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by thessalonike4
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艦長と当直士官を証人喚問せよ - 厳罰こそ最大の再発防止策
b0087409_12511254.jpg事故発生からすでに5日が経つが、イージス艦の関係者が国民の前に出て来ない。発信者不明の小出しの情報がマスコミに流されて伝わってくる。昨日(2/24)は、午前4時に交代した見張り員が、針路右前方から漁船が接近しているのを承知しながら、「漁船の方が避けてくれると思っていた」と証言しているという事実が報道された。今朝の朝日新聞一面では、艦橋の当直士官が午前4時の当直交代時に漁船団接近の情報を引き継いで、漁船団の存在を認識していた事実が明らかにされている。当直交代前と当直交代後の二人の当直士官は、右手前方から接近する漁船団を認識していたのであり、認識していたにもかかわらず、事故1分前まで自動操舵を切り替えず、法律で義務づけられた衝突回避行動もとっていなかった。午前4時に当直を交代した要員は当直士官を含めて26名と言われているが、誰も表に出て来ず、未だ氏名も明らかにされていない。



b0087409_12512621.jpg小出しで出て来る情報は、新しい情報が前の情報の信憑性を崩すものばかりで、現在は、例の「事故12分前の午前3時55分に漁船の赤い灯火を見た」という、これは20日(水)午後に防衛省から出た情報だが、その信憑性が疑わしくなっている。実際のところ、交代の引き継ぎはどのように行われ、漁船団接近の情報は艦橋でどのように取り扱われたのか。今朝の朝日の記事では、艦橋や戦闘指揮所の当直が交代した時刻は午前3時55分になっている。前の情報では、赤の灯火を発見したのは交代後の見張り員だったはずで、寝起きで薄暗い海面の監視が曖昧になったというような「言い訳」も漏れていた。また20日にその情報が出た時点では、12分前に赤い灯火を見たのは交代前の見張り員で、2分前に緑の灯火を見たのは交代後の見張り員で、交代があったために情報伝達に不具合があったというような「言い訳」がなされていた。全て出鱈目で前言が覆る。

b0087409_12513771.jpgなぜ関係者は国民の前に顔を出して説明しようとしないのか。聴きたいことは山ほどある。昨日(24日)のテレビ朝日の政治番組に森本敏が出演して、「あたご」の乗組員は海上保安庁の捜査を受けていて、艦内から一歩も外出できない身であるため報道機関の取材にも応じられないなどと言っていたが、これは人を欺く嘘である。海上保安庁に「あたご」の艦長や艦員の身柄を監禁拘束できる特権はない。聴取は任意のものだ。行動や発言の自由を制限できる強制力もない。「あたご」の乗組員に外出禁止令と緘口令を強制しているとすれば、それは防衛省と海上幕僚監部と自衛艦隊司令部の組織的な指示によるもので、法律上の根拠や規定は何もない。それは、普通の刑事事件で警察の任意の捜査を受けている者が、マスコミの取材を受けるのと同じである。テレビでよく見るではないか。例えば、最近では、あの守屋武昌が自宅前の路上で大勢の報道陣に追いかけられて、急ぎ足で逃げていたではないか。

b0087409_12514941.jpg「あたご」側には報道機関による取材を拒絶できる法的根拠はない。むしろ逆で、自衛隊と「あたご」には国民の前で不祥事を説明する責任がある。イージス艦の艦長と艦員は自衛隊員であり、国民の生命と財産を守る崇高な使命と任務の下で職務に就き、税金で報酬を得ている国家公務員の身分である。一般市民が交通事故で相手を死亡させたのとは訳が違う。過失責任の社会的意味が違う。当然、事故を起こした自衛官当事者には国民に事情を説明する説明責任と釈明義務がある。捜査当局が捜査しているから何も言えないで済まされる問題ではない。海保の捜査に応じる義務と国民に真実を説明する義務とは別のものだ。海保の捜査に応じれば国民への説明義務が免責されるものではない。防衛省と自衛隊は、組織として、むしろイージス艦の艦長と艦員に対して国民の前に出て事実をありのまま説明するよう指示をしなければならないはずだ。ありのまま真実を開示して、国民からの批判と糾弾を受けるのが当然の責務だ。

b0087409_125215.jpg自衛隊員倫理法は、その第3条に「自衛隊員が遵守すべき職務に係る倫理原則」を次のように規定している。「自衛隊員は、国民全体の奉仕者であり、国民の一部に対してのみの奉仕者ではないことを自覚し、職務上知り得た情報について国民の一部に対してのみ有利な取扱いをする等国民に対し不当な差別的取扱いをしてはならず、常に公正な職務の執行に当たらなければならない」。この倫理規定を今度の事件の対応に厳正に適用するならば、事故に関与した自衛隊員は、一部の与党幹部や身内の関係者だけに事故の事実情報を出すのではなく、マスコミ関係者に自分の都合のいい情報を小出しにするのではなく、国民全体の奉仕者として、公正に情報開示を行わなければならない。国民に対する説明責任から逃げ、被害者の家族や同僚への謝罪から逃げ、顔を隠したまま自衛隊組織に守られている態度は、「国民全体の奉仕者」としての自覚を欠くものであり、著しく卑劣で姑息であり、法に定められた自衛隊員としての倫理を逸脱するものである。

b0087409_1252125.jpg問題は防衛省と自衛隊だけではない。国会はどうなのだ。野党は何をしているのだ。事故翌々日の21日(木)、朝刊のテレビ欄を見るとNHKは朝から夕まで国会中継の放送予定になっていて、これはきっとイージス艦問題で集中審議なのだろうと私は思い、野党がどのように福田首相と石破茂を追及するだろうかと期待して夜のニュース番組を待っていた。ところが豈に図らんや、その日の衆院予算委は全編これ道路問題一色で、1億円の道路調査報告書がどうだの、国交省天下り特殊法人の埋蔵金がどうだの、道路ミュージカルがどうだのと、そんな話ばかりで埋め尽くされ、ボケ役の冬柴鉄三が吊し上げられて恥をかく場面ばかりの映像がテレビで流された。勝浦の仲間たちが必死で海で親子を探しているときに、国会ではイージス艦問題について何も討議していなかった。聞けばその日の衆院予算委は道路特定財源問題を審議する日程で、だから民主党だけでなく共産党も社民党も「無駄な道路予算」の質問に集中したのだと言う。確かにそれは重要だろう。

b0087409_1254823.jpgだが、この日に国会中継をやるのなら、国民の前で審議する議題はイージス艦の事故問題ではないのか。確かこの翌日の22日(金)の衆院安保委では、鳩山由紀夫が石破茂に引責辞任を迫る質問をする場面が報道されていたが、われわれ国民が求めているのは、石破茂の引責辞任の前に、事故前の具体的状況と事故後の現場の事実の詳細であり、それを明らかにすることこそを国会に求めているのである。特に、イージス艦が人命救助の初動作業を具体的にどのようにしたのかが知りたかった。事故直後の現場と自衛隊と首相官邸の一部始終を知りたかった。私はてっきり、21日(木)の衆院予算委に海自の幕僚長と自衛艦隊司令官が呼ばれて答弁しているものとばかり思っていた。イージス艦問題そっちのけで共産党や社民党までがガソリン国会の道路審議に熱中していたのには失望を覚える。ガソリン国会よりイージス艦の問題の方がはるかに重要なのではないのか。道路特定財源の審議など、イージス艦問題の後でもできるだろう。プライオリティの感覚はないのか。

b0087409_13144448.jpgどちらが大事だと思っているのか。国会は、野党は、民主党は、直ちにイージス艦の艦長と当直士官を参議院に呼べ。証人喚問をしろ。海上保安庁と相談して、艦内捜索と事情聴取の時間を調整させて、関係者を全員国会に呼べ。見張り員とレーダー監視員も呼べ。国民の前で事実を証言させろ。①なぜ漁船団を認識しながら事故1分前まで自動操舵だったのか。②針路右側に漁船を見た場合は「あたご」に衝突回避義務があるのを承知していたのか。③舩渡艦長が艦橋に入ったのは何時何分か。④海上保安本部への連絡が事故から16分後になったのは何故か。 ⑤内火艇を海に下ろしたのは何時何分か、作業を担当した隊員は誰か。⑥事故後なぜ速やかに被害者家族のところへ行って謝罪しなかったのか。⑦事故の責任をどうとるのか、事故の責任者として国民と被害者に対してどう思っているのか。野党はこれらのことを加害者の自衛官に質問しなければならない。彼らに質問の返答を求め、説明責任を果たさせなければならない。これこそが最大の再発防止策になる。

b0087409_12522361.jpg紙の上に何か書いても、組織を少し弄くっても、それは再発防止策にはならない。再発防止策の真似事にしかならない。本当の再発防止策とは個人への厳罰である。犯罪と刑罰の関係こそ「再発防止策」の人類史的真実に他ならない。国会での証人喚問は当然ながら内面的苦痛を伴う。自己の名誉を損なう営為への服従である。国民の生命を守る任務の自衛官が、自己の職務上の過失と怠慢によって二人の民間人を行方不明にさせた以上、責任は重く、国民の前で然るべくその責めを負わねばならない。責めの厳しさを見て、初めて犯した罪過の深刻さを知り、他の自衛官が自己の立場と職責の重さを自覚するのである。野党はイージス艦「あたご」の艦長と当直士官を国会に召喚せよ。自衛隊の上級幹部だけでは無意味だ。われわれ国民は「喚問の芝居」を見たいんじゃない。儀式は不要だ。真実を追究し、真相を解明する証人喚問を実現させて欲しい。自衛隊の隠蔽工作と事実捏造の全貌を明らかにし、国権の最高機関の場で二人の親子の仇を取って欲しい。報道機関は当直士官の氏名を公表せよ。

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by thessalonike4 | 2008-02-25 23:30 | イージス艦衝突事故
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