する構えで布陣した。自民党にとって邪魔な井原勝介を排除し、さらに補選で民主党の大物の平岡秀夫をも落選させる。きわめて大胆で豪快な戦略だが、さすがに自民党王国の山口県は他県と違って自信に満ち満ちている。迎え撃つ民主党は、当然ながら、岩国市長選を落とせば4月の補選も危ないという危機感を持ったはずで、2連敗を防ぐためには2連勝しかないという情勢認識を持ったはずである。ところが、蓋を開けてみれば、市長選で動いたのは民主党の一部の県議と市議だけで、党本部は応援せず、県本部までが消極的な個人任せに終始していた。これは一体どういうことなのか。普通に考えれば不可解な動きである。平岡秀夫は、2/2(土)の集会にも出席しているし、森田実に促されて壇上で挨拶もしたらしいし、選挙戦中は市内に立って井原候補の応援演説もしている。

b0087409_11572242.jpgだが、その応援は、どうやら個人のものであり、党の公式なものではないのである。この民主党の腰の引けようが、敏感な岩国市民の選挙意識に少なからず影響して、支持の流れが井原勝介の方に回らず、「夕張没落宣伝」を訴える自公候補の辛勝へと結果を導いたと言うことができる。平岡秀夫の立場になって考えたとき、岩国市長選を取ることは決定的に重要で、4/27の補選を有利に戦うためにも緒戦の一勝は必須の条件だったはずである。岩国市長選で勝つか負けるかで補選のモメンタムに大きな差が出る。補選の小選挙区での勝利を確実にするためにも、民主党が党を挙げて岩国市長選を戦い、勝利して弾みをつけるべきだった。平岡秀夫が党本部に井原勝介の選挙応援を要請しなかったのか、要請したが党本部が(イデオロギー的理由で)応じなかったのか、その点に注目する必要があるだろう。そしてもう一つ、注目する必要があるのは、井原勝介と平岡秀夫との間でどういう話がなされたかである。

b0087409_11573659.jpg私が井原勝介であれば、情勢の思わぬ苦戦が判明した1/10頃の時点で、上京して小沢一郎に面会を求め、土下座したかどうかは分からないが、岩国市長選での民主党の公式支援を要請しただろう。小沢一郎、鳩山由紀夫、菅直人の三人の幹部に頭を下げて、「お願いですから岩国を助けて下さい」と泣いて頼んだだろう。「ここで自公候補を倒すことが民主党にとって絶対に必要です」と訴えただろう。テレビはその姿を撮影してニュースにしただろうし、仮に民主党の支援を得ることができなかったとしても、問題が放送されることで、少なからず世論に影響を与えることができたのではないか。この問題に関連して、ネットの中では、艦載機受入容認派の自公候補が勝ったことで、憲法で規定された地方自治の理念が踏みにじられ、地方自治体が国の政策に何も反対できない状態になり、国の方針に反対の声を上げた自治体は兵糧攻めで潰されるという声が上がっている。この意見は確かに正しい。地方自治を問う選挙だったから。

b0087409_1205182.jpgだが、少し考えれば、この悲観論に対しては別の角度からの見方を与えることもできる。それは何かと言えば、政権与党に反対して「国民生活が第一」と言っている野党が参院で多数を占めているという現実である。一度交付を認めた地方への補助金を、このような恣意的な理由で中止する行政判断が許されるのか。許されるとする根拠は何なのか。そのことを民主党が国会の予算委員会で追及すれば、問題は速やかに解決の方向へと向かったのではないか。どれほど防衛省が米軍再編特別措置法を振りかざしても、法の適用や行政の運用には(憲法のみならず)常識の限度というものがある。岩国市への35億円の補助金交付停止措置の問題は、私の知る限りでは、昨年の臨時国会でも今年の通常国会でも委員会で取り上げられて審議されていない。聞くところによれば、35億円の補助金拠出の撤回を井原市長に通告した防衛施設庁の決定というのは、あの逮捕された「米軍再編男」の守屋武昌が指示したものだと言うではないか。

b0087409_1158169.jpg例えば、守屋武昌が逮捕されて世論が沸騰した直後に、民主党が国会で岩国への補助金交付の問題を取り上げれば、防衛相と総務相は顔を見合わせて答弁に逡巡したことだろう。民主党は「政府による憲法の地方自治規定違反」を攻撃の根拠とし、マスコミは守屋武昌に不当ないじめを受けた井原市長の側についたはずだ。岩国市にとってベストな政治的展開としてそういう図が想定できる。要するに、私が言いたいのは、二大政党の野党である民主党の役割がいかに大きいかということであり、野党が野党として国会で正しく民意を訴えて、国民からの支持をさらに調達すべく、憲法を武器にして戦えば、およそ今度の岩国のような非常識で恣意的な行政決定はあり得ないし、世論の反対の前に政府は決定を撤回せざるを得ないだろうということである。これが民主でなく共産や社民の国会質問なら、マスコミが支援に回らず政府にも無視される。すなわち、首長も国民も、権利保全のためには民主党を大いに利用しなければならない。

井原勝介は艦載機移転についても現実的で柔軟な姿勢で国と協議しようとしていたのであり、守屋武昌が防衛省から消えたことは、その協議が前進する可能性も少なからずあったと思われる。市長選という決戦になり、それに敗北という最悪の結果が出たことは残念でならない。選挙をやるのなら絶対に勝たないといけない。そうでない解決策を模索するのなら、民主党をブリッジにして防衛省に歩み寄らせる方法があった。
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【岩国市長選】

ネットに散在する幾つかの情報を見ると、今回の市長選での自民党による物量作戦とデマ攻撃の凄まじさがそれとなく伝わってくる。期日前投票の動員戦の異様な雰囲気もよくわかる。デマの撒き散らしは今の日本の政治では確かに効果がある。しかし、デマと中傷とその幇助しか能がないブログ左翼が、岩国での自民党のデマ攻撃を非難したり、沖縄の被害少女への誹謗中傷を紳士然と批判する図というのはどうだろう。

二年前からのブログ左翼の言い分では、ネットでの誹謗中傷は、誹謗中傷される方に問題があったのではなかったのか。被害に遭う方の自己責任だったはずだ。デマと中傷を受ける井原市長の側に原因があるのではなかったのか。強姦も誹謗中傷も法律では同じ犯罪だが、ブログ左翼の常識では、ネットの中は治外法権であるらしい。ブログ左翼のデマ攻撃が正当化されるなら、岩国の自民党も非難を受ける理由はあるまい。

政治が続く。延々と途切れることなく続く。そして不思議な因縁と言うか、どうして世界はこれほど狭いのだろうかということを痛感させられて溜息が出る。
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by thessalonike4 | 2008-02-12 23:30 | 岩国市長選挙
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