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イージス艦「あたご」艦長の舩渡健は公の場で謝罪と釈明をせよ
b0087409_11134927.jpg事故から4日経ち、最初の記事を上げてから3日が経ったが、イージス艦が本当に事故直後に人命救助に動いたのかどうか、マスコミの報道を見たかぎりでは確信を持てず、むしろ疑念ばかりが大きく残る。事故当日の夜のNHKのニュースと翌20日の朝日新聞には「あたご」の人命救助の初期行動については全く触れられておらず、そのことが報道に接した者としては不審な点であり、敢えて問題を提起する意味で記事を上げたが、これまで確認したところでは、毎日新聞の19日の記事に少し触れられているだけである。この記事は自衛隊の発表をそのまま書き写しただけだろう。防衛省は捜索活動を行ったと公式に言っている。だが、この公式発表はそれを証明する第三者の目撃情報もなく、そして情報を二転三転させる海上自衛隊のこれまでの習性から考えて、事実かどうか簡単に信用することはできない。仮に事故の後に内火艇を出したとしても、それがどの時点だったのかという問題がある。



b0087409_11135920.jpg20日夜の「報道ステーション」の放送の冒頭、行方不明者の親族の映像が出て、「海に落ちたら5分10分が勝負なんだよ、それを30分だの40分だの、あんな奴らに船に乗る資格なんてない」と怒って吐き捨てる場面があった。事故について最大の関心を持ち、少なくとも我々一般よりも多くの情報を持っている親族の口から、事故一日後の時点でこのような言葉が出て来ることを考えても、イージス艦が即座に人命救助の初期行動に動いたとは想定できないのである。20日の朝日新聞には、2面に 『イージス艦と漁船 衝突の経過』 と題した表があり、それを見ると、①『4時07分 野島崎の南南西約40キロの太平洋で、イージス護衛艦「あたご」と清徳丸が衝突。清徳丸の吉清治夫さんと長男哲大さんが行方不明に』の次に、②『4時23分 あたごが第3管区海上保安部に連絡。「本船と漁船清徳丸が衝突。該船は二つに折れ、浮いている。人員は見当たらない」』とある。内火艇を海に出したという事実の報道はない。

b0087409_1114873.jpgその次が、③『5時05分 海保のヘリが羽田航空基地を出発』、さらに、④『5時20分 海保の巡視船が出動』、⑤『5時38分 石破防衛相に秘書官から初めて事故の報告』、⑥『5時48分 海保のヘリ、現場海域に到着。間もなく漁船の船尾部分を発見』と続く。仮にイージス艦が内火艇(救命ボート)を海に下ろしていたとして、それは何時何分のことだったのだろう。現場に清徳丸の僚船はなく、その「捜索活動」を目撃した者はイージス艦乗組員以外には一人もいない。事故直後、事故事実を認識した4時10分とか4時15分の時点で動いたのか、それとも海上保安本部に連絡した後で、4時50分とか5時00分頃に、海保のヘリに現場を見られたときのための「アリバイ」として内火艇を下ろして「捜索活動」の真似事をしたのか、同じ内火艇を海に下ろすにしても、初動を起こした時間によってその行動の意味は全く違ってくる。海に落ちた人間を救助する行動は事故から5分以内でなければ意味がなく、実際に海自の救助訓練でもそのように教育されているはずだ。

b0087409_11141954.jpg事故直後のイージス艦の対応の問題ついては、そこに関心を向ける報道が殆どない。事故の原因と責任の問題にばかり関心が集中して、事故直前の船の位置や状況だけがずっと議論されてきた。が、22日の朝日新聞の社会面では、イージス艦が海保に通報した時間が事故から16分後だった事実が問題とされ、「(通報が早ければ)少なくとも十数分は早く立ち上がれた。早期発見の可能性はその時間の分大きくなった」という第3管区海上保安本部長の島崎有平の発言を紹介している。記事には、「遅すぎる。16分間、一体何をしていたのか」とイージス艦の行動を訝る海保幹部の発言も載っている。責任ある立場の海上保安本部長が「少なくとも十数分は早く立ち上がれた」と公式な発言を残すくらいだから、イージス艦の通報は明らかに遅すぎるし、4時10分には第一報を届けていなければならなかったのだろう。「16分間、一体何をしていたのか」。何かをしていたのである。それは今後の乗組員の証言で明らかにされるかも知れないし、されないかも知れない。

b0087409_11142935.jpgこの時間に艦長の舩渡健は艦橋にはいなかった。当直士官が航行を指揮していた。艦長は部屋で寝ていたのだろう。舩渡健が起きて艦橋に上がってきて、当直仕官とその場にいた乗組員たちと相談して、事故の状況の口裏合わせとアリバイ工作をしていたのに違いない。自動操舵不解除の件も、レーダーの見落としも、見張りの怠慢も、海上衝突予防法違反も、非は全て「あたご」の側にある。舩渡健は狼狽したことだろう。狼狽しながら、どうやって言い逃れをするか策を巡らし、巧い事実の捏造を考えながら、当直士官と隠蔽工作と責任転嫁を練りながら十数分を過ごしたに違いない。イージス艦側が内火艇を出して「捜索活動」したと言うのなら、何時何分に誰から指示が出て、何時何分に海面に内火艇を下ろしたのか、何時何分に誰がどのような「捜索」をしたのか正確に言うべきだ。自衛隊の公式発表では、事故直後に、海上保安本部に通報を入れる前に(または同時に)漁船の乗員の「捜索」を始めたことになっている。しかし、この時間に実行した活動であれば、「捜索」ではなく「救助」ではないのか。

b0087409_1114382.jpg言葉の表記が微妙に気になる。海上に下ろした内火艇に人命救助のための装備や道具は積んであったのか。内火艇の活動に従事した隊員は海難救助の訓練の経験を持った者だったのか、海中に飛び込む用意はできていたのか。事故直後のイージス艦の対応について真相が知りたい。それから、マスコミがそればかり報道している事故前の状況や位置の問題についても、私は少し言いたいことがある。マスコミ、特にテレビは、最初の報道で自衛隊側が言う「緑の灯火」の情報に徒に振り回されて、自衛隊側に都合のいいCGを製作して事故の状況を説明していた。あの「緑の灯火」と「赤の灯火」の話は明らかな事実誤認と情報操作がある。それは何かと言うと、イージス艦の艦橋から見て、小型漁船の灯火は片方だけしか見えないということはないのだ。イージス艦から見て漁船団は右手前方の1時から2時の方角にある。そしてイージス艦の艦橋の高さは海面から20メートルあり、すなわち視角に高度差があり、高さ1メートルから2メートルほどの漁船の灯火など、右舷であろうが左舷であろうが難なく見えるはずなのだ。

b0087409_11144737.jpg「緑色の灯火が見えた」などと言うが、右の緑色だけでなく左の赤色の灯火も同時に見えているはずなのである。状況をありのまま正確に言えば、事故の前、3時40分から3時55分のイージス艦の右手前方1時の方角には、4隻の小型漁船がイージス艦の方に向かって進行して来るのが見えたのであり、各4隻の漁船が灯した一対の赤緑の灯火が4組8個、チラチラと一群として見えていたはずなのである。テレビ報道のCGが説明するように、緑の灯火が一個だけ周囲を照らして大きく緑色の光を放っていたのではない。あるいは赤の灯火が一個だけ周囲の空間を赤く染めていたのではない。あのCGは事実を説明していない。視聴者を誤解に導くものだ。イージス艦と漁船とは高度が違い、操船する人間の視線の角度が全く違うのである。灯火の位置が低く目線が低い漁船同士なら、左舷が赤で右舷が緑の灯火の識別は意味があり、交通上の重要な標識になる。片方が見えて片方が見えないという状況はあり得る。だが、巨大なイージス艦と小型の漁船では意味が異なる。

b0087409_11145629.jpg漁船の側から見れば、高度があるためイージス艦の片側の壁面は見えない。夜間なら赤か青かどちらかしか見えない。だが、イージス艦から漁船を見れば、小さな漁船の船体の左も右もなく、上から見下ろす視角で右の灯火も左の灯火も十分に目に入るのだ。イージス艦は「上から目線」なのである。この場合、イージス艦を左に見ながら航行する漁船団に交差において回避義務はない。そのまま直進するのが法規(海上衝突予防法)に則った交通行動である。安全のためには真っ直ぐ直進しなければならないのだ。イージス艦には回避義務があり、直ちに速度を減速させ、漁船団がイージス艦の前を安全に横切れるように配慮をして、場合によっては右に舵をとる必要があっただろう。テレビに出て来る解説者やネット右翼は、恰も漁船の側に回避義務があるかのような発言をして、大型船は回避行動が難しく小型船は簡単だから漁船の方が避(よ)けるべきだったなどと言っている。海上衝突予防法には船の規模による義務規定の区別はない。ネット右翼の主張は法律を否定するものだ。

b0087409_1115533.jpg海上交通での衝突回避のための回避義務を大型船や自衛隊艦船から免除すると言うのなら、そのように法律を改正する必要があるだろう。だが、この法律は国際法(海洋船舶通行上の国際的な慣習ルール)がベースになっているもので、すなわち外国の海峡や港湾への航路に進入して外国艦隻とすれ違うときも同じルールであり、したがって日本の法律だけを一方的に変えることができるとは私には思えない。陸上の道路交通で車の大小が関係ないように、海上においても船の大小は交通ルールに関係ないのだ。ネット右翼の主張は間違っている。事故から4日経ったが、事故を起こした「あたご」艦長の舩渡健は依然として公の場に出て説明しようとしない。漁師親子二人を海に突き落として、卑怯にも逃げ隠れしたままだ。イージス艦「あたご」と言えば、昔で言えば「大和」や「武蔵」に匹敵する国防の中核を担う主戦軍艦だろう。戦前の右翼になった気分でこう言ってやりたいところだ。「貴様はそれでも帝国軍人として恥ずかしくないのか。国民の前に出て説明と謝罪ができないのなら、帝国軍人らしく潔く腹を切れ」。

逃げてないで釈明の場に出て来い。二人の漁師とその親族と勝浦の仲間に詫びろ。


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【今週の一曲】

どうしようかと少し迷ったが、今週はロッドスチュアートのこのバラードをご紹介。観客席でうち振られるイングランド国旗とスコットランド国旗。ネイビーのミニスカ姿の弦楽ギャル軍団。そしてヘビーなブルースのテイストのギター・ソロ。雰囲気があまりにブリティッシュに染まっているので、気になって調べたら、2002年のグラストンベリーのロック・フェスティバルのときの映像だった。


ネットで調べるまで知らなかったが、イングランド南西部コーンウォール半島の付け根のサマーセット州にあるグラストンベリーは、アーサー王が戦いの傷を癒して永遠の眠りについた場所であるアヴァロン島だと言われていて、言わばイングランドの中で最も霊験あらたかな伝説と信仰の地であり、ここで行われるロック・フェスティバルが The British なものになるのは当然かも知れない。


これぞブリティッシュ。若い人はご存知かどうか。ミニスカ・ファッションを全世界にエバンジェライズしたのは英国の誇るスーパーモデルのツイッギーだった。ところで、この映像の中で一か所だけ頭を悩ませる絵があり、最後の方で青地に白の正クロスの旗が振られている場面が出て来る。スコットランド国旗は青地に白の斜めクロスのはずだ。斜十字ではなく正十字とは。新しいスコットランド国旗の主張なのだろうか。



よく聴くと、ギターだけでなくドラムが最高にブリティッシュロックしてるね。
この独特のドラミング、様式的なサウンド、70年代的で懐かしくていいね。
あーあ、またイギリス行きてえ。

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by thessalonike4 | 2008-02-23 23:30 | イージス艦衝突事故
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